京セラの直近の業績・経営課題と展望

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京セラの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高20,145億円YoY+0.5%
2025/3売上総利益5,592億円YoY+1.1%
2025/3販売費及び一般管理費5,319億円YoY+15.6%
2025/3営業利益273億円YoY▲70.6%
2000/3経常利益975億円YoY+57.8%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益241億円YoY▲76.2%
2025/3自己資本比率70.8%YoY▲0.9pt
2025/3有利子負債合計2,470億円前年比+37,809億円
2025/3現金同等物期末残高4,447億円YoY+4.7%
経営トップ谷本秀夫取締役社長
2025/3従業員数77,136前年比▲2,049人
2025/3平均給与694万円前年比+1万円
歴史的背景1959年に創業者の稲盛和夫氏が宮木電機の出資を得て京都セラミックを設立、ブラウン管TV用「U字ケルシマ」量産から出発した。1966年の米IBMからのIC用アルミナ基板受注で半導体パッケージへ参入、1983年にはICパッケージで世界シェア約7割の寡占に達した
経営課題1990年代に半導体パッケージ主流素材がセラミックから樹脂へ転換、1996年にイビデンへCPU向け基板シェアを奪われた。2008年に三洋から約500億円で買収した携帯電話事業もスマホ普及で市場が縮んだ。FY24売上2兆144億円・営業利益272億円・ROE0.7%まで沈んだ
経営方針2025年度から2027年度の3年間を経営基盤の再構築期間と位置づけ、FY28目標ROE5%以上、FY31目標8%以上、将来的に10%以上の段階目標を市場に提示した。2026年4月に作島史朗氏が社長に就任、監査等委員会設置会社へ移行で社外7名・社内6名のモニタリング型取締役会へ組み替える
主な投資2025年6月にKDDI株式約1億800万株を約2,500億円で売却、政策保有株式の純資産比率は47.9%まで低下した。2027〜2028年3月期の2年間で合計最大5,000億円規模の自社株買いが承認され、配当方針もDOE基準による累進配当へ転換した

半導体寡占の終焉から資本市場対話へ、作島新体制の再構築期間

1959年に創業者の稲盛和夫氏が宮木電機の宮木男也氏ら京都財界人の出資で京都セラミックを起こし、ブラウン管TV用「U字ケルシマ」を松下電器向けに量産した。1966年に米IBMからIC用アルミナ基板を大口受注し、1983年にICパッケージで世界シェア約7割の寡占に達した。1990年代に半導体パッケージの主流素材がセラミックから樹脂へ移ると、米インテル取引で先行したイビデンが樹脂パッケージで首位を取り、京セラはCPU向け基板シェアを失った。2008年に三洋から約500億円で買収した携帯電話事業もスマホ普及で市場が縮み、FY24は売上2兆144億円・営業利益272億円・ROE0.7%まで落ち込んだ。素材転換とスマホ市場の縮小という二度の市場変化に対し、アメーバ経営でも京セラの祖業・携帯電話事業はいずれも採算回復に至らなかった。

2025年3月期決算でROE0.7%という事業会社として低い水準を記録した京セラは、2025年度から2027年度を経営基盤の再構築期間と定め、FY28目標ROE5%以上、FY31目標8%以上、将来的に10%以上の段階目標を市場に提示した。2025年度末には谷本秀夫社長からコアコンポーネント部門出身の作島史朗氏への社長交代人事を発表し、2026年4月1日付で交代する。同時に監査等委員会設置会社へ移行し、取締役会を社外7名・社内6名のモニタリング型に組み替える。創業者哲学に依拠した運営から取締役会主導の体制へ移行する設計である。

資本政策では2025年6月にKDDI株約1億800万株を約2,500億円で売却し、政策保有株式の純資産比率はFY26第3四半期末で47.9%へ低下した。2027年3月期と2028年3月期の2年間で合計最大5,000億円規模の自社株買いが承認され、配当方針も2027年3月期からDOE基準の累進配当へ切り替わる。事業面では先端半導体周辺とモビリティへ経営資源を集中し、AI電源回路ソリューションを成長分野に位置づけた。マネージドプリントサービス等のソリューション売上比率を現状6%から2031年3月期に30%以上へ引き上げる計画で、FY26第3四半期累計の営業利益は前年同期比4.75倍に拡大した。

京セラは1959年以来、用途の見えない素材技術へ先行投資し後から需要を呼び込む順序で世界寡占を築いてきた。1990年代の素材転換とスマホ普及で祖業と多角化事業の双方が縮み、創業者哲学で支えた経営から取締役会主導の体制へ転換する局面に入っている。KDDI株売却・5,000億円自社株買い・DOE配当・モニタリング型取締役会で資本効率を改善できるかが作島社長就任後の論点であり、1966年のIBM受注以来積み上げた素材技術蓄積をAIサーバー向け電源・熱対策の収益事業へ展開できるかが、ROE目標達成の前提となる。

