イビデンの電力事業からの撤退は、電力を外部に販売する事業から、自社のカーバイド製造に電力を振り向ける垂直統合の志向であった。水力発電のコスト優位は売電でも活かせたが、化学品製造の原価に組み込むことでより直接的な競争力に変換された。ただし、戦後の石油化学の普及によるカーバイド市場の…
イビデンのプリント配線板参入は、メラミン化粧板で蓄積したエッチング加工技術の転用によって実現した。建材と半導体基板は最終製品として全く異なるが、化学薬品による腐食加工という製造工程では共通する。この技術の転用が、電力・カーバイドの企業をエレクトロニクス部品メーカーへと変える転換点…
パッケージ基板市場がセラミック製で確立されていた1987年に、イビデンはあえてプラスチック製に素材を絞って参入した。絶縁性の優位性という技術的判断は正しかったが、積層加工の困難から価格競争力を欠き、1990年代前半まではPC向け市場に入り込めなかった。先見性のある素材選定と、市場…
イビデンのインテル攻略プロジェクトは、研究開発予算のほぼ全額を単一プロジェクトに集中させるという極端な資源配分の決断であった。通常5〜6年の開発を2年に圧縮する目標設定、他部署との兼務禁止、解散時の雇用保証というルール設計は、組織の全エネルギーを一点に収束させるための仕組みであっ…
イビデンは618億円の設備投資を全額自己資金で実行し、銀行借入や資本市場からの調達を見送った。半導体関連事業は需要変動が激しく、好況期の利益を次の投資に充当するサイクルを自己資金で完結させることで、不況期に借入返済の負担を負わない構造を志向したと考えられる。翌2009年のリーマン…