メディパルHDへ移行(2009年・メディパルHDの決断) 更新:2026/07/23 論点 純粋持株会社へ移行するか メディパルHD:業績の推移 売上高(億円)営業利益率(%) 会社分割による医薬品卸事業の切り出しと純粋持株会社への移行 何をなぜ決めたか:会社分割による医薬品卸事業の切り出しと純粋持株会社への移行 概要 2009年5月15日に分割契約と合併契約を締結し、同年10月1日、メディセオ・パルタックホールディングスは吸収分割で純粋持株会社へ移り、商号を株式会社メディパルホールディングスへ改めた。承継させた資産は6,631億51百万円、負債は6,081億15百万円。同日、クラヤ三星堂を存続会社としてグループの卸売事業会社6社が合併し、商号を株式会社メディセオへ変更した。 背景 前年10月に発表した業界2位アルフレッサホールディングスとの経営統合は、公正取引委員会の審査の長期化を理由に2009年1月に白紙となった。売上高4兆円・シェア5割の新会社構想は3カ月で消えた。 内容 2004年10月の分割で持株会社に残していた仕入・物流・システム・カスタマーサポートの機能まで分割し、クラヤ三星堂へ承継させた。合併した6社の単純合算の従業員数は5,571人で、メディセオの社長には渡辺秀一氏が就任した。 含意 2010年3月期の連結売上高は2兆5,460億29百万円・営業利益184億33百万円、当期純利益はPaltac上場に伴う関係会社株式売却損等で19億58百万円にとどまった。提出会社の売上高は1兆6,173億円から8,225億円へ、総資産は9,217億円から2,547億円へ減少した。提出会社の従業員は636名減って39人となり、人と資産は事業会社側へ移った。 いつ何が起きたか 8件 考察:統合できなかった年に、内側を畳んだ 考察 考察:統合できなかった年に、内側を畳んだ 2009年の再編は、前年に発表した4兆円の統合が消えた後に残された仕事であった。1位と2位が一つになれば拠点は半分で済むという計算は、公正取引委員会の審査という外の事情で立ち行かなくなった。代わりに実行されたのが、自社グループの内側に9年分たまっていた法人の数を減らす作業であった。千秋薬品や井筒クラヤ三星堂といった商号が消えた10月1日は、買収で全国網を埋めた時代の終わりにあたる。 純粋持株会社への移行は、外からは見えにくい判断でもある。売上高も従業員も持株会社の数字からは消え、有価証券報告書の連続性は一度断たれる。それでも、仕入・物流・システムを事業会社へ移したことで、価格の決定と在庫の責任は1社に集まった。メディセオの初代社長に就任した渡辺秀一氏は、その3年後にメディパルの社長へ移り、2025年5月に療養を公表するまで13年にわたって在任した。 Yutaka Sugiura, 2026年7月 数字で見る 1表 数字で見る 図と表 会社分割と合併の条件 分割契約・合併契約の締結 2009年5月15日 企業結合日 2009年10月1日 会社分割の法的形式 吸収分割 分割した事業の範囲 医療用医薬品等卸売事業 分割の対価 交付なし 承継した資産 663,151百万円 承継した負債 608,115百万円 承継会社 株式会社クラヤ三星堂 表を見る 会社分割と合併の条件 × 科目 概要 備考 分割契約・合併契約の締結 2009年5月15日 会社分割契約と、医療用医薬品等卸売事業会社6社の合併契約を同じ日に結んだ 企業結合日 2009年10月1日 会社分割と6社の合併を同日に実施した 会社分割の法的形式 吸収分割 当社を分割会社、株式会社クラヤ三星堂を承継会社とする 分割した事業の範囲 医療用医薬品等卸売事業 仕入機能・物流機能・システム機能・カスタマーサポート機能等、一切の事業 分割の対価 交付なし 承継会社が完全子会社のため、株式を含む金銭等の交付を行っていない 承継した資産 663,151百万円 2009年9月30日現在。流動資産614,630百万円、固定資産48,521百万円 承継した負債 608,115百万円 2009年9月30日現在。流動負債606,471百万円、固定負債1,644百万円 承継会社 株式会社クラヤ三星堂 東京都中央区八重洲。資本金100百万円。同日、商号を株式会社メディセオへ変更 会計処理 共通支配下の取引 企業結合に係る会計基準および事業分離等会計基準に関する適用指針に基づく 合併の法的形式 吸収合併 クラヤ三星堂を存続会社とし、卸売事業会社5社が解散した 解散した会社 5社 千秋薬品・潮田クラヤ三星堂・やまひろクラヤ三星堂・平成薬品・井筒クラヤ三星堂 合併6社の議決権所有割合 100.0% 完全子会社間の合併のため、株式を含む金銭等の交付を行っていない 存続会社の規模 資産374,873百万円 2009年3月31日現在。負債346,787百万円、純資産28,086百万円 商号変更 株式会社メディパルホールディングス 2009年10月1日。それまでの商号はメディセオ・パルタックホールディングス 提出会社の売上高 822,512百万円 2010年3月期。前期は1,617,310百万円。分割前の6か月ぶんだけが残った 提出会社の総資産 254,707百万円 2010年3月期末。前期末は921,754百万円。自己資本比率は29.5%から84.1%へ 提出会社の従業員数 39人 2010年3月期末。執行役員6名は外数。前期末に比べ636名減った 移行後の連結売上高 2,546,029百万円 2010年3月期。営業利益18,433百万円、当期純利益1,958百万円 出所:メディパルホールディングス 有価証券報告書 第101期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】【企業結合等関係】【主要な経営指標等の推移】【従業員の状況】 出所:メディパルホールディングス 有価証券報告書 第101期(2010年3月期)【経営上の重要な契約等】【企業結合等関係】【主要な経営指標等の推移】【従業員の状況】 参考文献 参考文献 参考メディパルホールディングス 有価証券報告書【沿革】メディパルホールディングス 有価証券報告書(2011年3月期・連結)日本取引所グループ(2026年7月15日)「上場廃止等の決定:(株)PALTAC」メディパルホールディングス 有価証券報告書「第101期(2009年4月1日〜2010年3月31日)有価証券報告書」 次に読む決断 メディパルHDの意思決定2000年メディパルHDメディパルHD三社合併でクラヤ三星堂発足医薬品卸3社の対等合併と、これに伴う本店の東京移転2000年2005年メディパルHDメディパルHDパルタックの完全子会社化全国大手の日用品卸の統合と、医薬品卸だけの事業構成の転換2005年同じ問い:持株会社化による選択と集中2008年イオンイオンイオンリテール分割と持株会社化総合スーパー事業の切り出しと戦略・事業を分けた純粋持株会社2008年2006年DOWADOWA持株会社制への移行5部門を10社へ分社し、事業運営の権限を事業会社へ移管する再配置2006年2005年古河機械金属古河機械金属日立古河建機を譲渡建設機械事業からの撤退と、主要6事業の分社による体制再編2005年2002年パイロットコーポレーションパイロットコーポレーション持株会社の設立と3社統合3社共同の株式移転による事業会社の吸収合併によるグループ一体化2002年2021年ソニーソニー持株会社への移行Purposeを軸とする体制と、祖業の商号の子会社への譲渡によるグループ本社への特化2021年 × 出所