セガサミーホールディングス の歴史

創業

2004年

創業者

里見治

創業地

東京都品川区

直近売上高(2026/3)

4,875億円

長期業績と転換点(2004/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ2004年に、ゲームのセガと遊技機のサミーは異業種で経営統合したのか
A 統合の核は、稼ぐ事業と投資する事業を1つの資本でつなぐことにあった。遊技機はメーカー出荷時点で売上が立ち粗利が高くキャッシュを生むが、市場成熟と規制で先細りが見えていた。ゲームは開発投資が先行しヒットの出方で業績が振れる。セガは2001年に家庭用ハードから撤退してソフトメーカーへの転身途上にあり、開発を支える安定資金を欠いていた里見治氏は遊技機の資金でセガのコンテンツと技術資産を再構築する構図を描き、2004年10月、両社が株式移転で持株会社セガサミーホールディングスを設立して東証一部に上場した
Q なぜ2017年以降に、1965年以来続いたセガの店舗運営事業から国内外で撤退したのか
A 撤退の理由は、店舗運営が資本効率の足を引っ張る構造にあった。施設は不動産と人件費の固定費が重く、規模を広げても利益率が頭打ちになる。一方コンテンツ・IPの供給は1本追加販売しても増分費用がほぼゼロで、グローバルに売れば利益率が伸びる。2017年に社長を継いだ里見治紀氏は、創業者・里見治氏が広げた多角化を収益性で絞り込み、2020年12月にセガ・エンタテインメントをGENDAへ、2021年3月に欧州のSega Amusements Internationalを売却して、1965年のローゼン・エンタープライゼス合併以来続いたゲームセンター運営事業者の側面を国内外で終わらせた
Q なぜ2023年に、1,000億円規模でフィンランドのロビオを買収したのか
A 買収の狙いは、家庭用に偏ったコンテンツ事業をモバイルと海外開発で補うことにあった。家庭用ゲームより市場規模も成長率も大きいモバイル領域の足場を欠いていたため、セガは運営型モバイルゲームの開発・運営ノウハウとグローバルIPを一括で取り込む道を選んだ。2023年8月、欧州子会社SEGA Europe Limitedを通じて「Angry Birds」を持つRovio Entertainmentを株式公開買付で取得し、約7.06億ユーロ(約1,000億円)と歴代最大級の買収となった。映画・アニメ・グッズへ展開する「スーパーゲーム」構想と、メディアミックス実績を持つアングリーバードが噛み合った

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2004年〜 セガとサミーの異業種統合と多角化の試行錯誤

セガサミーホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2004年 サミーによるセガの株式取得と持株会社セガサミーホールディングスの設立 一度断られた相手をどう迎え入れるか——破談から18カ月をかけた異業種統合の交渉
  2. 2004年 両社株主総会で株式移転を承認
  3. 2004年 セガサミーHD設立・東京証券取引所一部上場
  4. 2005年 トムス・エンタテインメントを子会社化
  5. 2012年 遊技機の資金をリゾートと海外IRへ振り向けた2012年の同時多発投資 宮崎のシーガイアと韓国・仁川のカジノリゾートを同じ年に抱えた選択
  6. 2013年 インデックスの事業を譲受
  7. 2014年 パラダイスシティの建設に着工

ゲーム機と遊技機の経営統合がもたらした両輪体制の始動

セガサミーホールディングスは2004年10月、株式会社セガとサミー株式会社が株式移転で設立した持株会社として誕生し、同日付で東京証券取引所第一部に上場した。セガはアメリカ人2人が1951年に立ち上げたジュークボックス輸入会社「サービスゲームズ」を源流とし、1965年に日本娯楽物産とローゼン・エンタープライゼスの合併で「セガ・エンタープライゼス」となった経緯を持ち、家庭用ゲーム機「セガサターン」「ドリームキャスト」を擁する国内有数のゲームメーカーだった。一方のサミーは里見治氏が1975年に創業した「サミー工業株式会社」が起源で、1980年代以降パチスロ・パチンコ遊技機を主力としてシェアを伸ばし、2003年時点で日本の遊技機市場のトップグループに位置していた。 [1]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [1]2004年10月 株式移転で持株会社セガサミーホールディングス設立・同日東証一部上場

両社の異業種統合は、当時のアミューズメント業界における業種横断再編として注目された。セガはセガサターンとドリームキャストの相次ぐ商業的苦戦で家庭用ハードから撤退(2001年)した直後で、ソフトメーカーへの転身を進めながらアーケード・施設運営・玩具事業の多角化を試みていた。一方サミーは遊技機市場の成熟化を見据え、コンテンツ事業への進出を経営課題に据えていた。統合の実現までには紆余曲折があり、サミーは2003年2月にセガの合併・買収を一度試みて失敗した後、同年12月にセガの筆頭株主だったCSKから株式22.4%を約453億円で買い取って足場を築き、2004年10月の株式移転による持株会社化に至った。里見治氏は「遊びの価値を世界へ」を理念に異業種統合によるエンタテインメント企業群の構築を構想し、CSKの故大川功氏を通じて早くから注目していたセガの開発力・施設運営力・ブランド力に、サミーの遊技機キャッシュフローを使ってコンテンツ・技術資産を再構築するシナリオが両社の意思決定者を動かした。 [2][3]

