{
  "title": "freeeの歴史概略",
  "sections": [
    {
      "start_year": 2012,
      "end_year": 2015,
      "main_title": "経理を自動化する着想から統合型クラウド会計が生まれ、無料公開から課金へ移るまで",
      "subsections": [
        {
          "title": "祖父の美容院と経理担当役員の経験が結んだ創業の動機",
          "text": "2012年7月9日、東京都港区にCFO株式会社が資本金100万円で設立された。創業者の佐々木大輔氏は1980年生まれ、2004年に一橋大学商学部を卒業して博報堂へ入り、CLSAキャピタルパートナーズを経て、2007年から2008年までレコメンドエンジンを手がけるALBERTで経理担当執行役員を務めた。2008年から2012年まではグーグル日本法人に勤めた。会計士でもソフトウェア技術者でもない経歴から出発した会社である。東京証券取引所マザーズへ上場するまでに、この設立から7年5か月かかっている。\n\n経理を自動化するという着想は、二つの経験から出ている。ひとつは家業で、佐々木氏の祖父が始めた美容院である。美容師は女性の仕事とされていた時代に男性美容師ばかりを集め、その構えが地域で受け入れられた店だった。小さな事業者が新しい価値観を持ち込む姿を、佐々木氏は間近に見ている。もうひとつはALBERTでの経理担当役員の経験で、紙を前提にした処理の煩わしさをここで知った。グーグル日本法人で中小企業を顧客に持った四年間が、技術が経営の根幹まで届いていないという確信を加えている。全国に630万あるとされる個人事業主と中小企業を、freeeは創業の時点で顧客に定めた。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰！ 再開発バトル」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2012年7月に東京都港区でCFO株式会社を資本金100万円で設立した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "設立日は2012年7月9日",
                "source": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "佐々木大輔氏は1980年生まれ、博報堂・CLSAキャピタルパートナーズを経て2007〜08年にALBERTで経理担当執行役員を務め、2008〜12年にグーグルに勤務した",
                "source": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2004年に一橋大学商学部を卒業して博報堂に入社した",
                "source": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "佐々木氏の祖父が始めた美容院が創業の原体験であり、男性美容師を集めた構えで地域に受け入れられた",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "freeeがスモールビジネスと呼ぶ個人事業主・中小企業は全国に630万あり、日本の事業者の99.7%を占める",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "実家が美容院で、会計の苦労を長年見てきた",
                "source": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "統合型という設計と、無料で始めた課金",
          "text": "2013年3月、クラウド会計ソフトfreeeが公開された。設計の要は統合型という考え方にある。佐々木CEOは後年、統合型のクラウド会計ソフトを日本で初めて投入したところからfreeeの歴史が始まったと振り返っている。請求書を発行し、入金を管理し、支払いをするという日々の業務をこなすだけで会計帳簿が自動でできあがり、そのまま経営の分析や決算書、確定申告につながる。銀行口座やクレジットカードと連携して明細を取り込み、仕訳を自動で当てる。従来の会計ソフトが貸方と借方に数字を打ち込む道具だったのに対し、freeeは記帳を業務の副産物として扱った。同年5月に札幌で開かれたインフィニティ・ベンチャーズ・サミットのローンチパッドでは、出場12社のなかで優勝した。公開から2か月で3,300事業所が登録した。\n\n料金は6月まで無料とし、7月以降は青色申告に対応する個人事業主向けを月額980円、会社法に対応する法人向けを月額1,980円に設定した。同種のクラウドサービスの半分の水準である。もっとも、無料と告知していた期間の内実は違っていた。佐々木CEOは後年、当時は課金の仕組みそのものが未完成で、無料期間と称しながら裏でその機能を作っていたと明かしている。無料期間という告知は、課金の仕組みが仕上がるまでの猶予でもあった。同年7月、会社は商号をCFO株式会社からフリー株式会社へ改め、製品名を社名にした。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰！ 再開発バトル」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2013年3月に「クラウド会計ソフトfreee」（現・freee会計）をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "統合型クラウド会計ソフトを日本で初めて投入し、業務をこなすと自動で帳簿がつく設計をとった",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2013年5月下旬のIVSローンチパッドで出場12社のうち優勝し、リリース2か月で3,300事業所が登録した",
                "source": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2013年7月以降の料金は個人事業主プランが月額980円、法人プランが月額1,980円で、従来の同種クラウドサービスの半額だった",
