この判断の中心にあるのは、店の数を増やす力から、1店の稼ぐ力へ経営の目盛りを付け替えたことにあると思われる。粗利の75%をオーナーへ渡し、本部の取り分を売上の約10%に抑える設計は、売れた分のほとんどを店に残す仕組みでもある。人を雇って管理する代わりに、意欲そのものを制度で引き出す道を選び、成果は1店当たり経常利益の131万円から282万円への伸びとなって表れた。
もっとも、この仕組みが持ちこたえる条件は、店が売れ続けることに置かれていた。売上が伸びる限りオーナーの手取りは増え、本部は労務も休日も抱えずに済む。売上が落ちれば、その減少はまずオーナーの収入から差し引かれる。1994年に180店の閉鎖が決まったとき、閉じられたのはほとんどが直営店で、余った人員にはオーナーになる道が示された。効率のよい仕組みが、環境が変わったときに誰の側へ負担を寄せるのか——その問いは、制度を作った時点では表に出ていなかったのだろう。