  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p58-59
    • [2]サミーは2003年2月にセガの合併・買収を試みて失敗、同年12月にCSKからセガ株22.4%を約453億円で取得
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)「ブランド価値を急上昇させる」(里見治会長兼社長インタビュー)
    • [3]里見治氏はCSKの故大川功氏を通じてセガの開発力・施設運営力・ブランド力に早くから注目していた

統合直後は、両社のキャッシュフロー特性の違いを活かすグループ経営の組み立てが課題だった。2004年3月期の連結業績は、サミーが売上高約2512億円・経常利益683億円(利益率27%超)と稼ぐ力が際立つ一方、セガは売上高1912億円・経常利益126億円(利益率6%台)にとどまり、1998年発売の「ドリームキャスト」の不振で2001年に家庭用ハードから撤退して以降、2002年3月期まで5期連続の最終赤字を計上していた。遊技機事業はメーカー出荷時点で売上が立つフロービジネスで景気変動・規制改正に弱いが粗利率が高く、ゲーム事業は開発投資が先行してヒット作の出方で業績が振れる構造を持つ。統合後の最初の3年間は、サミーの遊技機事業が稼ぐ収益でセガのゲーム事業の開発投資を支える「両輪体制」が成立し、2004年9月の東京ゲームショウでは前年の約2倍の規模でセガとサミーが合同出展するなど、統合効果を対外的にアピールする動きも見られた。一方で両社の事業文化(家電・玩具系のセガと、遊技機・パチンコホール系のサミー)の融和には時間を要した。賢者の選択サクセッションのインタビューで2代目の里見治紀氏が「セガとサミーは別カルチャーで、2代目として両社の社員と苦労を共にしてきた」と振り返ったとおり、統合初期の人事・経営管理の摩擦は表に出にくいかたちで尾を引いた。 [4][5]

  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p59
    • [4]2004年3月期連結業績はサミーが売上高約2512億円・経常利益683億円(利益率27%超)、セガが売上高1912億円・経常利益126億円(利益率6%台)
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p58
    • [5]2004年9月の東京ゲームショウで前年の約2倍の規模のブースをセガ・サミーが合同出展
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [1]2004年10月 株式移転で持株会社セガサミーホールディングス設立・同日東証一部上場
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p58-59
    • [2]サミーは2003年2月にセガの合併・買収を試みて失敗、同年12月にCSKからセガ株22.4%を約453億円で取得
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)「ブランド価値を急上昇させる」(里見治会長兼社長インタビュー)
    • [3]里見治氏はCSKの故大川功氏を通じてセガの開発力・施設運営力・ブランド力に早くから注目していた
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p59
    • [4]2004年3月期連結業績はサミーが売上高約2512億円・経常利益683億円(利益率27%超)、セガが売上高1912億円・経常利益126億円(利益率6%台)
  • 日経ビジネス 2004年11月1日号(1265号)p58
    • [5]2004年9月の東京ゲームショウで前年の約2倍の規模のブースをセガ・サミーが合同出展

コンテンツ事業の取り込みと多角化のフロンティア拡張

統合後の里見治氏は、セガとサミーの本体事業の上にコンテンツ事業を載せる多角化路線をとった。2005年10月、アニメーション映画の企画・制作・販売を手掛けるトムス・エンタテインメントを連結子会社化したのが起点である。アニメ事業への踏み込みは、遊技機・ゲームのIP(知的財産)供給源を内製化する戦略であり、後の「フランチャイズ・IPホルダー化」構想の伏線でもあった。2007年にパチスロ・パチンコ遊技機開発のタイヨーエレックを取得し、2011年に完全子会社化することで遊技機事業の開発リソースを拡充した。同社が手掛ける「北斗の拳」「忍魂」などのコンテンツが、サミー本体のフランチャイズと並ぶブランドとして整備された。 [6][7]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [6]2005年10月 トムス・エンタテインメントを連結子会社化(アニメ映画の企画・制作・販売)
    • [7]タイヨーエレックの取得は2007年(3月持分法→12月連結子会社化)、完全子会社化は2011年8月

2010年12月にはサミーネットワークス・セガトイズ・トムス・エンタテインメントを株式交換で持株会社直下に並列化する組織再編を実施し、グループ内のコンテンツ会社を機能別に整理した。これによりホールディングスが各事業セグメントを直接統括する体制が整い、事業再編・売却の自由度が高まった。2012年から2013年にかけては、フェニックスリゾート(宮崎・シーガイア)取得(2012年3月)・川越工場新設(2012年5月)・サミーロジスティクスセンター新設(2012年6月)・韓国カジノIR合弁会社PARADISE SEGASAMMY設立(2012年7月)と、リゾート・物流・海外IRの3領域に同時並行で投資を拡大した。 [8][9][10][11][12]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [8]2010年12月 サミーネットワークス・セガトイズ・トムスを株式交換で持株会社直下に並列化
    • [9]2012年3月 フェニックスリゾート(宮崎・シーガイア)取得
    • [10]2012年5月 川越工場新設
    • [11]2012年6月 サミーロジスティクスセンター新設
    • [12]2012年7月 韓国カジノIR合弁会社PARADISE SEGASAMMY設立