                "source": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "会計ソフトfreeeのリリース時は課金機能なしで提供を開始し、無料期間と告知しながら課金機能を開発していた",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2013年7月に商号をCFO株式会社からフリー株式会社へ変更した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "会計から給与計算へ広げた三年と、三五億円の調達",
          "text": "2014年10月、クラウド給与計算ソフトfreeeが公開された。会計に続く二本目の製品で、のちに人事労務freeeへ改称される。2015年5月には電子政府の窓口であるe-Gov APIを使い、労働保険の申告をソフトから行う機能を日本で初めて備えた。同年6月に会社設立freee、9月にマイナンバー管理freee、12月に金融機関向けの製品と、年に三本から四本の速さで対象業務を足した。会計ソフトの会社という枠は、創業から三年で自ら外した。2014年8月には本店を東京都港区から品川区へ移した。この移転を皮切りに五反田へベンチャー企業が集まり始め、2018年7月には一般社団法人五反田バレーが設けられている。\n\n2015年8月、freeeは35億円を調達した。当時のベンチャーとしては異例の規模である。資金を必要としたのは収入の入り方が従来のソフトウェアと違うためで、利用料が積み上がる前に開発と営業の費用が先に出る。2016年6月期の単体決算は売上高5億6,880万円に対し経常損失21億2,991万円と、売上の四倍に近い赤字を計上した。数字だけを見れば失敗した事業に見える。しかし月額課金では解約されない限り翌月も同じ収入が立つため、獲得した事業所の数そのものが資産として残る。この構造が投資家に共有されるまでには、なお時間がかかった。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2013年6月7日号「特集 起業100のアイデア」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰！ 再開発バトル」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2014年10月に「クラウド給与計算ソフトfreee」（現・freee人事労務）をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2015年5月にe-Gov APIを利用した日本初の労働保険申告機能をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2015年6月に会社設立freee、9月にマイナンバー管理freee、12月に金融機関向けプロダクトをリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2014年8月に本店を東京都港区から東京都品川区へ移転した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2014年のfreeeの移転を皮切りに五反田へベンチャー企業が集まり出し、2018年7月に一般社団法人「五反田バレー」が設立された",
                "source": "週刊東洋経済 2019年6月29日号「第1特集 沸騰！ 再開発バトル」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2015年8月にベンチャーとしては異例の35億円を調達した",
                "source": "週刊東洋経済 2015年9月25日号「第1特集 マイナンバー」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        }
      ]
    },
    {
      "start_year": 2016,
      "end_year": 2019,
      "main_title": "銀行とつながり上場企業にも売り、費用先行のまま株式市場へ出るまでの四年",
      "subsections": [
        {
          "title": "メガバンクとのAPI連携と、地方銀行が持ち込んだ四千社",
          "text": "2016年10月、freeeはみずほ銀行とAPIで接続した。メガバンクとの接続は国内で初めてである。地方銀行との関係はそれより早く、2015年末に北国銀行と業務提携を結んでいる。北国銀行の杖村修司専務は提携後に北陸地域でfreeeを導入した先が約4,000社まで増えたと語り、経理処理に困る取引先の多さを提携の理由に挙げた。2017年春の時点でfreeeが協業する金融機関は17に達し、累計の資金調達額は100億円に迫っている。銀行の側から見れば、自行の外に口座の明細を渡す相手が現れた。\n\n2017年3月、freeeは同年4月から北国銀行と共同でリアルタイム経営シグナルを提供すると発表した。会計データを銀行が読み、融資先の状況を随時つかむ仕組みで、佐々木CEOは銀行員が顧客のデータを管理しやすくなり融資先のビジネスを深く理解するのに役立つと期待を述べている。同年3月に閣議決定された改正銀行法案は銀行のAPI開放を実質的に義務づけるもので、預金者が望めば銀行はフィンテック企業のサービス上に口座残高の照会や送金指示の窓口を提供しなければならない。中小企業が自社の財務データを最初に預ける先は、銀行の窓口から会計ソフトへ移った。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社プレスリリース「株式会社マネーフォワードに対する特許権侵害訴訟の判決について」（2017年7月27日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "quotes": [
            {
              "speaker": "佐々木大輔",
              "role": "フリー代表としての発言",
              "date": "2017-03",
              "text": "銀行マンが顧客のデータを管理しやすくなり、融資先のビジネスを深く理解するのに役立つはず",
              "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
              "paragraph": 2
