FPGアイルランドAMENTUM CAPITALへの25%出資と子会社化、航空機投資管理サービス事業への進出

時期 2015年5月
意思決定者(推定) 谷村尚永 社長
論点 案件組成力の内製化と、単一商品の拡大余地
概要
2013年11月、FPGはアイルランドの独立系リースマネジメント会社AMENTUM CAPITAL LIMITEDの株式25%を取得して関連会社とし、2015年5月には50%を追加取得して議決権75%の連結子会社とした。25%を取得したときの金額は有価証券報告書に記載がなく、子会社化の取得原価は7.3百万ユーロであった。同時に航空機投資管理サービス事業へ進出し、社名をFPG Amentum Limitedへ改めた。2015年9月期の連結売上高は前期の2.4倍にあたる153億円へ跳ねた。
背景
FPGは2011年4月に航空機を対象とするオペレーティング・リースの取扱いを始めたが、投資家に売る出資持分は案件を組成しなければ生まれず、組成できる量が売上の上限を決めていた。機材の再賃貸先を探し残価を読む仕事は専業のリースマネジメント会社の領域にあり、アイルランドのAMENTUMはその機能を欧州とアジアの市場で担っていた。
内容
まず25%を出資して2年半にわたり共同で案件を組成し、2015年3月には欧州の航空会社を賃借人とする航空機2機のリースを日本型オペレーティング・リース第2号案件として販売した。そのうえで同年5月に追加取得して子会社化し、航空機投資管理サービスそのものを連結内に取り込んだ。
含意
2015年9月期のリース事業組成金額は2,973億円と76.3%増え、営業利益は100億8,100万円と2.9倍になった。一方でFPG Amentum単体の売上規模は小さく、2020年のコロナ禍で航空需要が消えたときは連結売上高が半減した。2026年9月期中間期には米国投資家向けのリースアレンジメント案件が成約し、不動産の販売が止まった期の支えとなった。
筆者の見解

組んでから買う

2013年11月に25%を持ち、2015年3月に第2号案件で航空機2機を組み、その2か月後に75%へ引き上げた。買収の可否を書類の上で決めず、2年半のあいだ実際に案件を回してから比率を上げた順序に、この取引の性格が表れている。相手は欧州とアジアに機材のリース情報を持つ専業のリースマネジメント会社であり、日本の販売会社が丸ごと買うには荷が重い。まず組んでみせて、互いの仕事ぶりを確かめたうえで支配権を取る運びは、資金力の差を時間で埋める方法だったとみられる。

ただ、取り込んだ機能が独立して稼いだわけではない。航空機投資管理サービス事業の売上は初年度2億4,500万円、独立セグメントとなった2019年9月期でも10億9,500万円で、しかも8,900万円の損失を出している。2020年に航空需要が消えたときには連結売上が半減し、機材を管理する会社を持っていても市況の消滅は防げなかった。それでも2026年9月期中間期に米国向けの案件を成約させ、不動産の販売が止まった期を支えている。買った機能の値打ちは、買った直後の損益計算書ではなく、本業が傾いた期に測られるといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

出資と子会社化の条件

科目 概要 備考
被取得企業 AMENTUM CAPITAL LIMITED アイルランド共和国。2015年8月26日付でFPG AMENTUM LIMITEDへ商号変更
事業の内容 航空機投資管理サービス事業 括弧書きで航空機アセット・マネジメント事業と併記されている
25%の取得 2013年11月 株式取得により関連会社とし、持分法を適用した。日付は月までの開示
追加取得の決議 2015年5月13日 取締役会で50%の追加取得を協議し、同日付で株主と株式購入契約を締結
企業結合日 2015年5月14日 株式取得日。みなし取得日は2015年6月30日
取得の法的形式 現金による株式の取得 取得企業を決定した根拠も、対価の種類が現金であること
企業結合日前の議決権比率 25%
追加取得した議決権比率 50%
取得後の議決権比率 75% 2017年9月期末は71.3%、2021年9月期末76.6%、2023年9月期末以降86.9%
取得原価 7.3百万ユーロ 既保有分の企業結合日の時価2.4百万ユーロと追加取得分4.9百万ユーロの計
追加取得価額 672,280千円 円建ての開示は連結キャッシュ・フロー計算書関係の注記にある
取得のための支出 414,393千円 追加取得価額から同社の現金及び現金同等物257,886千円を差し引いた額
取得関連費用 11,630千円 アドバイザリー費用等
段階取得に係る差益 31,481千円 持分法による投資評価額295,946千円と企業結合日の時価との差
のれん 5.8百万ユーロ 10年間で定額償却。円建てでは801,888千円
受け入れた資産合計 2.7百万ユーロ 円建てでは流動資産370,644千円、固定資産4,805千円
引き受けた負債合計 0.8百万ユーロ すべて流動負債。円建てでは111,690千円
少数株主持分 65,939千円 連結開始時。取得しなかった25%にあたる
連結損益に含めた期間 2015年7月1日から9月30日 2014年10月1日から2015年6月30日までは持分法による投資損益に計上
通期換算した影響額 記載を省略 金額的重要性が乏しいとして省略。当該注記は監査証明を受けていない
結合の理由 航空機リース事業案件の組成金額の増加 機体の管理・売却のノウハウを組成に活用し、経営の一体性を高める

