FPGの直近の業績・経営課題と展望
FPGの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望
節税商品の事業領域拡張と税制改正への備え
FPG連結業績は、コロナ禍によるFY20の急落(連結営業利益19億円)から、FY22の117億円、FY23 183億円、FY24 286億円、FY25 254億円へと4期で約13倍の水準まで回復した。連結売上はFY21の149億円からFY24の1,078億円、FY25の1,298億円へと4年で約8.7倍に拡大し、創業以来最高水準の収益体質に到達した。コロナ禍後の航空機リース市場の正常化と、信託・不動産・PE領域の商品ライン拡充が同時に効いた結果である。一方、FY25営業利益はFY24をやや下回る254億円となり、急成長の踊り場が見える局面でもある。
本業のオペレーティングリース匿名組合商品は、減価償却の前倒し計上による法人税の繰延べを提供する設計で、税制改正の影響を直接受ける性質を持つ。日本の税制では航空機リース・コンテナリースの匿名組合スキームに対する課税ルールの見直し議論が断続的に発生しており、2014年・2018年の税制改正で一部の節税効果が制限されてきた経緯がある。次の税制改正で類似の規制が課された場合、本業の商品設計が見直しを迫られる可能性は残る。FPGはこのリスクに対し、信託機能を核とする商品設計(FPG信託・不動産小口化商品・「F.bit」)と、PE・共同保有プラットフォーム・航空運航といった節税商品以外の事業領域を継続的に拡張することで、税制改正に対する事業基盤の頑健性を高める戦略を採用している。
2023年11月のAND ART(現AND OWNERS)子会社化による共同保有プラットフォーム事業開始は、節税商品の対象資産(船舶・航空機・コンテナ・不動産)の延長として、アート・実物資産の共同保有を匿名組合・信託機能で組み立てる新領域である。2024年4月のオンリーユーエアでのプライベートジェット事業開始は、航空運航事業の高付加価値領域への進出で、富裕層向けの「リース+運航」セット提供を狙う事業拡張となる。2025年5月のFPG証券での受益証券発行信託による小口化商品「F.bit」取扱開始は、従来1,000万円から数千万円の最低投資額が必要だった節税商品を、個人投資家層に開放する戦略的商品で、対象顧客層を富裕層から準富裕層・一般個人へ広げる狙いを持つ。
創業社長・谷村尚永の24年継続経営は、税制環境の変化に対する商品設計の柔軟性と、リース・信託・PE・不動産・航空・小口化商品といった事業領域拡張の継続性を支えてきた。1959年生まれの谷村は2026年に67歳となり、創業25年目を経て次代の経営者への継承段階に近づきつつある。髙橋和樹取締役専務執行役員(2023年9月就任)が次世代の執行体制の中核として位置づけられているが、創業社長の単独代表型経営から複数代表制・後継者育成型経営への移行をどう進めるかが、創業25年目を迎えるFPGの構造論点となる。総合金融グループへの自己定義の組み替えを完成させた次の段階で、富裕層向けの節税商品専業から個人投資家層への拡張をどう持続するかが、創業社長から次代への継承を視野に入れた経営判断の中心議題となっている。
FPGの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)
| 項目 | 単位 | FY162016/9 | FY172017/9 | FY182018/9 | FY192019/9 | FY202020/9 | FY212021/9 | FY222022/9 | FY232023/9 | FY242024/9 | FY252025/9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益計算書 (PL) | |||||||||||
| 売上高YoY | 億円 | 189+23.4% | 211+11.5% | 220+4.6% | 266+20.7% | 127−52.2% | 149+17.4% | 592+296.6% | 711+20.2% | 1,078+51.5% | 1,298+20.4% |
| └リースファンド事業 | 億円 | — | — | — | — | — | — | — | 222 | 293 | 298 |
| └国内不動産ファンド事業 | 億円 | — | — | — | — | — | — | — | 451 | 751 | 960 |
| └海外不動産ファンド事業 | 億円 | — | — | — | — | — | — | — | 28 | 27 | 35 |
| 売上原価 | 億円 | 25 | 26 | 32 | 61 | 48 | 32 | 406 | 448 | 694 | 937 |
| 売上総利益 | 億円 | 164 | 185 | 188 | 204 | 79 | 117 | 186 | 263 | 383 | 360 |
| 販管費 | 億円 | 45 | 51 | 58 | 60 | 61 | 64 | 69 | 80 | 97 | 106 |
| 営業利益YoY | 億円 | 119+17.6% | 134+13.2% | 131−2.6% | 144+10.5% | 19−87.0% | 52+178.5% | 117+124.4% | 183+55.5% | 286+56.8% | 254−11.2% |
| 経常利益YoY | 億円 | 119+18.4% | 137+15.2% | 126−7.9% | 144+14.0% | 17−88.1% | 51+199.5% | 125+142.2% | 180+44.3% | 289+60.7% | 265−8.4% |
| 当期純利益YoY | 億円 | 76+20.5% | 96+25.3% | 90−6.2% | 100+11.6% | 11−88.7% | 29+159.3% | 85+187.7% | 125+47.1% | 205+64.1% | 182−11.2% |
| 貸借対照表 (BS) | |||||||||||
| 自己資本比率 | % | 21.8 | 29.5 | 34.5 | 26.0 | 20.5 | 31.8 | 22.8 | 24.1 | 23.1 | 45.0 |
| 有利子負債比率 | % | 42.9 | 49.5 | 41.3 | 53.7 | 53.5 | 46.5 | 53.9 | 47.3 | 57.7 | 37.1 |
| キャッシュフロー (CF) | |||||||||||
| 営業CF | 億円 | -17 | 30 | 116 | -248 | 122 | 267 | -509 | 48 | -293 | 1,082 |
| 投資CF | 億円 | -4 | -0 | -9 | -4 | -22 | -11 | -6 | -94 | 66 | 8 |
| 財務CF | 億円 | 36 | 7 | -98 | 288 | -9 | -319 | 436 | 73 | 242 | -1,109 |
| 従業員 | |||||||||||
| 連結従業員数 | 人 | 196 | 227 | 252 | 262 | 338 | 336 | 337 | 307 | 355 | 383 |
| 単体従業員数 | 人 | 157 | 176 | 205 | 216 | 235 | 234 | 241 | 248 | 287 | 309 |
| 平均年収(単体) | 万円 | — | — | — | 847 | 861 | 894 | 917 | 1,010 | 1,091 | 1,019 |
IR資料直近5ヵ年
決算説明会資料
| FY | 報告資料の種別 | 見所 | リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります |
|---|---|---|---|
| FY26 | 決算説明会 | 2025年9月期通期決算。税制改正影響を受け減収減益。リースファンド事業の主力構造維持と、海外不動産ファンド・航空機リース事業の個人投資家向け小口化商品展開を提示。 | https://f.irbank.net/pdf/20251030/140120251029581890.pdf |
| FY25 | 決算説明会 | 2024年9月期通期決算。オペレーティング・リース組成減少を背景に減益。リースファンド事業の収益構造再構築と海外不動産ファンド事業の拡大方針を整理。 | https://f.irbank.net/pdf/20241031/140120241031507585.pdf |