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2016年10月に株式会社みずほ銀行とAPI連携し、メガバンクとのAPI連携は国内初だった",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "北国銀行の杖村修司専務は2015年末にfreeeと業務提携し、北陸地域で導入が約4,000社まで増えたと述べた",
                "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2017年3月時点でfreeeの金融機関との協業は17件、累計の資金調達額は100億円に迫っていた",
                "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2017年3月時点で、freeeは同年4月から北国銀行と共同で「リアルタイム経営シグナル」を提供すると発表していた",
                "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2017年3月3日に閣議決定された改正銀行法案は銀行のAPI開放を実質義務化するものだった",
                "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "上場企業にも売る決定と、マネーフォワードとの特許訴訟",
          "text": "2017年3月、freeeはクラウド会計ソフトに上場会社の金融商品取引法監査へ対応するエンタープライズプランを加えた。個人事業主と創業間もない企業に絞ってきた顧客層を、上場企業まで引き上げる決定である。小さな事業者向けに作った製品を大きな企業へ売れば、求められる機能は増え、価格も上がる。ただしfreeeはこの後も主戦場をスモールビジネスに置き続けており、エンタープライズ対応は市場の乗り換えではなく、同じ製品で扱える企業規模の上限を広げる作業である。同年8月にはクラウド給与計算ソフトfreeeを人事労務freeeへ改称し、給与計算だけの製品から労務管理までを含む製品へ作り直した。\n\n競合との距離が最も近づいたのも同じ時期である。freeeは2016年10月21日、マネーフォワードのMFクラウド会計が自社の特許第5503795号を侵害しているとして、差止めを求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。争点は、freeeの特許が定める対応テーブルを用いる方式と、マネーフォワードが使う機械学習で生成したアルゴリズムが同じ技術かどうかにあった。2017年7月27日、東京地裁はfreeeの請求を棄却した。自動仕訳という同じ機能を別の技術でも実現できると裁判所は判断した。この分野で参入障壁を特許に求めるのは難しい。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社プレスリリース「株式会社マネーフォワードに対する特許権侵害訴訟の判決について」（2017年7月27日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2017年3月に上場会社（金融商品取引法監査）にも対応したエンタープライズプランをリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2017年8月に「クラウド給与計算ソフトfreee」をリブランドし「人事労務freee」をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "freeeは2016年10月21日にマネーフォワードを相手取り特許第5503795号の侵害を理由とする差止請求訴訟を東京地方裁判所に提起した",
                "source": "フリー株式会社プレスリリース「株式会社マネーフォワードに対する特許権侵害訴訟の判決について」（2017年7月27日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2017年7月27日に東京地方裁判所はfreeeの請求を棄却し、被告製品は機械学習で生成したアルゴリズムを用いており特許請求項の優先ルール・テーブルを利用しないと判断した",
                "source": "フリー株式会社プレスリリース「株式会社マネーフォワードに対する特許権侵害訴訟の判決について」（2017年7月27日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "freeeはマネーフォワードに対し特許侵害の訴訟を起こしていた",
                "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "外部開発者への開放と、二〇一九年一二月の上場",
          "text": "2019年1月、freeeは外部の開発者が作ったアプリケーションを載せるfreeeアプリストアを開いた。630万の事業者には630万通りの業務の組み方があり、自社で作れる機能には限りがあるという判断による。同年6月には、蓄積した会計データから資金繰りを予測して調達手段を示す資金繰り改善ナビを、前年10月に設立した子会社フリーファイナンスラボから公開した。2019年6月期の連結決算は売上高45億円、営業損失28億円だった。同年8月の時点で導入した事業所は100万を超え、会計と給与計算のクラウドソフトで高いシェアを占めている。\n\n2019年12月17日、freeeは東京証券取引所マザーズに上場した。調達額は約120億円、公開価格は2,000円である。特徴は売り出しと公募の約7割が海外投資家に販売された点で、日本のベンチャーとしては異例だった。佐々木CEOは、北米はSaaSで先行しており目の肥えた投資家が多い、彼らが投資できる企業サイズになってきたことが上場に踏み切った理由だと説明している。当時の国内のクラウド会計ソフトの普及率は14%ほどで、市場そのものがまだ小さい段階での上場である。2019年としては二番目の大型上場にあたり、株式募集・売り出しの金額でも時価総額でも、同年6月に上場したSansanに次ぐ規模だった。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社プレスリリース「株式会社マネーフォワードに対する特許権侵害訴訟の判決について」（2017年7月27日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "quotes": [
            {
              "speaker": "佐々木大輔",
