FPGの直近の業績・経営課題と展望

FPGの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/9売上高1,298億円YoY+20.4%
2025/9売上総利益360億円YoY▲6%
2025/9販売費及び一般管理費106億円YoY+9.4%
2025/9営業利益254億円YoY▲11.2%
2025/9経常利益265億円YoY▲8.4%
2025/9親会社株主に帰属する当期純利益182億円YoY▲11.2%
2025/9自己資本比率45%YoY+21.9pt
2025/9有利子負債合計470億円前年比▲86,155億円
2025/9現金同等物期末残高143億円YoY▲10.7%
経営トップ谷村尚永代表取締役社長
2025/9従業員数383前年比+28人
2025/9平均給与1,019万円前年比▲72万円
歴史的背景2001年に谷村尚永が個人創業したFPGは、海上コンテナ・船舶・航空機のオペレーティングリース匿名組合商品で富裕層・中堅企業向けの節税スキーム提供を主力事業として育てた。2010年JASDAQ上場・2012年東証一部昇格・2022年プライム市場移行と4回の市場区分移行を経て、リース・信託・証券・PE・航空・不動産・貸金の7領域を抱える総合金融グループへ事業構造を組み替えた。
経営課題本業の収益貢献は依然として航空機・船舶・コンテナのオペリース匿名組合商品が中心で、税制改正(リース税制の見直し議論を含む)・国際金利動向・実物資産市況に強く規定される。FY24連結売上1,078億円・営業利益286億円という過去最高水準を、次の税制環境変化に対してどう持続させるかが当面の論点。創業社長・谷村尚永(1959年生まれ)の継続経営の継承段階への準備も次代の経営課題となる。
経営方針谷村尚永代表執行役員(FY10〜現任)は、本業の節税商品(オペリース匿名組合)の継続販売と、信託機能を核とする不動産小口化商品・PE・共同保有プラットフォーム・個人向け小口化商品「F.bit」(2025年5月開始)への事業領域拡張を並行して進める。富裕層向け専業から個人投資家層への顧客拡張を、信託・小口化商品で実現する戦略を採用している。
主な投資2023年11月のAND ART(現AND OWNERS)子会社化(共同保有プラットフォーム事業開始)、2024年4月のオンリーユーエアでのプライベートジェット事業開始、2025年5月のFPG証券での受益証券発行信託による小口化商品「F.bit」取扱開始が直近の主な事業投資。営業拠点も2024年10月今治、2025年4月盛岡、2025年7月水戸・京都と地方都市への展開を継続する。

節税商品の事業領域拡張と税制改正への備え

FPG連結業績は、コロナ禍によるFY20の急落(連結営業利益19億円)から、FY22の117億円、FY23 183億円、FY24 286億円、FY25 254億円へと4期で約13倍の水準まで回復した。連結売上はFY21の149億円からFY24の1,078億円、FY25の1,298億円へと4年で約8.7倍に拡大し、創業以来最高水準の収益体質に到達した。コロナ禍後の航空機リース市場の正常化と、信託・不動産・PE領域の商品ライン拡充が同時に効いた結果である。一方、FY25営業利益はFY24をやや下回る254億円となり、急成長の踊り場が見える局面でもある。

本業のオペレーティングリース匿名組合商品は、減価償却の前倒し計上による法人税の繰延べを提供する設計で、税制改正の影響を直接受ける性質を持つ。日本の税制では航空機リース・コンテナリースの匿名組合スキームに対する課税ルールの見直し議論が断続的に発生しており、2014年・2018年の税制改正で一部の節税効果が制限されてきた経緯がある。次の税制改正で類似の規制が課された場合、本業の商品設計が見直しを迫られる可能性は残る。FPGはこのリスクに対し、信託機能を核とする商品設計(FPG信託・不動産小口化商品・「F.bit」)と、PE・共同保有プラットフォーム・航空運航といった節税商品以外の事業領域を継続的に拡張することで、税制改正に対する事業基盤の頑健性を高める戦略を採用している。

