2012年〜 経理を自動化する着想から統合型クラウド会計が生まれ、無料公開から課金へ移るまで
- 2012年東京都港区にCFO株式会社(現・フリー株式会社)を資本金100万円で設立。
- 2013年「クラウド会計ソフトfreee」(現・freee会計)をリリース。課金の仕組みが未完成のまま、無料期間として先に世へ出した。
- 2013年商号をCFO株式会社からフリー株式会社に変更。
- 2014年「クラウド給与計算ソフトfreee」(現・freee人事労務)をリリース。会計に続く第二の製品領域に踏み出す。
- 2015年e-Gov APIを利用した日本初の労働保険申告機能をリリース。
- 2015年「会社設立freee」(現・freee会社設立)をリリース。
- 2015年金融機関向けプロダクトをリリース。
freeeの業績推移:単体
出所:有価証券報告書等
祖父の美容院と経理担当役員の経験が結んだ創業の動機
2012年7月9日、東京都港区にCFO株式会社が資本金100万円で設立された。創業者の佐々木大輔氏は1980年生まれ、2004年に一橋大学商学部を卒業して博報堂へ入り、CLSAキャピタルパートナーズを経て、2007年から2008年までレコメンドエンジンを手がけるALBERTで経理担当執行役員を務めた。2008年から2012年まではグーグル日本法人に勤めた。会計士でもソフトウェア技術者でもない経歴から出発した会社である。東京証券取引所マザーズへ上場するまでに、この設立から7年5か月かかっている。 [1][2][3][4]
- 有価証券報告書
- [1]2012年7月に東京都港区でCFO株式会社を資本金100万円で設立した
- 週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」
- [2]設立日は2012年7月9日
- 週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」
- [3]佐々木大輔氏は1980年生まれ、博報堂・CLSAキャピタルパートナーズを経て2007〜08年にALBERTで経理担当執行役員を務め、2008〜12年にグーグルに勤務した
- 週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」
- [4]2004年に一橋大学商学部を卒業して博報堂に入社した
経理を自動化するという着想は、二つの経験から出ている。ひとつは家業で、佐々木氏の祖父が始めた美容院である。美容師は女性の仕事とされていた時代に男性美容師ばかりを集め、その構えが地域で受け入れられた店だった。小さな事業者が新しい価値観を持ち込む姿を、佐々木氏は間近に見ている。もうひとつはALBERTでの経理担当役員の経験で、紙を前提にした処理の煩わしさをここで知った。グーグル日本法人で中小企業を顧客に持った四年間が、技術が経営の根幹まで届いていないという確信を加えている。全国に630万あるとされる個人事業主と中小企業を、freeeは創業の時点で顧客に定めた。 [5][6][7]
- freee新戦略発表会 説明・質疑応答(2021年6月22日)
- [5]佐々木氏の祖父が始めた美容院が創業の原体験であり、男性美容師を集めた構えで地域に受け入れられた
- [6]freeeがスモールビジネスと呼ぶ個人事業主・中小企業は全国に630万あり、日本の事業者の99.7%を占める
- 週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」
- [7]実家が美容院で、会計の苦労を長年見てきた
- 有価証券報告書
- [1]2012年7月に東京都港区でCFO株式会社を資本金100万円で設立した
- 週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」
- [2]設立日は2012年7月9日
- 週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」
- [3]佐々木大輔氏は1980年生まれ、博報堂・CLSAキャピタルパートナーズを経て2007〜08年にALBERTで経理担当執行役員を務め、2008〜12年にグーグルに勤務した
- 週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」
- [4]2004年に一橋大学商学部を卒業して博報堂に入社した
- freee新戦略発表会 説明・質疑応答(2021年6月22日)
- [5]佐々木氏の祖父が始めた美容院が創業の原体験であり、男性美容師を集めた構えで地域に受け入れられた
- [6]freeeがスモールビジネスと呼ぶ個人事業主・中小企業は全国に630万あり、日本の事業者の99.7%を占める
- 週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」
- [7]実家が美容院で、会計の苦労を長年見てきた
統合型という設計と、無料で始めた課金
2013年3月、クラウド会計ソフトfreeeが公開された。設計の要は統合型という考え方にある。佐々木CEOは後年、統合型のクラウド会計ソフトを日本で初めて投入したところからfreeeの歴史が始まったと振り返っている。請求書を発行し、入金を管理し、支払いをするという日々の業務をこなすだけで会計帳簿が自動でできあがり、そのまま経営の分析や決算書、確定申告につながる。銀行口座やクレジットカードと連携して明細を取り込み、仕訳を自動で当てる。従来の会計ソフトが貸方と借方に数字を打ち込む道具だったのに対し、freeeは記帳を業務の副産物として扱った。同年5月に札幌で開かれたインフィニティ・ベンチャーズ・サミットのローンチパッドでは、出場12社のなかで優勝した。公開から2か月で3,300事業所が登録した。 [8][9][10]
- 有価証券報告書
- [8]2013年3月に「クラウド会計ソフトfreee」(現・freee会計)をリリースした
- freee新戦略発表会 説明・質疑応答(2021年6月22日)