              "role": "freee CEO としての発言",
              "date": "2019-12",
              "text": "今回の株式上場では、売り出しと公募のうち、7割が海外投資家に販売された。北米を中心に機関投資家を回り、反応がよかった結果で、日本のベンチャーで異例の水準だ。\n上場に踏み切ったのは、彼らが投資できる企業サイズになってきたことが大きい。",
              "source": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
              "paragraph": 2
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2019年1月にアプリケーションプラットフォーム「freeeアプリストア」をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2018年10月に子会社フリーファイナンスラボ株式会社を設立し、2019年6月に同社が「資金繰り改善ナビ」をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2019年8月時点で導入社数は100万社を超え、会計と給与計算のクラウドソフトで高いシェアを有していた",
                "source": "週刊東洋経済 2019年8月24日号「第1特集 すごいベンチャー100」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2019年12月17日に東京証券取引所マザーズへ上場し、調達額は約120億円、公開価格は2,000円だった",
                "source": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "上場時の売り出しと公募のうち約7割が海外投資家に販売され、日本のベンチャーとしては異例の水準だった",
                "source": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "当時のクラウド会計ソフトの国内普及率は14%程度だった",
                "source": "週刊東洋経済 2019年12月28日号「特集 2020大予測」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2019年で二番目の大型上場であり、株式募集・売り出しの金額や時価総額では同年6月に上場したSansanに次ぐ規模だった",
                "source": "週刊東洋経済 2020年1月25日号「『会社四季報』ルーキー登場【4478】フリー」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        }
      ]
    },
    {
      "start_year": 2020,
      "end_year": 2025,
      "main_title": "三五〇億円を調達して買収を重ね、一三期目に初めて営業黒字へ届くまで",
      "subsections": [
        {
          "title": "新しいビジョンとブランド刷新の二〇二一年六月",
          "text": "2020年は製品を足す年だった。4月にプロジェクト管理freee、12月にfreeeスマート受発注を公開した。コロナ禍で押印や出社を前提とする商慣行が壁になり、freee自身の調査でも、テレワーク中に出社が必要になる理由として取引先との関係が挙がった。翌2021年春、freeeは約350億円を調達する。佐々木CEOによれば、マザーズでは過去最大規模の調達で、米国の投資家も参加できる珍しい形をとった。資金使途にM&Aを掲げた点も日本の上場企業では例が少なく、そのハードルを越えての調達だったと同氏は述べた。払込とほぼ同時の同年4月には、電子契約サービスNINJA SIGNを提供するサイトビジットを子会社化した。サイトビジット創業者の鬼頭政人氏は、契約の作成から締結、保管、管理までを一つで賄う製品を中小企業に向けてきたと説明している。\n\n2021年6月22日の新戦略発表会で、freeeは「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」を新しいビジョンに掲げた。柱は三つで、業務を横断してつなぐ統合型クラウドERP、外部の開発者に開いたオープンプラットフォーム、利用企業どうしの取引を効率化する仕組みである。同時にブランドを刷新し、製品名も会計freeeからfreee会計へ改めた。個々のソフトの集まりではなく、業務全体を載せる一つの基盤として売ると宣言した。当時の利用事業所は28万社を超えている。同じ発表会では、スモールビジネスが抱える課題を調べるスモールビジネス研究所と、出版レーベルfreee出版の立ち上げも示された。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 2022年6月期 決算説明会 質疑応答（2022年8月12日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 有価証券報告書（2022年6月期・連結）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年6月6日号「特集 テレワーク総点検」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2020年4月に「プロジェクト管理freee」、2020年12月に「freeeスマート受発注」をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "freeeの調査では、テレワーク中でも出社が必要になる理由として取引先との関係が挙がった",