京セラの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / IFRSFY162017/3連結 / IFRSFY172018/3連結 / IFRSFY182019/3連結 / IFRSFY192020/3連結 / IFRSFY202021/3連結 / IFRSFY212022/3連結 / IFRSFY222023/3連結 / IFRSFY232024/3連結 / IFRSFY242025/3連結 / IFRS
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円14,796−3.1%14,228−3.8%15,770+10.8%16,237+3.0%15,991−1.5%15,269−4.5%18,389+20.4%20,253+10.1%20,042−1.0%20,145+0.5%
コアコンポーネント億円4,3195,2795,9245,6915,671
電子部品億円2,7303,3913,7853,5233,546
ソリューション億円8,3539,83710,68611,01611,110
売上原価億円10,93510,49512,04211,59711,57911,20013,25314,60414,51114,553
売上総利益億円3,8623,7333,7284,6404,4124,0695,1365,6495,5315,592
販管費億円2,9352,6872,8213,6923,4103,3633,6474,3644,6025,319
営業利益YoY億円1,456+19.5%1,378−5.3%1,319−4.3%948−28.1%1,002+5.7%706−29.5%1,489+110.8%1,285−13.7%929−27.7%273−70.6%
コアコンポーネント億円305616895572-11
電子部品億円23047944165-8
ソリューション億円375687422698729
当期純利益YoY億円1,090−5.9%1,038−4.8%791−23.8%1,032+30.4%1,077+4.4%902−16.3%1,484+64.5%1,280−13.8%1,011−21.0%241−76.2%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%73.875.471.573.174.273.572.673.271.670.8
有利子負債比率%1.10.80.90.32.52.82.53.34.75.5
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円1,9401,6421,5892,2002,1462,2082,0201,7922,6912,379
投資CF億円-1,068-1,121-531-471-1,456-1,838-795-1,688-1,584-1,505
財務CF億円-506-480-516-891-1,571-810-1,115-613-826-649
従業員
連結従業員数69,22970,15375,94076,86375,50578,49083,00181,20979,18577,136
単体従業員数14,14616,46318,45119,26819,35219,86520,56021,01021,15620,976
平均年収(単体)万円704689721723716684725723692694

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

年度経営の振り返り報告資料
FY25半導体部品有機材料事業の減損損失等約430億円計上で大幅減益。FY26を「事業戦略と資本戦略両面における構造改革実行の1年」と位置付け、政策保有株式の継続縮減と大規模な政策保有株式売却(KDDI株式含む)、資本構成適正化と株主還元充実化を方針として明示。

決算説明会

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/presentation/FY25_4Q_p.pdf
FY24半導体製造装置向けファインセラミック部品の販売は好調も、汎用データセンター向けFCBGA販売減少。KAVXグループの構造改革費用が前期影響として継続、コミュニケーション事業の構造改革による収益性改善を反映。

決算説明会

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/presentation/FY24_4Q_p.pdf
FY23京セラ初の中期経営計画(〜FY26)の進捗。半導体関連部品事業の好調、コア事業のファインセラミック・半導体パッケージ・電子部品ポートフォリオ運営を継続。

決算説明会

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/presentation/FY23_4Q_p.pdf
FY22京セラ初の中期経営計画を策定(FY26最終年度)。事業ポートフォリオを5セグメント体制で運営、ファインセラミック・半導体関連部品の成長軸を明示。

決算説明会

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/presentation/FY22_4Q_p.pdf
FY21コロナ禍下の事業環境を踏まえつつ、ファインセラミック・半導体関連部品事業は堅調。

決算説明会

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/presentation/FY21_4Q_p.pdf

アニュアルレポート / 統合報告書

年度経営の振り返り報告資料
FY26FY26を「企業価値向上に向けた構造改革」実行の年と位置付け、事業戦略・資本戦略両面の改革を提示。米国相互関税の影響を踏まえ新中期経営計画の発表を延期、KDDI株式を含む政策保有株式の大規模売却、Scope1,2,3 2030年度46%削減等の長期環境目標を整理。

統合報告書

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/catalog/integrated_2025.pdf
FY25京セラ初の中期経営計画(〜FY26)2年目の進捗を提示。事業ポートフォリオ見直しと構造改革の本格化、KAVXグループ構造改革による収益改善、再エネ導入量20倍長期環境目標達成(2030年度比)を整理。

統合報告書

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/catalog/integrated_2024.pdf
FY24京セラ初の中期経営計画始動の統合報告書。事業ポートフォリオの整理、ファインセラミック・半導体関連部品の成長戦略を提示。

統合報告書

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/catalog/integrated_2023.pdf
FY23コロナ後の事業環境を踏まえた京セラの戦略を整理、初の中期経営計画策定の準備過程を解説。

統合報告書

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/catalog/integrated_2022.pdf
FY22コロナ禍下の事業展開と長期戦略を整理。

統合報告書

https://www.kyocera.co.jp/ir/library/pdf/catalog/integrated_2021.pdf

参考文献・出所

有価証券報告書
決算説明会 FY25-3Q
東洋経済オンライン 2021/06/08
日経ビジネス電子版 2022/10/27
電波新聞デジタル 2023/01/11
電波新聞デジタル