AMENTUM社へ出資(2015年・FPGの決断)

更新:
論点航空機の案件組成力を買収で得るか
FPG:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
アイルランドの航空機リースマネジメント会社を子会社化し、航空機投資管理サービス事業へ進出

何をなぜ決めたか:アイルランドの航空機リースマネジメント会社を子会社化し、航空機投資管理サービス事業へ進出

概要

2013年11月、FPGはアイルランドのAMENTUM CAPITAL LIMITEDを株式取得により関連会社とし、2015年5月14日に50%を追加取得して議決権75%の連結子会社とした。同時に航空機投資管理サービス事業を開始し、同年8月26日付で同社の商号はFPG AMENTUM LIMITEDとなった。子会社化の取得原価は7.3百万ユーロであった。

背景

FPGは2011年4月に航空機を対象とするオペレーティング・リース事業の取扱いを始めた。投資家に出資金を販売するには、その前提としてオペレーティング・リース事業の案件を組成する必要がある。子会社化の理由として、FPGは機体の管理・売却のノウハウを案件の組成に活かし、リース事業組成金額を増やすことを挙げた。

内容

関連会社の段階でも両社は案件を組んでおり、2015年3月には欧州の航空会社を賃借人とする航空機2機の日本型オペレーティング・リース第2号案件の組成・販売開始を発表した。FPGはこの発表で同社を、資本業務提携の関係にある独立系の大手航空機リースマネジメント会社と紹介している。同年5月の追加取得は現金による株式の取得で、のれん5.8百万ユーロを10年で償却するとした。

含意

2015年9月期の連結売上高は153億円と前期の約2.4倍、営業利益は100億円と約2.9倍になり、リース事業組成金額は2,973億円となった。翌期の有価証券報告書は、組成金額の増加の理由にFPG AMENTUMとの連携を挙げている。一方で航空機投資管理サービス事業の売上高は2016年9月期で522百万円にとどまり、2020年9月期には連結売上高が127億円と前期の半分を下回った。2026年9月期中間期には、FPG Amentum Limitedが進めた米国投資家向けのリースアレンジメント案件の成約による手数料等がリースファンド事業の増収に寄与した。

いつ何が起きたか6件
考察:組んでから買収する
考察

考察:組んでから買収する

2013年11月に関連会社とし、2015年3月に第2号案件で航空機2機を組み、その2か月後に75%へ引き上げた。買収の可否を書類の上だけで決めず、関連会社として実際に案件を回してから比率を上げた順序に、この取引の性格が表れている。取得原価7.3百万ユーロのうち5.8百万ユーロがのれんであり、買ったのは資産ではなく、機体の管理・売却のノウハウという機能だった。

ただ、取り込んだ機能が独立して稼いだわけではない。航空機投資管理サービス事業の売上高は初年度245百万円、独立セグメントとなった2019年9月期でも1,095百万円で、しかも89百万円の損失を計上している。2020年9月期には連結売上が半分を下回り、機材を管理する会社を持っていても市況の消滅は防げなかった。それでも2026年9月期中間期には米国投資家向けの案件の手数料がリースファンド事業の増収に寄与し、国内不動産ファンド事業が大きく減収した期を支えている。買った機能の値打ちは、買った直後の損益計算書ではなく、本業が傾いた期に測られるといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

FPG:リース事業組成金額と出資金販売額の推移

リース事業組成金額(百万円)
FPG:リース事業組成金額と出資金販売額の推移
(百万円)リース事業組成金額出資金販売額備考
2010年9月期25,1877,716単体。出資金販売額は商品出資金販売額として開示されている
2011年9月期39,13813,407単体。4月に航空機を対象としたオペレーティング・リースの取扱いを開始
2012年9月期47,28919,785単体
2013年9月期98,39525,617
2014年9月期168,61337,8992013年11月に25%を取得。組成サポート会社との連携推進で71.4%増
2015年9月期297,34984,1785月にAMENTUMを子会社化。組成金額は76.3%増、販売額は122.1%増
2016年9月期378,808109,417組成金額は27.4%増、出資金販売額は30.0%増
2017年9月期276,168115,746組成金額は27.1%減
2018年9月期428,116143,619組成金額は55.0%増で当時の過去最高
2019年9月期538,172156,785組成金額・出資金販売額ともに過去最高
2020年9月期158,49794,804新型コロナウイルスの影響で組成金額は70.5%減、販売額は39.5%減
出所:FPG 有価証券報告書 第9期〜第19期(2010年9月期〜2020年9月期)【経営成績等の状況の概要】【生産、受注及び販売の状況】
出所:FPG 有価証券報告書 第9期〜第19期(2010年9月期〜2020年9月期)【経営成績等の状況の概要】【生産、受注及び販売の状況】