出所:FPG 有価証券報告書 第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営上の重要な契約等】 / 第13期(2014年9月期)【沿革】【関係会社の状況】

FPG:リース事業組成金額と出資金販売額の推移

(百万円) リース事業組成金額出資金販売額 備考
2010年9月期 25,1877,716 単体。出資金販売額は商品出資金販売額として開示されている
2011年9月期 39,13813,407 単体。4月に航空機を対象としたオペレーティング・リースの取扱いを開始
2012年9月期 47,28919,785 単体
2013年9月期 98,39525,617
2014年9月期 168,61337,899 2013年11月に25%を取得。組成サポート会社との連携推進で71.4%増
2015年9月期 297,34984,178 5月にAMENTUMを子会社化。組成金額は76.3%増、販売額は122.1%増
2016年9月期 378,808109,417 組成金額は27.4%増、出資金販売額は30.0%増
2017年9月期 276,168115,746 組成金額は27.1%減
2018年9月期 428,116143,619 組成金額は55.0%増で当時の過去最高
2019年9月期 538,172156,785 組成金額・出資金販売額ともに過去最高
2020年9月期 158,49794,804 新型コロナウイルスの影響で組成金額は70.5%減、販売額は39.5%減
リース事業組成金額
リース事業組成金額(百万円)

出所:FPG 有価証券報告書 第9期〜第19期(2010年9月期〜2020年9月期)【経営成績等の状況の概要】【生産、受注及び販売の状況】

FPG:航空機投資管理サービス事業の推移

(百万円) 売上高セグメント利益セグメント資産 備考
2010年9月期 航空機投資管理サービス事業への進出前
2011年9月期 航空機投資管理サービス事業への進出前
2012年9月期 航空機投資管理サービス事業への進出前
2013年9月期 航空機投資管理サービス事業への進出前。11月に25%を取得した
2014年9月期 25%を持つ持分法適用関連会社で、連結の売上高には入らない
2015年9月期 245 第3四半期から連結。7月から9月までの3か月分。利益と資産は非開示
2016年9月期 522 前年度比112.5%増。AMENTUMは「その他」に含まれ利益は非開示
2017年9月期 492 前年度比5.8%減
2018年9月期 649 前年度比31.9%増
2019年9月期 1,095△891,949 第19期の比較情報による組替後の数値。のれん償却額は72,575千円
2020年9月期 1,218302,450 報告セグメントとなった。外部顧客への売上高で、内部売上63,415千円は除く
航空機投資管理サービス事業の売上高
売上高(百万円)

出所:FPG 有価証券報告書 第14期〜第17期(2015年9月期〜2018年9月期)【経営成績等の状況の概要】 / FPG 有価証券報告書 第19期(2020年9月期)【セグメント情報】

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出典・参考
  • 日本M&Aセンター(2013年11月28日)「FPG(7148)、アイルランドのAMENTUM CAPITAL LIMITEDと資本業務提携」
  • FPG 有価証券報告書「第14期(2015年9月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】【経営上の重要な契約等】」
  • FPG 有価証券報告書「第13期(2014年9月期)【沿革】【関係会社の状況】」
  • FPG 有価証券報告書「第9期〜第19期(2010年9月期〜2020年9月期)」
  • FPG 有価証券報告書「第24期(2025年9月期)【関係会社の状況】」
  • FPG ニュースリリース「アメンタム社との日本型オペレーティング・リース第2号案件の組成・販売開始について」
  • FPG 決算短信「2026年9月期 第2四半期(中間期)決算短信」

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