ライフコーポレーション監査等委員会移行と社外6名体制:監査役会を畳んで監査を取締役会の議席へ移し、社外取締役を4名から6名へ増やした機関設計の組み替え

更新:

時期 2024年5月
当時の社長 岩崎高治
論点 監督と監査の担い手をどこに置くか
概要

2024年5月23日の第69回定時株主総会で定款を変更し、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。掲げた目的は、取締役会の監督機能を強化し、更なる監視体制の強化を通じてより一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図ること、そして意思決定を迅速化し、更なる企業価値の向上を図ることである。

移行後の取締役会は、取締役7名(うち社外3名)と監査等委員である取締役4名(うち社外3名)の11名。監査等委員会は常勤1名と非常勤3名で構成し、委員長は社外取締役の水戸重之氏が務める。

背景

移行前は、取締役8名(うち社外4名)で構成する取締役会と、監査役4名(うち社外3名)で構成する監査役会を置いていた。取締役の任期は1年とし、職務執行の適切性の確保と株主の意向の適時の反映を担保する建て付けである。

取締役及び執行役員の指名と報酬に係る事項を諮る任意の指名・報酬諮問委員会は移行前から置かれていた。移行を決めた総会の前年度にあたる2024年2月期には14回開き、議題には移行後の取締役の員数と役員報酬の考え方が並ぶ。同じ期の取締役会も17回開催し、移行の方針を審議している。

内容

定款で定める員数は、取締役25名以内から、取締役(監査等委員である取締役を除く)10名以内と監査等委員である取締役5名以内へ改めた。取締役会の上限は25名から15名へ下がる。監査等委員である取締役の任期は2年で、それ以外の取締役は1年のままとした。

監査等委員には、常勤監査役だった末吉薫氏、社外監査役の宮竹直子氏、社外取締役の成田恒一氏が移り、社外の水戸重之氏が新たに加わった。取締役会には社外取締役の多田明弘氏が加わっている。取締役1名、社外取締役1名、社外監査役2名は総会終結をもって退任した。

含意

移行後の2025年2月期は、5月23日までに監査役会を3回、その後に監査等委員会を9回開いた。取締役会は16回、指名・報酬諮問委員会は12回である。同委員会は移行後も社外取締役2名と代表取締役社長の3名で、委員長は社外取締役の成田恒一氏が続けている。

監査等委員会の直属の組織として監査等委員会室を新設し、2名を配した。監査等委員である取締役と社外取締役の報酬は、その役割と独立性の観点から役割報酬のみで構成し、業績連動報酬を含めていない。

筆者の見解

監査を議席へ移すということ

この移行で起きたのは、監査を担う人を入れ替えることではなく、監査役会という別室を畳んで、その機能を取締役会の議席へ移したことである。常勤監査役と社外監査役の1名は監査等委員としてそのまま残り、監査等委員会にも常勤を1名置いた。日々の監査の手触りを捨てたわけではない。変わったのは、監査を担う者が取締役として議決権を持ったことだ。社外取締役は4名から6名へ増え、11名の取締役会の過半を社外が占める体制になったとみられる。

もっとも、この決断の性格をよく示しているのは、定款の員数の上限を25名から15名へ絞ったことのほうかもしれない。25名という枠は、社内の役位に応じて取締役を並べていた時代の名残である。移行を機にその枠を大きく削り、執行は執行役員に委ね、取締役会は監督へ寄せる形が定款に書き込まれた。移行後の指名・報酬諮問委員会が委任型執行役員制度の導入を検討しているのも、同じ線の上にある。監督と執行の分離は、機関設計の看板ではなく、この先の役員の数と役割の置き方に表れていくのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

経緯と対応

科目 概要 備考
決議 2024年5月23日 第69回定時株主総会で定款の変更を決議し、同日付で移行した
移行の目的 取締役会の監督機能の強化 更なる監視体制の強化を通じ、より一層のコーポレート・ガバナンスの強化を図る
あわせて掲げた狙い 意思決定の迅速化 更なる企業価値の向上を図ることを、移行の目的に併せて挙げている
移行前の体制 取締役8名・監査役4名 社外取締役4名、社外監査役3名。取締役の任期は1年としていた
移行後の体制 取締役11名 取締役7名(うち社外3名)と監査等委員である取締役4名(うち社外3名)
監査等委員会の構成 常勤1名・非常勤3名 うち3名が社外。委員長は社外取締役の水戸重之氏が務める
監査等委員の顔ぶれ 4名のうち3名は移行前からの役員 常勤監査役末吉薫氏、社外監査役宮竹直子氏、社外取締役成田恒一氏が移った
移行に伴う新任 社外取締役2名 監査等委員である水戸重之氏と、監査等委員でない多田明弘氏
移行に伴う退任 4名 取締役河合信之氏、社外取締役矢矧晴彦氏、社外監査役の真木光夫氏と塩野光二氏
定款上の員数 取締役10名・監査等委員5名以内 移行前は取締役25名以内。取締役会の上限は25名から15名へ下がった
取締役の任期 監査等委員である取締役は2年 監査等委員でない取締役は1年。移行前も取締役の任期は1年だった
移行の審議(諮問委員会) 2024年2月期に14回開催 移行した場合の取締役の員数や役員報酬についての考え方を検討した
移行の審議(取締役会) 2024年2月期に17回開催 コーポレート・ガバナンスの議題に、移行の方針が並んでいる
指名・報酬諮問委員会 移行後も3名 社外取締役2名と代表取締役社長。委員長は社外取締役の成田恒一氏が続く
移行後の開催状況 監査等委員会9回(2025年2月期) 移行までの監査役会は3回。同じ期の取締役会は16回開いた
監査等委員会の事務局 監査等委員会室を新設 監査等委員会の直属の組織として2名を配し、職務を補助する
監査等委員の報酬 役割報酬のみ 社外取締役とともに、その役割と独立性の観点から業績連動報酬を含めない

出所:ライフコーポレーション 有価証券報告書 第68期(2023年2月期)・第69期(2024年2月期)・第70期(2025年2月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【監査の状況】

ライフコーポレーション:取締役会と監査機関の員数

(人) 取締役うち社外取締役監査役うち社外監査役 備考
2020年2月期 8243 有価証券報告書の提出日現在の員数。以下の期も同じ
2021年2月期 10443
2022年2月期 9443
2023年2月期 8443 移行の前期。社外役員は社外取締役4名と社外監査役3名の7名
2024年2月期 11600 提出日は2024年5月24日。5月23日の移行後の構成で、監査役は退任済み
2025年2月期 11600 移行が期中に起きた期。取締役7名と監査等委員である取締役4名
2026年2月期 12700 監査等委員である取締役が1名増え、常勤1名と非常勤4名の5名になった
2027年2月期 第72期は未到来
2028年2月期
2029年2月期
2030年2月期
取締役・監査役の員数と社外取締役の比率
取締役(人)監査役(人)うち社外取締役率(%)

出所:ライフコーポレーション 有価証券報告書 第65〜71期【コーポレート・ガバナンスの状況等】

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出典・参考
  • ライフコーポレーション 有価証券報告書「第68期(2023年2月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • ライフコーポレーション 有価証券報告書「第69期(2024年2月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • ライフコーポレーション 有価証券報告書「第69期(2024年2月期)【監査の状況】」
  • ライフコーポレーション 有価証券報告書「第70期(2025年2月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【監査の状況】」

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