ココカラファインとの統合協議(2019年・スギHDの決断)

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論点 単独存続か業界再編への参加か
スギHD:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
規模拡大を狙った同業大手との経営統合の模索と、2019年の破談

何をなぜ決めたか:規模拡大を狙った同業大手との経営統合の模索と、2019年の破談

概要

2019年4月27日付で、スギホールディングスがココカラファインに経営統合を提案した。ココカラは6月1日の取締役会でスギとの検討・協議の開始を決議して合意書を結び、7月31日を目途に基本合意書の締結を目指した。だが8月14日、ココカラは特別委員会の報告を踏まえてマツモトキヨシHDとの経営統合協議の開始を決議し、16日にはマツキヨへ独占交渉権を与えた。スギとの統合は基本合意に至らずに終わった。

背景

スギの提案は、ココカラがマツキヨHDとの資本業務提携の検討・協議開始を公表した2019年4月26日の翌日付だった。マツキヨとの提携は、両社合計で3,000店超のドラッグストアと調剤薬局の相乗効果を追い、仕入・物流の共同化やPB商品の共同開発を進める構想だった。

ココカラは2019年3月末で1,354店舗(うち調剤薬局292店舗)。スギは2019年2月期の売上高が4,885億円、店舗は1,190店舗(うち調剤実施833店舗)で、調剤を核とした医療・介護の強化で日本一のヘルスケアカンパニーを目指す、という提案を持ち込んだ。

内容

ココカラは6月1日の時点で、マツキヨとスギとの協議を客観的な立場から総合的に検討するため特別委員会を置くと表明し、6月10日に設置を決めた。委員は元イトーヨーカ堂社長の亀井淳氏ら外部の有識者5名と社外取締役1名の計6名で、いずれも両社と利害関係を持たない。

報告は7月末の予定から8月上旬へずれ込み、8月7日に受け取った。取締役会は、自社だけで経営課題を克服するのは容易でなく他社との統合が適切だと確かめたうえで、マツキヨとの統合には店舗作業の効率性やPB商品の開発で大きなシナジー効果が生じる可能性があると判断した。

含意

マツキヨとココカラは2020年1月31日に経営統合の基本合意書を結び、国内で売上高1兆円・3,000店舗の拠点化を目標に掲げた。2021年2月26日の経営統合契約を経て、10月1日に株式交換で統合し、商号をマツキヨココカラ&カンパニーに改めた。スギが統合を提案した相手は、ライバルと組んで業界の上位を争う側に回った。

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考察:選ぶ側が決めた勝敗
考察

考察:選ぶ側が決めた勝敗

この破談は、スギが条件で負けたというより、選ぶ側が相手を決める仕組みを先に整えたことで決着した案件だったと思われる。スギはマツキヨの提携協議の公表の翌日付で提案し、調剤を核にした医療・介護の強化という筋の通った構想も持ち込んだ。しかしココカラは、両社と利害関係のない6名の特別委員会に比較を委ね、その報告を踏まえて店舗作業とPB商品のシナジーの大きさでマツキヨを選んだ。提案の速さや熱意は、この物差しの上では決め手になりにくかったのだろう。

もっとも、スギが得たものが何も無かったとは言い切れない。マツキヨが当初示したのは資本業務提携の協議にすぎず、スギの提案が加わったことで、ココカラの選択は提携か統合かではなく、どちらと統合するかへ変わった。結果としてマツキヨとココカラは売上高1兆円・3,000店舗を目標とする統合へ進んだ。争奪戦に名乗りを上げたこと自体が、再編の速度を上げる触媒として働いた面があるとみられる。

参考文献

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