リゾート事業への踏み込みはとくに重い意思決定だった。フェニックスリゾートは宮崎県シーガイアの運営事業で、バブル期の負の遺産的施設として再建途上にあったが、セガサミーは観光・IR事業の国内ノウハウ蓄積の起点として取得を決断した。一方、韓国仁川広域市で計画されていたパラダイスシティは、地元のパラダイス社(Paradise Co., Ltd.)が55%、セガサミーが45%を出資する合弁で、統合型リゾート(カジノ+ホテル+アミューズメント+商業)を新規開発するプロジェクトであった。出資比率のとおり主導権は韓国側にあり、セガサミーは少数株主の立場での参画であった。両者は規模も性格も異なるリゾート事業で、後年の事業ポートフォリオ再構築の主要な変数となる。 [13][14]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [6]2005年10月 トムス・エンタテインメントを連結子会社化(アニメ映画の企画・制作・販売)
    • [7]タイヨーエレックの取得は2007年(3月持分法→12月連結子会社化)、完全子会社化は2011年8月
    • [8]2010年12月 サミーネットワークス・セガトイズ・トムスを株式交換で持株会社直下に並列化
    • [9]2012年3月 フェニックスリゾート(宮崎・シーガイア)取得
    • [10]2012年5月 川越工場新設
    • [11]2012年6月 サミーロジスティクスセンター新設
    • [12]2012年7月 韓国カジノIR合弁会社PARADISE SEGASAMMY設立
    • [13]フェニックスリゾートは宮崎県シーガイアの運営事業
    • [14]韓国仁川広域市のパラダイスシティはParadise Co., Ltd.が55%・セガサミーが45%を出資する合弁で新規開発された統合型リゾート

投資の併走とコンテンツ事業の限界露呈

2013年にはセガサミークリエイションを設立しカジノ機器の開発製造販売へ参入、同年11月にはセガがインデックスの事業を譲受してアトラスブランド(「ペルソナ」シリーズ等のRPGコンテンツ)をグループに取り込んだ。インデックスの事業譲受は、家庭用ゲームソフトのコンテンツ強化と海外展開の足掛かりとして意味を持った。アトラス取得後、「ペルソナ5」がグローバルで成功を収め、セガサミーのコンソール事業を立て直すきっかけとなる。 [15][16]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]2013年 セガサミークリエイションを設立しカジノ機器の開発製造販売へ参入
    • [16]2013年11月 セガがインデックスの事業を譲受しアトラスブランドを取り込み

しかし2010年代前半は、各方面に張った投資が一斉に収益化に時間を要する局面でもあった。パラダイスシティは2014年11月に建設着工したものの開業は2017年4月まで3年弱を要し、その間リゾート関連への投資は回収の入らない状態が続いた。シーガイアは取得後も恒常的な赤字を出し続け、規模相応のリゾート運営ノウハウ蓄積を要した。遊技機事業は規制強化と市場成熟を背景に市場規模が縮小を続け、2014年には業界全体で前年比2桁減の販売台数となった。コンシューマ事業(家庭用ゲーム)も、モバイル・ソーシャルゲームへの市場シフトに乗り遅れた構造的逆風で苦戦が続いた。 [17]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [17]パラダイスシティは2014年11月に建設着工し2017年4月に開業

里見治氏は2015年4月、グループCEO・COOを社長兼務に切り替え、危機感を持って事業ポートフォリオの再点検に着手する。同氏は1942年群馬県生まれで、サミー工業を1975年に立ち上げてから40年、遊技機・ゲーム・リゾートの三本柱を抱えるエンタテインメント企業群を率いてきた当事者として、複合事業会社の構造的な歪み(多角化の代償・経営資源分散・収益偏重の遊技機依存)を最も鋭敏に察知できる立場にあった。2017年4月、長男の里見治紀氏に代表取締役社長を承継し、自身は代表取締役会長へ退いた。創業家2代目への経営承継が、構造改革の本格的な引き金を引いた。 [18][19]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [18]里見治氏は2015年4月にグループCEO・COOを社長兼務に切り替え(FY15で代表取締役会長兼社長兼CEO兼COO)
    • [19]2017年4月 長男・里見治紀氏に代表取締役社長を承継し里見治氏は代表取締役会長へ
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [15]2013年 セガサミークリエイションを設立しカジノ機器の開発製造販売へ参入
    • [16]2013年11月 セガがインデックスの事業を譲受しアトラスブランドを取り込み
    • [17]パラダイスシティは2014年11月に建設着工し2017年4月に開業
    • [18]里見治氏は2015年4月にグループCEO・COOを社長兼務に切り替え(FY15で代表取締役会長兼社長兼CEO兼COO)
    • [19]2017年4月 長男・里見治紀氏に代表取締役社長を承継し里見治氏は代表取締役会長へ