                "source": "週刊東洋経済 2020年6月6日号「特集 テレワーク総点検」",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2021年春に約350億円を調達し、マザーズでは過去最大規模、米国投資家も参加できる形式で、M&Aを資金使途に掲げた",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2021年4月にNINJA SIGNを提供する株式会社サイトビジットを子会社化した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "サイトビジット代表取締役の鬼頭政人氏は、NINJA SIGNが契約の作成・承認・締結・保管・管理の全フローをワンストップでカバーすると説明した",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2021年6月22日の新戦略発表会でビジョン「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」を掲げ、統合型クラウドERP・オープンプラットフォーム・企業間取引の三つの柱を示した",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "同日にブランドを刷新し、サービス名を「会計フリー」から「freee会計」へ変更した",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2021年6月時点の利用事業所は28万社以上",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "同じ発表会でスモールビジネス研究所の設立と出版レーベル「freee出版」の立ち上げを示した",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "会計データを与信に使うカードと、買収で埋めた業務の空白",
          "text": "2022年1月、freeeは法人カードfreeeカード Unlimitedを出した。従来の提携カードと違い、自らカードの発行会社となって与信を引き受ける。判断材料はfreeeに蓄積された会計データで、成長中の企業ほどサーバー代や広告費の支払いが増えるという実情に合わせ、従来より高い限度額を出す設計をとった。利用から明細への反映も1日から3日に縮めている。佐々木CEO自身、freee創業の直後は個人のクレジットカードすら通らず、5年前には住宅ローンの審査に落ちている。与信を得にくいという小さな事業者の不利は、創業者の実感でもあった。\n\n同じ時期から買収が続いた。2021年7月にフィリピンの開発拠点Likha-iT、2022年6月に税理士事務所向けクラウド税務ソフトのMikatus、2023年1月に請求書処理のsweeep、同年6月にWhy、同年12月にエン・ジャパンのフリーランス管理事業pasture、2024年10月にアポロ、2025年1月にYUIと、三年半で七件に及ぶ。買った先は契約、税務、請求、業務委託の管理と、いずれも会計と人事労務の周りに空いていた業務である。自社開発だけでは足りない速さを、350億円の調達がまかなった。買収した会社の多くはその後に吸収合併され、製品はfreee登記やfreeeサインとして自社の名前に統合されている。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 2022年6月期 決算説明会 質疑応答（2022年8月12日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 有価証券報告書（2022年6月期・連結）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年6月6日号「特集 テレワーク総点検」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [
              {
                "fact": "2022年1月に「freeeカード Unlimited」をリリースした",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "freeeはイシュアーとして自らクレジットカードを発行し、会計データを用いた独自の与信モデルで高い限度額を実現し、利用から明細反映までを1日から3日以内に短縮した",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "佐々木CEOは5年前に住宅ローンの審査が通らず、freee創業直後は個人のクレジットカードもほとんど通らなかったと述べた",
                "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "2021年7月にLikha-iT Inc.、2022年6月にMikatus、2023年1月にsweeep、同年6月にWhy、2024年10月にアポロ、2025年1月にYUIを完全子会社化した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2023年12月にエン・ジャパンのフリーランス管理ツール「pasture」事業を会社分割により承継した",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "Mikatusは2022年9月に吸収合併され「freee登記」がリリースされ、フリーサイン株式会社は2024年7月に吸収合併された",
                "source": "有価証券報告書",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        },
        {
          "title": "一三期目の営業黒字と、その直後に下がった株価",
          "text": "業績を並べると、売上が伸びるほど営業赤字も膨らんでいる。2021年6月期までは売上高103億円に対し営業損失24億円と、赤字の額は上場前とほとんど変わらなかった。ところが2022年6月期は売上高144億円で営業損失30億円、2023年6月期は売上高192億円で営業損失79億円、2024年6月期は売上高254億円で営業損失84億円と、買収を重ねた三年で赤字は三倍を超えた。売上高は同じ三年で1.8倍に伸びており、事業そのものが縮んだわけではない。それでも上場してからの六期、freeeは一度も営業利益を計上していない。\n\n2022年6月期の親会社株主に帰属する当期純損失116億円は、その大半をソフトウェア資産とのれんの一括減損92億2,130万円が占める。freeeはこの減損を個別の事業の実績によるものとせず、中長期の戦略にもとづいて全固定資産を対象にしたと説明し、あわせて開発費を資産計上せず全額を費用として計上する方針へ切り替えた。翌期以降に営業損失が広がったのは、この変更が通期で効いたためでもある。転換は2025年6月期に訪れる。売上高333億円、営業利益6億円、当期純利益14億円と、通期の営業損益が創業以来はじめて黒字に転じた。佐々木CEOは要因として、営業とマーケティングの投資効率を改善したこと、ARRが伸びて規模が大きくなり投資をしながら収益を出せる体質になったことの二つを挙げている。\n\nはじめての黒字を、投資家は素直に迎えなかった。決算発表の直後に株価は下がり、佐々木CEOは資本市場の期待値と会社の業績見通しとの隔たりを主要因の一つに挙げた。収益改善の速さを見た市場は、さらに先を織り込んでいた。会社の側も黒字の継続を約束していない。M&Aを成長戦略として続ける以上、当期純利益は再びマイナスになりうると同氏は株主総会で述べている。60万事業所の会計データを与信や横断的な分析に用いるという構想は、利用者数が増え続けることを前提に立つ。前提が変われば、13年かけて築いた統合型という強みは、そのままの形で制約に変わる。",
