Metro Supply Chain Groupを買収(2026年・NIPPON EXPRESSホールディングスの決断)

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論点 欧州に続く北米での事業基盤の獲得
売上高(億円)親会社株主に帰属する当期純利益率(%)
欧州に続く北米での事業基盤の獲得に向けた、cargo-partner社に次ぐ大型買収

欧州に続く北米での事業基盤の獲得に向けた、cargo-partner社に次ぐ大型買収

概要

2026年4月、NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は、カナダを本拠に北米などで物流事業を営むMetro Supply Chain Groupを買収すると発表した。2023年のcargo-partner社に続く大型の海外買収である。NXHDは買収用の特別目的会社に18億カナダドルを増資し、2026年10月2日提出の臨時報告書の時点で、Metro Supply Chain Groupの議決権の100%を間接所有している。取得価額や取得日は、まだ同社の開示資料からは確認できない。

背景

2024年1月に堀切智氏が代表取締役社長へ就任した。前年に取得したcargo-partner社を抱える欧州(ロジスティクス)は、2025年12月期に収益性の低下と割引率の上昇を理由にのれんの減損損失59,211百万円を計上し、連結の親会社の所有者に帰属する当期利益は2,693百万円まで落ち込んでいた。

内容

買収の対象はモントリオールに本社を置き、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業を営むMetro Supply Chain Group。NXHDはトロントに特別目的会社1001681010 Ontario Inc.を設け、その傘下の18268738 Canada Inc.を介してMetro社を保有する形をとった。NXグループの米州(ロジスティクス)セグメントは、外部顧客への売上高が2025年12月期で1,214億円、セグメント利益が57億円にとどまり、5,138億円まで膨らんだ欧州と比べて手薄な地域であった。

含意

社債及び借入金は2022年12月期末の2,649億円から2025年12月期末には3,773億円へ増えている。欧州で積んだのれんを大きく取り崩した直後に、北米でふたたび大型ののれんを抱える判断となった。2026年11月1日には中間の特別目的会社とMetro社を現地法で合併させる予定で、取得の条件は2026年12月期の有価証券報告書で開示される見込みである。

いつ何が起きたか 8件
筆者の見解 欧州で取り崩した直後の、北米への振り向け
筆者の見解

欧州で取り崩した直後の、北米への振り向け

この判断の位置づけは、直前の期の数字を置いて見ると分かりやすい。2025年12月期、NXHDは欧州(ロジスティクス)に配分したのれんについて、収益性の低下と市場金利の上昇に伴う割引率の引き上げを理由に59,211百万円の減損損失を計上した。2024年1月に取得したcargo-partner社のために積んだのれん77,347百万円の大半が、2期を経ずに費用へ振り替わったことになる。その結果、連結の親会社の所有者に帰属する当期利益は2,693百万円と、前期の31,733百万円から大きく落ち込んだ。一方で米州(ロジスティクス)の外部顧客への売上高は1,214億円、セグメント利益は57億円と、欧州の5,138億円・48億円と比べて規模が小さく、地域構成のなかで手薄なまま残っていた。

取得そのものは実行の段階に進んでいる。NXHDは2026年9月30日(カナダ時間)、買収用に設けた特別目的会社1001681010 Ontario Inc.に18億カナダドルを増資し、その資本金はNXHDの資本金の10%以上に達した。同社の完全子会社である18268738 Canada Inc.を介して、Metro Supply Chain Groupの議決権の100%を間接所有しており、2026年11月1日には両社を現地法で合併させる予定である。ただし取得価額、のれんの金額、取得日といった条件表に必要な項目は、2026年10月2日の臨時報告書にも載っておらず、2026年12月期の有価証券報告書を待つことになる。欧州で一度のれんを取り崩した会社が、社債及び借入金を3,773億円まで積み上げた状態から北米へ資本を振り向ける判断をどう評価するかは、その開示が出てからの話である。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

数字で見る 2表
米州(ロジスティクス)セグメントの推移

NIPPON EXPRESSホールディングス:米州(ロジスティクス)セグメントの推移

(百万円) 外部顧客への売上高セグメント利益 備考
2021年3月期 64,927487 日本通運の連結。日本基準のセグメント利益は営業利益ベース
2022年3月期 69,8665,273 日本通運としての最後の通期。2022年1月に持株会社体制へ移行している
2022年12月期 132,63313,751 NIPPON EXPRESSホールディングスの連結。IFRSの事業利益に変わる
2023年12月期 130,6409,262
2024年12月期 134,3885,363 同じ期の欧州は買収により売上が491,505、利益が11,247
2025年12月期 121,4165,768 買収を発表した時点で最後に開示されていた通期
外部顧客への売上高(百万円)セグメント利益率(%)

出所:日本通運 有価証券報告書 第115期・第116期(セグメント情報) / NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書 第1期〜第4期(4.セグメント情報)

社債及び借入金と総資産の推移

NIPPON EXPRESSホールディングス:社債及び借入金と総資産の推移

(百万円) 社債及び借入金(流動)社債及び借入金(非流動)総資産 備考
2022年12月期 94,466170,5041,730,922 NIPPON EXPRESSホールディングスの連結。IFRS。リース負債は含まない
2023年12月期 61,782255,9752,109,251 cargo-partner社の取得を控え、非流動の借入を積み増した期
2024年12月期 136,244189,8402,297,586
2025年12月期 59,506317,8232,414,985
社債及び借入金(流動)(百万円)社債及び借入金(非流動)(百万円)

出所:NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書 第1期〜第4期(連結財政状態計算書)

参考文献
出典・参考
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書 第4期(2025年12月期)
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書 第1期〜第3期(2022年12月期〜2024年12月期)
  • 日本通運 有価証券報告書 第116期(2022年3月期)
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 臨時報告書「臨時報告書(特定子会社の異動)」
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書「第4期(2025年12月期)【5 重要な契約等】【39.後発事象】【11.のれん及び無形資産】」
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 有価証券報告書「第1期〜第3期(2022年12月期〜2024年12月期)」
  • NIPPON EXPRESSホールディングス 統合報告書「NXグループ統合報告書2025」
  • 日本通運 有価証券報告書「第115期(2021年3月期)・第116期(2022年3月期)」

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