2015年〜 3事業体制への構造改革とアミューズメント施設からの撤退

セガサミーホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2015年 セガの機能別3社分割とアミューズメント施設運営からの撤退 家庭用・アーケード・店舗運営を一社で抱え続けるか——セガを機能で割り、祖業のゲームセンターを手放すまで
  2. 2017年 セガ・ライブクリエイションを連結子会社から除外
  3. 2017年 パラダイスシティを開業
  4. 2017年 ゲーミング機器ライセンス取得
  5. 2020年 セガゲームスがセガに商号変更しグループ再編
  6. 2020年 セガ エンタテインメントを連結子会社から除外
  7. 2021年 Sega Amusements Internationalを売却

セガ事業の機能別分割と里見治紀体制への移行

2015年4月、セガサミーは「セガを機能別3社に分割」という再編を実施した。新設分割によりセガホールディングス・セガ・インタラクティブ・セガ・ライブクリエイションを設立し、既存のセガがセガネットワークスを吸収合併して「セガゲームス」に商号変更した。これによりセガ事業は家庭用ゲーム(セガゲームス)・アーケード(セガ・インタラクティブ)・施設運営(セガ・ライブクリエイション)の3機能に分離され、それぞれの収益構造に応じた経営判断が可能になった。家庭用は開発・マーケティングの投資判断、アーケードはハード製造と店舗向け営業、施設運営は不動産・店舗オペレーションと、性格の異なる事業を一つの会社で抱える非効率を是正する再編だった。 [20]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [20]2015年4月 新設分割でセガホールディングス・セガ・インタラクティブ・セガ・ライブクリエイションを設立、既存セガがセガネットワークスを吸収合併しセガゲームスに商号変更

この再編の結果、2017年1月にはセガ・ライブクリエイションを株式の一部売却で連結子会社から除外し、CAセガジョイポリス株式会社として持分法適用関連会社化した。施設運営事業を本体から切り離す最初の動きであり、グループ全体としてアミューズメント施設運営からの撤退が始まった。アミューズメント施設は店舗の不動産コストと人件費が固定費として重く、コンシューマ・モバイル系コンテンツ事業に比べて利益率が低く、集客の景気感応度が高い。長期的に資本効率を改善するには、自社運営から離れてフランチャイズ・コンテンツ供給側に回る方が合理的との判断が、セガサミー首脳陣の中で固まった。 [21]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [21]2017年1月 セガ・ライブクリエイションを株式一部売却で連結子会社から除外しCAセガジョイポリスへ

2017年4月、創業者・里見治氏から長男の里見治紀氏に代表取締役社長を承継。同時にパラダイスシティが韓国仁川で開業し、リゾート事業が商業稼働段階に入った。里見治紀氏は明治学院大学国際学部卒業後カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得し、2004年にサミー入社、2015年からサミー代表取締役社長COOを務めた経歴で、家督相続というよりも事業承継準備を踏んだ二代目体制だった。同年12月にはセガサミークリエイションの子会社Sega Sammy Creation USA INCが米国ネバダ州でゲーミング機器製造販売ライセンスを取得し、北米カジノ機器市場参入の前提を整えた。 [22][23][24]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [22]2017年4月 里見治氏から里見治紀氏へ代表取締役社長承継、同時にパラダイスシティが韓国仁川で開業
    • [24]2017年12月 セガサミークリエイション子会社Sega Sammy Creation USA INCが米国ネバダ州でゲーミング機器製造販売ライセンス取得
    • [23]里見治紀氏は明治学院大学(国際学部)卒、MBAはカリフォルニア大学バークレー校(2012年取得)、サミー入社は2004年3月(公式IRの役員プロフィールで2004年3月サミー入社を確認)
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [20]2015年4月 新設分割でセガホールディングス・セガ・インタラクティブ・セガ・ライブクリエイションを設立、既存セガがセガネットワークスを吸収合併しセガゲームスに商号変更
    • [21]2017年1月 セガ・ライブクリエイションを株式一部売却で連結子会社から除外しCAセガジョイポリスへ
    • [22]2017年4月 里見治氏から里見治紀氏へ代表取締役社長承継、同時にパラダイスシティが韓国仁川で開業
    • [24]2017年12月 セガサミークリエイション子会社Sega Sammy Creation USA INCが米国ネバダ州でゲーミング機器製造販売ライセンス取得
    • [23]里見治紀氏は明治学院大学(国際学部)卒、MBAはカリフォルニア大学バークレー校(2012年取得)、サミー入社は2004年3月(公式IRの役員プロフィールで2004年3月サミー入社を確認)

本社移転と中期経営計画「Road to 2020」始動

2018年8月、セガサミーは本社並びに首都圏所在の一部グループ事業会社の本社を東京都品川区西品川(住友不動産大崎ガーデンタワー)に移転した。複数のグループ会社が同一ビルに集約され、人事・財務・IT等の管理部門の効率化と事業会社間のコラボレーション促進を狙った再編で、グループ経営の物理的な統合度を高める意思決定だった。同社の人員数は連結ベースで約8,000〜9,000人規模で推移しており、首都圏分散していたオフィス体制の集約効果は人件費・賃料両面に表れる構造改革の一環だった。 [25]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [25]2018年8月 本社並びに首都圏一部グループ事業会社の本社を東京都品川区西品川(住友不動産大崎ガーデンタワー)に移転

