FPGアイルランドAMENTUM CAPITALへの25%出資と子会社化、航空機投資管理サービス事業への進出
組成を委ねるか、管理する側を買うか——販売会社が航空機リースの上流に手を伸ばした2年半
- 概要
- 2013年11月29日、FPGはアイルランドの独立系リースマネジメント会社AMENTUM CAPITAL LIMITEDの株式25%を数億円で取得して関連会社とし、2015年5月には株式を追加取得して議決権75%の連結子会社とした。同時に航空機投資管理サービス事業へ進出し、社名をFPG Amentum Limitedへ改めた。2015年9月期の連結売上高は前期の2.4倍にあたる153億円へ跳ねた。
- 背景
- FPGは2011年4月に航空機を対象とするオペレーティング・リースの取扱いを始めたが、投資家に売る出資持分は案件を組成しなければ生まれず、組成できる量が売上の上限を決めていた。機材の再賃貸先を探し残価を読む仕事は専業のリースマネジメント会社の領域にあり、AMENTUMは航空機管理機体数で世界2位の規模を持っていた。
- 内容
- まず25%を出資して2年半にわたり共同で案件を組成し、2015年3月には欧州の航空会社を賃借人とする航空機2機のリースを日本型オペレーティング・リース第2号案件として販売した。そのうえで同年5月に追加取得して子会社化し、航空機投資管理サービスそのものを連結内に取り込んだ。
- 含意
- 2015年9月期のリース事業組成金額は2,973億円と76.3%増え、営業利益は100億8,100万円と2.9倍になった。一方でFPG Amentum単体の売上規模は小さく、2020年のコロナ禍で航空需要が消えたときは連結売上高が半減した。2026年9月期中間期には米国投資家向けのリースアレンジメント案件が成約し、不動産の販売が止まった期の支えとなった。
組んでから買う
2013年11月に数億円で25%を持ち、2015年3月に第2号案件で航空機2機を組み、その2か月後に75%へ引き上げた。買収の可否を書類の上で決めず、2年半のあいだ実際に案件を回してから比率を上げた順序に、この取引の性格が表れている。相手は航空機管理機体数で世界2位のリースマネジメント会社であり、日本の販売会社が丸ごと買うには荷が重い。まず組んでみせて、互いの仕事ぶりを確かめたうえで支配権を取る運びは、資金力の差を時間で埋める方法だったとみられる。
ただ、取り込んだ機能が独立して稼いだわけではない。航空機投資管理サービス事業の売上は初年度2億4,500万円、独立セグメントとなった2019年9月期でも10億9,500万円で、しかも8,900万円の損失を出している。2020年に航空需要が消えたときには連結売上が半減し、機材を管理する会社を持っていても市況の消滅は防げなかった。それでも2026年9月期中間期に米国向けの案件を成約させ、不動産の販売が止まった期を支えている。買った機能の値打ちは、買った直後の損益計算書ではなく、本業が傾いた期に測られるといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
背景
組成できた分しか売れない商売
FPGが航空機を対象とするオペレーティング・リースを扱い始めたのは2011年4月である。海上輸送用コンテナ、船舶に続く3つ目の資産で、単価が大きいぶん一件あたりの組成金額も大きい。ただしこの商売では、投資家に売る匿名組合出資持分は案件を組まなければ生まれない。組成できた量が、そのまま売上の上限を決めていた[1]。
組成力が業績を決める構造は、市場の側からも見えていた。2012年の会社四季報は同社を「航空機取り扱いや資金調達拡大に伴うリース組成力強化が奏功、出資金販売好調」と評し、中小企業の税繰り延べニーズに合ったと記す。連結売上高は2012年9月期の28億円から2013年9月期40億円、2014年9月期63億円へ伸びていた[2]。
機材を読む仕事は誰が持つか
案件を増やすには、機材を確保し、リース期間の終わりに次の借り手を見つけ、残価を読む必要がある。この仕事は航空機リースの専業会社が担っており、アイルランドはその集積地であった。FPGは2012年2月にオランダ、11月にシンガポールへ案件組成をサポートする会社を置いて足がかりを作ったが、機材そのものを扱う機能は社外にあった[3]。
提携相手となるAMENTUM CAPITAL LIMITEDは、アイルランド共和国の独立系リースマネジメント会社で、航空機管理機体数で世界2位の規模を持っていた。航空機リース専業として欧州やアジアのリース情報を持ち、機材の売り先・貸し先を探すマーケティングとリ・マーケティングの能力が、FPGの側から見た価値であった[4]。