FPG:航空機投資管理サービス事業の推移

売上高(百万円)
FPG:航空機投資管理サービス事業の推移
(百万円)売上高セグメント利益セグメント資産備考
2015年9月期245−−第3四半期から連結。7月から9月までの3か月分。利益と資産は非開示
2016年9月期522−−前年度比112.5%増。AMENTUMは「その他」に含まれ利益は非開示
2017年9月期492−−前年度比5.8%減
2018年9月期649−−前年度比31.9%増
2019年9月期1,095△891,949第19期の比較情報による組替後の数値。のれん償却額は72,575千円
2020年9月期1,218302,450報告セグメントとなった。外部顧客への売上高で、内部売上63,415千円は除く
出所:FPG 有価証券報告書 第14期〜第17期(2015年9月期〜2018年9月期)【経営成績等の状況の概要】 / FPG 有価証券報告書 第19期(2020年9月期)【セグメント情報】
出所:FPG 有価証券報告書 第14期〜第17期(2015年9月期〜2018年9月期)【経営成績等の状況の概要】 / FPG 有価証券報告書 第19期(2020年9月期)【セグメント情報】

出資と子会社化の条件

出資と子会社化の条件
科目概要備考
被取得企業AMENTUM CAPITAL LIMITEDアイルランド共和国。2015年8月26日付でFPG AMENTUM LIMITEDへ商号変更
事業の内容航空機投資管理サービス事業括弧書きで航空機アセット・マネジメント事業と併記されている
25%の取得2013年11月株式取得により関連会社とし、持分法を適用した。日付は月までの開示
追加取得の決議2015年5月13日取締役会で50%の追加取得を協議し、同日付で株主と株式購入契約を締結
企業結合日2015年5月14日株式取得日。みなし取得日は2015年6月30日
取得の法的形式現金による株式の取得取得企業を決定した根拠も、対価の種類が現金であること
企業結合日前の議決権比率25%
追加取得した議決権比率50%
取得後の議決権比率75%2017年9月期末は71.3%、2021年9月期末76.6%、2023年9月期末以降86.9%
取得原価7.3百万ユーロ既保有分の企業結合日の時価2.4百万ユーロと追加取得分4.9百万ユーロの計
追加取得価額672,280千円円建ての開示は連結キャッシュ・フロー計算書関係の注記にある
取得のための支出414,393千円追加取得価額から同社の現金及び現金同等物257,886千円を差し引いた額
取得関連費用11,630千円アドバイザリー費用等
段階取得に係る差益31,481千円持分法による投資評価額295,946千円と企業結合日の時価との差
のれん5.8百万ユーロ10年間で定額償却。円建てでは801,888千円
受け入れた資産合計2.7百万ユーロ円建てでは流動資産370,644千円、固定資産4,805千円
引き受けた負債合計0.8百万ユーロすべて流動負債。円建てでは111,690千円
少数株主持分65,939千円連結開始時。取得しなかった25%にあたる
連結損益に含めた期間2015年7月1日から9月30日2014年10月1日から2015年6月30日までは持分法による投資損益に計上
通期換算した影響額記載を省略金額的重要性が乏しいとして省略。当該注記は監査証明を受けていない
結合の理由航空機リース事業案件の組成金額の増加機体の管理・売却のノウハウを組成に活用し、経営の一体性を高める
出所:FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営上の重要な契約等】 / 第13期(2014年9月期)【沿革】【関係会社の状況】
出所:FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営上の重要な契約等】 / 第13期(2014年9月期)【沿革】【関係会社の状況】
参考文献

参考文献

参考
  • FPG 有価証券報告書 第15期(2016年9月期)【沿革】
  • FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】
  • FPG 有価証券報告書 第15期(2016年9月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
  • FPG 有価証券報告書 第15期(2016年9月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【連結損益計算書】
  • FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【生産、受注及び販売の状況】
  • FPG 有価証券報告書 第15期(2016年9月期)【経営成績等の状況の概要】
  • FPG 有価証券報告書 第19期(2020年9月期)【連結損益計算書】
  • FPG 有価証券報告書 第14期〜第17期(2015年9月期〜2018年9月期)【経営成績等の状況の概要】
  • FPG 有価証券報告書 第19期(2020年9月期)【セグメント情報】
  • FPG 有価証券報告書「第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営上の重要な契約等】」
  • FPG 有価証券報告書「第13期(2014年9月期)【沿革】【関係会社の状況】」
  • FPG 有価証券報告書「第9期〜第19期(2010年9月期〜2020年9月期)」
  • FPG 有価証券報告書「第24期(2025年9月期)【関係会社の状況】」
  • FPG ニュースリリース「アメンタム社との日本型オペレーティング・リース第2号案件の組成・販売開始について」
  • FPG 有価証券報告書「第15期(2016年9月期)【沿革】【関係会社の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営成績等の状況の概要】」
  • FPG 決算短信「2026年9月期 第2四半期(中間期)決算短信」

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