2019年4月、中期経営計画2020「Road to 2020」を始動した。営業利益500億円・ROE10%という具体的KPIを掲げ、パラダイスシティ開業効果・コンシューマ事業のグローバル化・遊技機事業の安定収益化を3本柱とする計画だった。同時にジョイポリス売却(2017年1月)・セガサミー幕張ビル売却検討等、コンシューマ事業以外の不動産・施設関連資産の流動化を行った。 [26]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [26]ジョイポリス売却(2017年1月)の再掲(セガ・ライブクリエイション連結除外=CAセガジョイポリス化と整合)

しかし2020年初頭に新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まると、リゾート事業(パラダイスシティ・シーガイア)・アミューズメント施設事業(セガ・エンタテインメント)が壊滅的な打撃を受け、「Road to 2020」のKPI達成は不可能となった。同年4月、代表取締役社長グループCOOの里見治紀氏は中計の事実上の凍結と緊急構造改革に着手し、遊技機事業を中心に729人の希望退職を募るなど大規模な人員体制の見直しにも踏み込んだ。同年12月、全国193店を運営する業界3位のアミューズメント施設運営会社セガ・エンタテインメント(2020年3月期売上高406億円・グループ全体の11%)の株式85.1%を、ゲームセンター向け機器レンタルのGENDA社に売却して連結子会社から除外し、約200億円の特別損失を計上した。里見治紀社長は決算説明会で「もしこのままわれわれが持っていたとしても、大幅な店舗削減をしなければいけない」と述べ、イオンファンタジーの社長としてアジア展開などで実績を上げたGENDAの片岡尚会長との提携を「片岡さんと組んだほうがうまくいく」と語った。これは1965年から続いたセガの直営ゲームセンター事業からの実質撤退であり、店舗運営の重い固定費負担から離れる構造改革の象徴的な意思決定だった。 [27][28][29][30][31]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書【役員の状況】
    • [27]2020年4月時点の里見治紀氏の肩書は代表取締役社長グループCOO(グループCEO専任は2021年4月)
  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [28]2020年に遊技機事業を中心に729人の希望退職を実施
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [29]セガ・エンタテインメントの連結子会社からの除外(一部売却→現GENDA GiGO Entertainment)は2020年12月
  • 週刊東洋経済 2020年12月12日号「ニュース最前線 ゲーセン撤退のセガサミー 稼ぎ頭のパチスロにも暗雲」
    • [30]セガ・エンタテインメントは全国193店運営の業界3位、2020年3月期売上高406億円(グループ全体の11%)、株式85.1%をGENDAに売却し約200億円の特別損失を計上
    • [31]里見治紀社長が決算説明会でGENDA売却の判断理由を説明、GENDA片岡尚会長との提携に言及
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [25]2018年8月 本社並びに首都圏一部グループ事業会社の本社を東京都品川区西品川(住友不動産大崎ガーデンタワー)に移転
    • [26]ジョイポリス売却(2017年1月)の再掲(セガ・ライブクリエイション連結除外=CAセガジョイポリス化と整合)
    • [29]セガ・エンタテインメントの連結子会社からの除外(一部売却→現GENDA GiGO Entertainment)は2020年12月
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書【役員の状況】
    • [27]2020年4月時点の里見治紀氏の肩書は代表取締役社長グループCOO(グループCEO専任は2021年4月)
  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [28]2020年に遊技機事業を中心に729人の希望退職を実施
  • 週刊東洋経済 2020年12月12日号「ニュース最前線 ゲーセン撤退のセガサミー 稼ぎ頭のパチスロにも暗雲」
    • [30]セガ・エンタテインメントは全国193店運営の業界3位、2020年3月期売上高406億円(グループ全体の11%)、株式85.1%をGENDAに売却し約200億円の特別損失を計上
    • [31]里見治紀社長が決算説明会でGENDA売却の判断理由を説明、GENDA片岡尚会長との提携に言及

欧州・米国アミューズメント事業からの撤退と事業ポートフォリオ縮減

GENDA売却に続き、2021年3月には欧州子会社Sega Amusements International(コインオペレーター向けゲーム機器・電子玩具の販売事業)を売却し連結子会社から除外、欧州アミューズメント事業からも撤退した。これにより、セガサミーは1965年のローゼン・エンタープライゼス合併以来半世紀以上続いたセガの「ゲームセンター運営事業者」としての側面を国内外で終わらせた。2021年4月にはセガがセガグループを吸収合併し、グループ内のセガ関連法人を一本化、家庭用とアーケードの開発体制を「セガ」一社に統合する組織再編を完了した。同月、里見治紀氏は代表取締役社長グループCEOに専任してCOOを分離、創業者・里見治氏(代表取締役会長)はCEOから退き、名実ともに二代目単独体制へ移行した。 [32][33][34]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [32]2021年3月 欧州子会社Sega Amusements Internationalを売却し連結子会社から除外、欧州アミューズメント事業から撤退
    • [33]2021年4月 セガがセガグループを吸収合併しセガ関連法人を一本化
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書【役員の状況】
    • [34]2021年4月 里見治紀氏が代表取締役社長グループCEOに専任(COO分離)、里見治氏はCEOから退き代表取締役会長のみに