決断
まず25%を持って組んでみる
2013年11月29日、FPGはAMENTUM CAPITALの株式25%を取得した。出資額は数億円程度で、持分法適用の関連会社となる。狙いとして掲げたのは、AMENTUMの航空機市場におけるマーケティング能力とリ・マーケティング能力を自社の航空機リース事業に活用し、リース事業の組成金額を増やして業績を伸ばすことであった。買い切るのでも、契約だけで済ませるのでもない比率であった[5][6]。
25%を持ったまま、両社は実際に案件を回した。2015年3月24日、FPGはアメンタム社との日本型オペレーティング・リース第2号案件として、欧州の航空会社を賃借人とする航空機2機のリース組成を行い、出資持分の販売を始めている。提携から1年4か月で2件目に達し、組み方も売り方も確かめたうえでの次の一手になった[7]。
2年半かけて75%へ
2015年5月、FPGは持分法適用関連会社であったAMENTUM CAPITALの株式を追加取得し、連結子会社とした。議決権比率は75%。同時に航空機投資管理サービス事業へ進出し、8月に商号をFPG Amentum Limitedへ改め、9月17日には現地で共同リリースを出した。有価証券報告書は子会社化の目的を、タックス・リース・アレンジメント事業のさらなる強化と記している[8]。
同じ2015年9月期には、前年10月に子会社化した運用型信託会社FPG信託も連結に加わっている。商品を仕入れて日本の投資家に売るだけの会社から、資産を管理・運用する機能を自前で持つ会社へ、1年のうちに二つの機能を取り込んだことになる。従業員数は前期末から57名増えて157名となった[9]。
結果
1年で連結売上が2.4倍になる
2015年9月期の連結売上高は153億円と、前期63億円の2.4倍に達した。営業利益は100億8,100万円で191.3%増、経常利益は100億5,100万円で208.0%増、当期純利益は63億4,300万円で219.0%増。リース事業組成金額は2,973億4,900万円と76.3%増え、出資金販売額は841億7,800万円と2.2倍になった。有報は増加の要因に、FPG AIMグループとFPG AMENTUMとの連携推進を挙げている[10]。
買った事業そのものの売上は小さかった。航空機投資管理サービス事業の売上高は初年度2億4,500万円、翌2016年9月期も5億2,200万円にとどまる。効いたのは新セグメントの稼ぎではなく、組成力を通じて本業へ回った波及であった。同じ期にコミットメントライン契約等の総額を450億円から744億5,000万円へ広げ、組成に必要な資金の手当ても厚くしている[11][12]。
市況までは買えなかった
上流を持ったことは、市況そのものを制御する力までは与えなかった。FPG AMENTUMが独立したセグメントとして表に出た2019年9月期の売上高は10億9,500万円、セグメント損失は8,900万円である。翌2020年9月期、新型コロナウイルスの流行で航空需要が消えると、連結売上高は266億円から127億円へ半減し、営業利益は144億円から19億円へ落ちた[13]。
それでも機能は残った。2026年9月期中間期、FPG Amentumが進めてきた米国投資家向けリースアレンジメント案件が成約し、その手数料などによってリースファンド事業の売上高は171億4,100万円と18.0%伸びた。同社の業績好調による賞与増加が販管費を押し上げるほどで、税制改正で不動産小口化商品の販売が止まった期の連結を、11年前に買った会社が下支えした[14]。
- FPG 有価証券報告書【沿革】
- 週刊東洋経済 2012年8月31日号「会社四季報最新情報」
- 日本M&Aセンター(2013年11月28日)「FPG(7148)、アイルランドのAMENTUM CAPITAL LIMITEDと資本業務提携」
- 日本経済新聞(2013年11月)「FPG、航空機リース会社と資本提携」
- FPG「アメンタム社との日本型オペレーティング・リース第2号案件の組成・販売開始について」(2015年3月24日)
- FPG 有価証券報告書(2015年9月期・連結)
- FPG 有価証券報告書(2016年9月期・連結)
- FPG 有価証券報告書(2019年9月期・2020年9月期/セグメント情報)
- FPG 2026年9月期 第2四半期(中間期)決算短信(2026年4月28日)