- [9]統合型クラウド会計ソフトを日本で初めて投入し、業務をこなすと自動で帳簿がつく設計をとった
- 週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」
- [10]2013年5月下旬のIVSローンチパッドで出場12社のうち優勝し、リリース2か月で3,300事業所が登録した
料金は6月まで無料とし、7月以降は青色申告に対応する個人事業主向けを月額980円、会社法に対応する法人向けを月額1,980円に設定した。同種のクラウドサービスの半分の水準である。もっとも、無料と告知していた期間の内実は違っていた。佐々木CEOは後年、当時は課金の仕組みそのものが未完成で、無料期間と称しながら裏でその機能を作っていたと明かしている。無料期間という告知は、課金の仕組みが仕上がるまでの猶予でもあった。同年7月、会社は商号をCFO株式会社からフリー株式会社へ改め、製品名を社名にした。 [11][12][13]
- 週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」
- [11]2013年7月以降の料金は個人事業主プランが月額980円、法人プランが月額1,980円で、従来の同種クラウドサービスの半額だった
- freee新戦略発表会 説明・質疑応答(2021年6月22日)
- [12]会計ソフトfreeeのリリース時は課金機能なしで提供を開始し、無料期間と告知しながら課金機能を開発していた
- 有価証券報告書
- [13]2013年7月に商号をCFO株式会社からフリー株式会社へ変更した
- 有価証券報告書
- [8]2013年3月に「クラウド会計ソフトfreee」(現・freee会計)をリリースした
- [13]2013年7月に商号をCFO株式会社からフリー株式会社へ変更した
- freee新戦略発表会 説明・質疑応答(2021年6月22日)
- [9]統合型クラウド会計ソフトを日本で初めて投入し、業務をこなすと自動で帳簿がつく設計をとった
- [12]会計ソフトfreeeのリリース時は課金機能なしで提供を開始し、無料期間と告知しながら課金機能を開発していた
- 週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」
- [10]2013年5月下旬のIVSローンチパッドで出場12社のうち優勝し、リリース2か月で3,300事業所が登録した
- [11]2013年7月以降の料金は個人事業主プランが月額980円、法人プランが月額1,980円で、従来の同種クラウドサービスの半額だった
会計から給与計算へ広げた三年と、三五億円の調達
2014年10月、クラウド給与計算ソフトfreeeが公開された。会計に続く二本目の製品で、のちに人事労務freeeへ改称される。2015年5月には電子政府の窓口であるe-Gov APIを使い、労働保険の申告をソフトから行う機能を日本で初めて備えた。同年6月に会社設立freee、9月にマイナンバー管理freee、12月に金融機関向けの製品と、年に三本から四本の速さで対象業務を足した。会計ソフトの会社という枠は、創業から三年で自ら外した。2014年8月には本店を東京都港区から品川区へ移した。この移転を皮切りに五反田へベンチャー企業が集まり始め、2018年7月には一般社団法人五反田バレーが設けられている。 [14][15][16][17][18]
- 有価証券報告書
- [14]2014年10月に「クラウド給与計算ソフトfreee」(現・freee人事労務)をリリースした
- [15]2015年5月にe-Gov APIを利用した日本初の労働保険申告機能をリリースした
- [16]2015年6月に会社設立freee、9月にマイナンバー管理freee、12月に金融機関向けプロダクトをリリースした
- [17]2014年8月に本店を東京都港区から東京都品川区へ移転した
- 週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰! 再開発バトル」
- [18]2014年のfreeeの移転を皮切りに五反田へベンチャー企業が集まり出し、2018年7月に一般社団法人「五反田バレー」が設立された
2015年8月、freeeは35億円を調達した。当時のベンチャーとしては異例の規模である。資金を必要としたのは収入の入り方が従来のソフトウェアと違うためで、利用料が積み上がる前に開発と営業の費用が先に出る。2016年6月期の単体決算は売上高5億6,880万円に対し経常損失21億2,991万円と、売上の四倍に近い赤字を計上した。数字だけを見れば失敗した事業に見える。しかし月額課金では解約されない限り翌月も同じ収入が立つため、獲得した事業所の数そのものが資産として残る。この構造が投資家に共有されるまでには、なお時間がかかった。 [19]
- 週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」
- [19]2015年8月にベンチャーとしては異例の35億円を調達した
- 有価証券報告書
- [14]2014年10月に「クラウド給与計算ソフトfreee」(現・freee人事労務)をリリースした
- [15]2015年5月にe-Gov APIを利用した日本初の労働保険申告機能をリリースした
- [16]2015年6月に会社設立freee、9月にマイナンバー管理freee、12月に金融機関向けプロダクトをリリースした
- [17]2014年8月に本店を東京都港区から東京都品川区へ移転した
- 週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰! 再開発バトル」
- [18]2014年のfreeeの移転を皮切りに五反田へベンチャー企業が集まり出し、2018年7月に一般社団法人「五反田バレー」が設立された
- 週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」
- [19]2015年8月にベンチャーとしては異例の35億円を調達した