このアミューズメント撤退の意味は、単に不振事業を整理したことではない。セガサミーは半世紀にわたって築き上げた「自社で店舗を運営しお客様と直接接する」事業モデルから、「コンテンツ・IPを供給し他社が運営する」事業モデルへの構造転換を選択した。店舗運営はオペレーション・不動産・人件費の固定費が重く、規模を拡大しても利益率が頭打ちになる。一方コンテンツ・IP供給は1本追加販売したときの増分費用がほぼゼロで、グローバル展開で売上をスケールさせれば利益率が指数的に伸びる。デジタルディストリビューションが家庭用ゲームの主流になり、Steam等のグローバルプラットフォームが整備された2010年代後半は、セガにとって店舗運営から離れる絶好のタイミングだった。

アミューズメント施設の縮小と並行して、国内カジノ解禁を見据えた統合型リゾート(IR)誘致でも足踏みが続いた。国内IRの運営は、サミー創業者で里見治紀氏の父にあたる里見治会長から引き継いだ悲願で、韓国・仁川でのパラダイスシティ開業を通じて運営ノウハウを蓄積してきた経緯があった。2021年6月、セガサミーはシンガポールのゲンティン・シンガポールを中心に綜合警備保障・鹿島など6社が組む横浜市IR事業者コンソーシアムに参画し、最大1200億円を投じる計画で公募に提案書を提出したが、これまでの「主導権を握る」方針から転換し、合弁会社への出資比率を半数以下に抑える立場での参画となった。背景には、規制強化とコロナ禍で遊技機事業が2004年のグループ化以来初の営業赤字に転落する一方、エンタテインメントコンテンツ事業の営業利益が前期比69%増の279億円へ拡大し、グループ内の投資優先順位がコンテンツ事業へ傾いたことがあった。同年8月の横浜市長選でIR反対派の候補が当選したことで横浜IR誘致計画は事実上頓挫し、里見治紀氏は「国内IRの優先順位は変更し、資金に余力がなければ投資しない」として、今後4年半で2500億円をゲーム事業中心に投じる方針へ転換した。2021年3月期決算(FY20)の業績では、コロナ影響と構造改革に伴う特別損失が重なり営業利益は減益となったが、コンシューマ事業の好調(「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」「ソニックフォース」等のヒット)が下支えとなり、構造改革後の収益構造は明らかに改善する方向へ向かった。創業者・里見治氏の時代に多角化で広げたフロンティアを、二代目・里見治紀氏の時代に収益性軸で絞り込み、エンタテインメントコンテンツ・遊技機・リゾートの3本柱へ集約する流れがここでなった。 [35][36][37]

  • 週刊東洋経済 2021年7月31日号「ニュース最前線 セガサミーが「脇役」シフト 横浜カジノで静かな異変」
    • [35]2021年6月 横浜市IR事業者公募にゲンティン・シンガポール中心の6社コンソーシアムで参画、最大1200億円を投じる計画で提案書提出、出資比率は半数以下に転換
    • [36]前2021年3月期の遊技機事業は2004年のグループ化以降で初の営業赤字、エンタテインメントコンテンツ事業の営業利益は前期比69%増の279億円
  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [37]2021年8月の横浜市長選でIR反対派候補が当選し横浜IR誘致計画が事実上頓挫、里見治紀氏はIR優先順位変更と今後4年半で2500億円のゲーム事業中心投資へ転換を表明
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [32]2021年3月 欧州子会社Sega Amusements Internationalを売却し連結子会社から除外、欧州アミューズメント事業から撤退
    • [33]2021年4月 セガがセガグループを吸収合併しセガ関連法人を一本化
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書【役員の状況】
    • [34]2021年4月 里見治紀氏が代表取締役社長グループCEOに専任(COO分離)、里見治氏はCEOから退き代表取締役会長のみに
  • 週刊東洋経済 2021年7月31日号「ニュース最前線 セガサミーが「脇役」シフト 横浜カジノで静かな異変」
    • [35]2021年6月 横浜市IR事業者公募にゲンティン・シンガポール中心の6社コンソーシアムで参画、最大1200億円を投じる計画で提案書提出、出資比率は半数以下に転換
    • [36]前2021年3月期の遊技機事業は2004年のグループ化以降で初の営業赤字、エンタテインメントコンテンツ事業の営業利益は前期比69%増の279億円
  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [37]2021年8月の横浜市長選でIR反対派候補が当選し横浜IR誘致計画が事実上頓挫、里見治紀氏はIR優先順位変更と今後4年半で2500億円のゲーム事業中心投資へ転換を表明

2021年〜 コンテンツ事業の中核化と中計2027「Beyond the Status Quo」

セガサミーホールディングスの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2021年 Sega Amusements Internationalを売却
  2. 2021年 セガがセガグループを吸収合併
  3. 2022年 監査等委員会設置会社へ移行
  4. 2023年 Rovio Entertainmentを買収
  5. 2024年 フェニックスリゾートを連結子会社から除外

