大型店は大商圏に出店するのが常識であり、小さな町に2,000平方メートルの店を出すという発想は業界の通念に反していた。しかし宇野は「小さな商圏だからこそ競合が少なく、一度根付けば圧倒的なシェアを取れる」と考えた。実際、コスモス薬品の出店エリアでは食品スーパーやコンビニからの顧客流…
1994年に業界に先駆けて導入したポイント還元を、2003年に業界に先駆けて廃止する。この判断には、過去の成功体験に囚われない合理性がある。多くの企業では「自分たちが始めた施策」への愛着が判断を曇らせるが、宇野は顧客にとって最適かどうかだけを基準に据えた。さらに、上場前というタイ…
全国展開と聞くと、東京に旗艦店を出すことを想像しがちだが、宇野が選んだのは正反対のアプローチであった。山口→愛媛→広島→兵庫→三重→福井と、地図上で物流網を一県ずつ延伸していく。この「染み出す」戦略の本質は、物流コストの最適化にある。コスモス薬品は既存の物流圏の外縁に新エリアを接…
コスモス薬品の全国展開は、飛び地の出店を一切行わない「地続き」の原則に貫かれている。九州→中国→四国→関西→中部→関東と、物流圏を段階的に拡張しながら進出した。急いで東京に出ることもできたが、宇野は「足元の地盤が固まらないまま遠征すれば倒れる」と判断し、約15年をかけて西日本の基…
ドラッグストア業界で売上1兆円に到達した企業は複数あるが、そのほとんどはM&Aによる規模拡大を経ている。コスモス薬品が異質なのは、52年間にわたり一度もM&Aを行わず、全1,609店舗を自力で出店して1兆円に到達した点にある。この成長モデルは、フォーマットの均質性と出店速度の両立…