筆者の見解
破綻企業の救済という最初の一手が持つ意味
この判断の出発点にあったのは、就任時に語られた"陸運業界ビッグ5入り"という抽象的な目標であった。だが、それを最初に具体化した手段が新規事業の立ち上げでも大型買収でもなく、経営破綻した同業他社の事業を譲受して引き取ることであった点は、目を引く選択であったといえる。破産による清算ではなく事業譲受を選んだ判断には、住宅物流という手薄だった領域を埋める意図があったと思われる。
一度限りの救済的な取得にとどまらず、以後の東京納品代行や丸藤、ランテックへと連なる年次M&Aの型を用意した点に、この判断の射程の長さがうかがえる。就任直後の宣言と、破綻企業の受け皿となった最初の一手が、結果として20年に及ぶ規模拡大の出発点になったという事実は、経営者の言葉がどのような具体的な一歩と結びついたときに実行力を持ちうるかを示している。
Yutaka Sugiura, 2026年7月