中計2024でコンシューマ事業を中核に据えた海外開発の取り込み

横浜IR頓挫から間もない2021年12月のインタビューで、里見治紀氏は「社内では『30億人のゲーマーにゲームコンテンツを届ける』と言っている」と述べ、投資の優先順位をゲーム事業に置く方針をすでに示していた。それを追う形で2022年4月、セガサミーは中期経営計画2024(FY22〜FY24の3カ年計画)を発表し、「エンタテインメントコンテンツ・遊技機・リゾート」の3事業体制を明確化したうえで、コンシューマ事業をグループの中核成長エンジンに据えた。同年5月にはコンシューマ事業の長期成長戦略として「スーパーゲーム」構想を発表した。AAAクラスのタイトルを少数集中投資で開発し、映画・アニメ・グッズ・体験型施設へのメディアミックスでフランチャイズ化して長期に収益を生む基幹IPを育てる戦略で、「ソニック」「ペルソナ」「龍が如く」「ファンタシースター」のフランチャイズ強化と新規IPの段階的投入を柱とした。同年6月には監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し、過半数を社外取締役が占める監査等委員会が業務執行の監査を担う体制とした。創業家が経営の中核を担うなかで独立社外取締役の比重を高めるガバナンス改革だった。 [38][39]

  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [38]里見治紀氏は2021年12月のインタビューで「社内では30億人のゲーマーにゲームコンテンツを届けると言っている」と述べ、ゲーム事業への投資シフト方針を示していた
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [39]2022年6月 監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行

「スーパーゲーム」構想の発表以降、セガはコンシューマ事業のグローバル化に向けて海外開発スタジオやIPの取得を加速した。2023年8月には欧州子会社SEGA Europe Limitedを通じてフィンランドのモバイルゲーム会社Rovio Entertainment Corporation(ロビオ・エンターテインメント)を株式公開買付で取得し、連結子会社化した。買収総額は約7.06億ユーロ(約1,000億円)で、セガサミーの歴代買収案件でも最大級の金額にあたる。 [40]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [40]2023年8月 SEGA Europe Limitedを通じフィンランドのRovio Entertainmentを株式公開買付で取得し連結子会社化

ロビオは「Angry Birds(アングリーバード)」フランチャイズを保有するモバイルゲームのトッププレーヤーで、映画化された同シリーズはディズニーチャンネル等で放映されている。取得の意味は3点ある。第一に、アングリーバードがすでにグローバルブランドとして確立し映画・アニメ・グッズへの展開実績を持つ点で「スーパーゲーム」構想と整合した。第二に、家庭用ゲーム市場よりも市場規模も成長率も高いモバイルゲーム領域への足場を確保し、コンシューマ事業の市場カバレッジを広げた。第三に、フィンランド・ヘルシンキを拠点とするロビオの開発体制を取り込み、北欧のゲーム開発人材へのアクセスを得た。家庭用偏重だったコンシューマ事業を、モバイルと欧州開発の両面で補強する買収だった。

  • 週刊東洋経済 2021年12月18日号「トップに直撃 セガサミーホールディングス 社長 里見治紀」
    • [38]里見治紀氏は2021年12月のインタビューで「社内では30億人のゲーマーにゲームコンテンツを届けると言っている」と述べ、ゲーム事業への投資シフト方針を示していた
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [39]2022年6月 監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行
    • [40]2023年8月 SEGA Europe Limitedを通じフィンランドのRovio Entertainmentを株式公開買付で取得し連結子会社化

パラダイスシティの収益化とシーガイア売却によるリゾート事業の選択集中

セガサミーの海外リゾート事業の中核は、2012年7月に韓国パラダイスグループとの合弁(Paradise Co., Ltd. 55%・セガサミー45%)で設立した合弁会社PARADISE SEGASAMMYが手掛け、2017年4月に韓国仁川広域市永宗島で開業した統合型リゾート「パラダイスシティ」である。カジノ・ホテル・商業施設等を集約した北東アジア初の本格的IRとして開業後も投資が先行したが、2023年3月期・2024年3月期はグループ参画以来最大の売上高更新と営業利益の黒字化を2期連続で達成し、長く投資先行で資金が滞留していたリゾート事業ポートフォリオが具体的な利益貢献の段階に入った。なお2024年には同じ永宗島で米モヒガン(Mohegan)が完全所有・運営する別の統合型リゾート「インスパイア」も開業したが、これはセガサミーの事業ではない。 [41][42][43]

2024年5月、セガサミーはフェニックスリゾート(シーガイア)を株式売却で連結子会社から除外した。2012年3月の取得から12年、宮崎県のリゾート運営事業を本体から切り離す決断であり、リゾート事業ポートフォリオの「国内=シーガイア・海外=パラダイスシティ」の2軸体制から、「海外=パラダイスシティ中心」へ集約する流れが完成した。シーガイア譲渡の理由は、国内リゾート事業の運営ノウハウ蓄積がグループ全体のシナジーを生まなかった点と、宮崎という立地特性が韓国IR・カジノ事業のグローバル展開とは独立した経営判断を要した点である。 [44]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [44]2024年5月 フェニックスリゾート(シーガイア)を株式売却で連結子会社から除外(2012年3月取得から12年)

