コナミグループ監査役会廃止と監査等委員会移行:監査役5名を退かせ、社外取締役3名に監査と監督を兼ねさせた機関設計の組み替え

更新:

時期 2021年6月
当時の社長 東尾公彦
論点 監査をだれに、どこで担わせるか
概要

2021年6月24日の第49回定時株主総会で定款を変更し、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。掲げた目的は、取締役会の監督機能とコーポレート・ガバナンスの一層の強化である。

移行後の取締役会は、取締役5名と監査等委員である取締役3名の計8名。監査等委員はいずれも社外取締役で、全員が東京証券取引所の定める独立役員に指定されている。監査役5名のうち4名は社外監査役で、同じ総会の終結をもって任期満了により退任した。

背景

2006年3月の持株会社体制への移行以来、取締役会の役割はグループ経営の基本方針と戦略の決定、業務執行の監督と重要事項の決定に置かれ、経営と事業の執行を明確に分けてきた。

移行の前年にあたる2020年3月期の役員は、取締役8名と監査役5名の13名。うち社外役員は社外取締役3名と社外監査役4名の7名にのぼる。監査役会は常勤監査役古川真一氏が議長を務め、社外常勤監査役の丸岡稔氏を含む2名が常勤だった。取締役の報酬を決める報酬委員会は代表取締役2名と社内取締役1名で構成され、社外役員は加わっていない。

内容

定款で定める員数は、取締役12名以内から、取締役(監査等委員である取締役を除く)12名以内と監査等委員である取締役5名以内へ組み替えた。任期は取締役が1年、監査等委員である取締役が2年で、監査役の4年より短い。

報酬の限度額は、取締役が年8億7,500万円、監査等委員である取締役が年9,850万円と第49回定時株主総会で決議している。報酬委員会には独立社外取締役3名が加わって5名となり、独立役員が過半数を占めた。監査等委員会は常勤の委員を置かず、委員長を社外取締役が務め、総務本部の構成員等を補助使用人とする事務局を設けている。

含意

移行した2022年3月期は、6月24日までに監査役会を2回、その後に監査等委員会を7回開いた。出席率はいずれの回も100%である。

監査等委員となった弦間明氏・山口香氏・久保公人氏は、移行前から社外取締役を務めていた顔ぶれで、外から新たに人を招いたわけではない。社外役員は7名から3名へ減り、常勤で社内に張りつく監査の目はなくなった。任意の指名委員会は置かず、指名は取締役会に委ねたままとしている。

筆者の見解

監査を置く場所の付け替え

この移行で入れ替わったのは監査の担い手ではなく、監査を置く場所だった。監査等委員となった3名は移行前から取締役会に座っていた社外取締役であり、取締役会の顔ぶれはほとんど動いていない。消えたのは監査役会という別室と、そこに詰めていた常勤2名を含む社外監査役4名である。社外役員は7名から3名へ減り、社内に張りついて日々の執行を見る目はなくなった。監督の強化を掲げた組み替えが、実際には監視に充てる人数の圧縮をともなっていたことになる。

もっとも、形だけの組み替えに終わったわけではない。取締役の個人別報酬を決める報酬委員会には独立社外取締役3名が入り、独立役員が過半数を占めた。代表取締役と社内取締役だけで報酬を決めていた体制からは、明らかに一歩進んでいる。ただし任意の指名委員会は置かれず、だれを取締役にするかの判断は、創業者である上月景正氏が議長を務める取締役会の内側に残された。監査と報酬には外の目を入れ、指名には入れない。選ばれたのはその線引きだったとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

経緯と対応

科目 概要 備考
決議 2021年6月24日 第49回定時株主総会で定款の変更を決議し、同日付で移行した
移行の目的 取締役会の監督機能の強化 監査等委員会の設置により、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図る
機関設計を選んだ理由 効率的な経営・執行体制の確立 取締役会の意思決定と、取締役の職務執行に対する監督機能を強めるため
移行前の体制 取締役8名・監査役5名 社外取締役3名、社外監査役4名。常勤監査役は古川真一氏と丸岡稔氏の2名
移行後の体制 取締役8名 取締役5名と監査等委員である取締役3名。監査役5名は任期満了で退任した
監査等委員 社外取締役3名 弦間明氏・山口香氏・久保公人氏。いずれも移行前からの社外取締役
常勤の監査等委員 置いていない 監査等委員会事務局を設け、総務本部の構成員等を補助使用人に充てた
監査等委員会の委員長 社外取締役 取締役会の議長は代表取締役会長上月景正氏が務める
定款上の員数 取締役12名・監査等委員5名以内 移行前は取締役12名以内。取締役会の上限は17名へ広がった
取締役の任期 1年(監査等委員である取締役は2年) 移行前は取締役が1年、監査役が4年だった
報酬の限度額 取締役は年8億7,500万円 監査等委員である取締役は年9,850万円。ともに第49回定時株主総会で決議
報酬委員会の構成 独立社外取締役3名を含む5名 移行前は代表取締役2名と社内取締役1名のみ。独立役員が過半数を占めた
任意の指名委員会 設置していない 独立役員から必要に応じて適切な関与・助言を得られているため
監査等委員会の開催 移行後7回(2022年3月期) 移行までの監査役会は2回。監査役・監査等委員とも出席率は100%だった

出所:コナミホールディングス 有価証券報告書 第48期(2020年3月期)・第49期(2021年3月期)・第50期(2022年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】

コナミグループ:取締役会と監査機関の員数

(人) 取締役うち社外取締役監査役うち社外監査役 備考
2017年3月期 9354 有価証券報告書の提出日現在の員数。以下の期も同じ
2018年3月期 9354
2019年3月期 9354
2020年3月期 8354 移行の前年。社外役員は社外取締役3名と社外監査役4名の7名
2021年3月期 8300 提出日は2021年6月25日。6月24日の移行後の構成で、監査役は退任済み
2022年3月期 8300 移行が期中に起きた期。取締役5名と監査等委員である取締役3名
2023年3月期 8300
2024年3月期 9400 監査等委員でない社外取締役1名が加わり、社外取締役は4名になった
2025年3月期 9400
2026年3月期 9400
2027年3月期 第55期は未到来
取締役・監査役の員数と社外取締役の比率
取締役(人)監査役(人)うち社外取締役率(%)

出所:コナミホールディングス/コナミグループ 有価証券報告書 第45〜54期【コーポレート・ガバナンスの状況等】

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出典・参考

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