2023年11月のAND ART(現AND OWNERS)子会社化による共同保有プラットフォーム事業開始は、節税商品の対象資産(船舶・航空機・コンテナ・不動産)の延長として、アート・実物資産の共同保有を匿名組合・信託機能で組み立てる新領域である。2024年4月のオンリーユーエアでのプライベートジェット事業開始は、航空運航事業の高付加価値領域への進出で、富裕層向けの「リース+運航」セット提供を狙う事業拡張となる。2025年5月のFPG証券での受益証券発行信託による小口化商品「F.bit」取扱開始は、従来1,000万円から数千万円の最低投資額が必要だった節税商品を、個人投資家層に開放する戦略的商品で、対象顧客層を富裕層から準富裕層・一般個人へ広げる狙いを持つ。

創業社長・谷村尚永の24年継続経営は、税制環境の変化に対する商品設計の柔軟性と、リース・信託・PE・不動産・航空・小口化商品といった事業領域拡張の継続性を支えてきた。1959年生まれの谷村は2026年に67歳となり、創業25年目を経て次代の経営者への継承段階に近づきつつある。髙橋和樹取締役専務執行役員(2023年9月就任)が次世代の執行体制の中核として位置づけられているが、創業社長の単独代表型経営から複数代表制・後継者育成型経営への移行をどう進めるかが、創業25年目を迎えるFPGの構造論点となる。総合金融グループへの自己定義の組み替えを完成させた次の段階で、富裕層向けの節税商品専業から個人投資家層への拡張をどう持続するかが、創業社長から次代への継承を視野に入れた経営判断の中心議題となっている。

FPGの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY162016/9連結 / JGAAPFY172017/9連結 / JGAAPFY182018/9連結 / JGAAPFY192019/9連結 / JGAAPFY202020/9連結 / JGAAPFY212021/9連結 / JGAAPFY222022/9連結 / JGAAPFY232023/9連結 / JGAAPFY242024/9連結 / JGAAPFY252025/9連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円189+23.4%211+11.5%220+4.6%266+20.7%127−52.2%149+17.4%592+296.6%711+20.2%1,078+51.5%1,298+20.4%
リースファンド事業億円222293298
国内不動産ファンド事業億円451751960
海外不動産ファンド事業億円282735
売上原価億円252632614832406448694937
売上総利益億円16418518820479117186263383360
販管費億円455158606164698097106
営業利益YoY億円119+17.6%134+13.2%131−2.6%144+10.5%19−87.0%52+178.5%117+124.4%183+55.5%286+56.8%254−11.2%
経常利益YoY億円119+18.4%137+15.2%126−7.9%144+14.0%17−88.1%51+199.5%125+142.2%180+44.3%289+60.7%265−8.4%
当期純利益YoY億円76+20.5%96+25.3%90−6.2%100+11.6%11−88.7%29+159.3%85+187.7%125+47.1%205+64.1%182−11.2%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%21.829.534.526.020.531.822.824.123.145.0
有利子負債比率%42.949.541.353.753.546.553.947.357.737.1
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円-1730116-248122267-50948-2931,082
投資CF億円-4-0-9-4-22-11-6-94668
財務CF億円367-98288-9-31943673242-1,109
従業員
連結従業員数196227252262338336337307355383
単体従業員数157176205216235234241248287309
平均年収(単体)万円8478618949171,0101,0911,019

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

FY報告資料の種別見所リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY26決算説明会2025年9月期通期決算。税制改正影響を受け減収減益。リースファンド事業の主力構造維持と、海外不動産ファンド・航空機リース事業の個人投資家向け小口化商品展開を提示。
FY25決算説明会2024年9月期通期決算。オペレーティング・リース組成減少を背景に減益。リースファンド事業の収益構造再構築と海外不動産ファンド事業の拡大方針を整理。

参考文献・出所

FPG有価証券報告書
FPG決算短信