中期経営計画2027「Beyond the Status Quo」始動

2025年4月、中期経営計画2024の最終年度を終え、5月にはセガサミーは新中期経営計画2027「Beyond the Status Quo」(FY26〜FY28の3カ年)を発表した。同計画は「現状超越」をスローガンに、エンタテインメントコンテンツ事業を中核成長エンジンに据え、グループ全体の事業ポートフォリオを「コンテンツ中核化」の方向へさらに踏み込む。具体的には、コンシューマ事業のIP拡張投資(新規スーパーゲーム開発・既存フランチャイズの追加投資)、遊技機事業のスマスロ次世代機対応による安定収益確保、リゾート事業のパラダイスシティ収益最大化と新規IR機会の戦略的検討を骨子とする。2025年6月の株主総会では、創業家2代目の里見治紀氏が代表取締役社長グループCEOを継続する一方、内海州史氏(元ソニーグループ出身、コンシューマ事業統括)が取締役として加わり、コンシューマ事業のグローバル化を担う後継人材の整備が進んだ。創業者・里見治氏(83歳)は代表取締役会長として残り、創業家による経営統制を維持しながら、世代交代の準備が進む構造である。 [45]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [45]里見治紀氏が代表取締役社長グループCEOを継続(ceo_csv 直近FY24まで里見治紀=社長グループCEO)

セガサミーホールディングスの2004年設立から2026年現在までの22年は、「異業種統合による多角化(2004-2014)→3事業体制への構造改革(2015-2021)→コンテンツ中核化と海外展開加速(2022-2026)」という3段階の経営フェーズで整理できる。創業者・里見治氏が広げた多角化フロンティアを、2代目・里見治紀氏が収益性軸で絞り込み、コンシューマ・遊技機・リゾートの3本柱へ集約する流れは、中計2027「Beyond the Status Quo」で「コンテンツ事業を中核成長エンジンに据える」段階に達した。 [46]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [46]セガサミーホールディングスの2004年設立から2026年現在まで22年

次の論点は、ロビオ取得(2023年)・パラダイスシティの収益貢献(2017年開業)といった投資の収益化スピードと、コンシューマ事業のグローバル化が「スーパーゲーム」構想どおりの少数集中投資で長期フランチャイズを育てられるかである。家庭用ゲーム市場のグローバル競争は任天堂・ソニー・マイクロソフトの3大プラットフォーマーと、欧米のEA・Ubisoft・Take-Twoらの大手ソフトメーカーが激しく競合し、日本発のメーカーがグローバルでフランチャイズを育てる難度は年々上がっている。創業家2代目の時代に下された「コンテンツ中核化」の戦略が、グループの100周年(2104年)に向かう長期成長軌道に接続できるかを、中計2027の3年間で検証する段階にある。 [47]

  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [47]ロビオ取得(2023年)・パラダイスシティの収益貢献(2017年開業)は資産・前段で確認
  • セガサミーホールディングス 有価証券報告書 第21期(2025年3月期)【沿革】
    • [45]里見治紀氏が代表取締役社長グループCEOを継続(ceo_csv 直近FY24まで里見治紀=社長グループCEO)
    • [46]セガサミーホールディングスの2004年設立から2026年現在まで22年
    • [47]ロビオ取得(2023年)・パラダイスシティの収益貢献(2017年開業)は資産・前段で確認

セガサミーホールディングスの沿革2001〜2024年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
セガの家庭用ゲーム機ハード事業からの撤退とソフトメーカーへの転身自社ハードを守るか、他社の機械にソフトを供給するか——20年続けた家庭用ゲーム機事業をたたむまで 詳細を読む★★★
里見治サミーによるセガの株式取得と持株会社セガサミーホールディングスの設立一度断られた相手をどう迎え入れるか——破談から18カ月をかけた異業種統合の交渉 詳細を読む★★★
里見治両社株主総会で株式移転を承認
里見治セガサミーHD設立・東京証券取引所一部上場★★
里見治トムス・エンタテインメントを子会社化
里見治タイヨーエレックを持分法適用関連会社化
里見治タイヨーエレックを子会社化
里見治セガ系3社を株式交換で完全子会社化
里見治フェニックスリゾートを子会社化
里見治遊技機の資金をリゾートと海外IRへ振り向けた2012年の同時多発投資宮崎のシーガイアと韓国・仁川のカジノリゾートを同じ年に抱えた選択 詳細を読む★★★
里見治セガサミークリエイションを設立
里見治インデックスの事業を譲受★★
里見治パラダイスシティの建設に着工★★
里見治セガの機能別3社分割とアミューズメント施設運営からの撤退家庭用・アーケード・店舗運営を一社で抱え続けるか——セガを機能で割り、祖業のゲームセンターを手放すまで 詳細を読む★★★
里見治紀セガ・ライブクリエイションを連結子会社から除外
里見治紀パラダイスシティを開業
里見治紀ゲーミング機器ライセンス取得
里見治紀セガゲームスがセガに商号変更しグループ再編
里見治紀セガ エンタテインメントを連結子会社から除外★★
里見治紀Sega Amusements Internationalを売却★★
里見治紀セガがセガグループを吸収合併
里見治紀監査等委員会設置会社へ移行
里見治紀Rovio Entertainmentを買収★★
里見治紀フェニックスリゾートを連結子会社から除外
出典・参考

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