ユニ・チャームがとった構えは、価格ではなく製品で戦うという一点に貫かれていた。首位が30カ月で入れ替わる市場で、値下げの誘惑を断ち、使用者の暮らしを直接観察して次の一手を先に打つ——この地道さが、規模で勝る花王・P&Gに差をつけた源泉であっただろう。立ったまま換えられるという発想が、実験室ではなく家庭の観察から出てきた点に、この会社の開発の性格がよく表れている。
製造マシンの内製化は、その象徴であった。真似される速さを前提に、真似されるまでの時間そのものを買うという判断は、模倣がすぐ追いつく市場での競争のかたちをよく示している。首位を守るとは、この市場では立ち止まらないことと同義であったといえる。