          "references": [
            {
              "title": "有価証券報告書（フリー株式会社）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 2022年6月期 決算説明会 質疑応答（2022年8月12日）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 有価証券報告書（2022年6月期・連結）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            },
            {
              "title": "週刊東洋経済 2020年6月6日号「特集 テレワーク総点検」",
              "year": null,
              "month": null,
              "date": null,
              "url": null,
              "quotes": []
            }
          ],
          "factBasis": [
            [],
            [
              {
                "fact": "2022年6月期の親会社株主に帰属する当期純損失は11,609,024千円、うち減損損失は9,221,296千円",
                "source": "フリー株式会社 有価証券報告書（2022年6月期・連結）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "東後CFOは、個別の事業の実績に起因するものではなく中長期戦略にもとづいてすべての固定資産を減損したと説明し、開発費を全額費用計上へ切り替えたと述べた",
                "source": "フリー株式会社 2022年6月期 決算説明会 質疑応答（2022年8月12日）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "佐々木CEOは黒字化の要因として営業・マーケティングの投資効率改善とARR成長による規模の拡大を挙げた",
                "source": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ],
            [
              {
                "fact": "佐々木CEOは黒字化発表直後の株価下落について、資本市場の期待値と将来の業績見通しとのギャップを主要因の一つに挙げた",
                "source": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "佐々木CEOはM&Aを引き続き成長戦略として進める方針であり、当期純利益はマイナスになる可能性もあると述べた",
                "source": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              },
              {
                "fact": "2025年時点で顧客である事業所は60万に達し、そのデータを横断的なインサイトや与信に用いている",
                "source": "フリー株式会社 第13期定時株主総会 質疑応答（要旨）（2025年）",
                "url": null,
                "genbun": ""
              }
            ]
          ]
        }
      ]
    }
  ],
  "summary": {
    "title": "サマリー",
    "text": "",
    "qa": [
      {
        "q": "なぜ2012年に、会計ソフトではなく業務そのものを束ねる仕組みとしてfreeeが始まったのか",
        "a": "経理の手間は、記帳という作業よりも、日々の業務と帳簿が切れていることから生まれる。事業者は請求も入金も決済も別々に処理し、あとから帳簿へ写す。同じ数字に二度触る作業が残る。佐々木大輔氏はこの順序を逆にした。2012年7月、東京都港区にCFO株式会社（現・フリー株式会社）を資本金100万円で設立し、翌2013年3月、日々の業務をこなすだけで帳簿ができあがる統合型のクラウド会計ソフトfreeeを公開した。祖父が営んだ美容院と、自身が経理担当役員を務めた経験が、この設計の下敷きにある。",
        "factBasis": [
          {
            "fact": "2012年7月に東京都港区でCFO株式会社を資本金100万円で設立し、2013年3月に「クラウド会計ソフトfreee」をリリースした",
            "source": "有価証券報告書",
            "url": null,
            "genbun": "2012年7月、東京都港区にCFO株式会社（現・フリー株式会社）を資本金100万円で設立し、翌2013年3月、日々の業務をこなすだけで帳簿ができあがる統合型のクラウド会計ソフトfreeeを公開した。"
          },
          {
            "fact": "佐々木大輔CEOは創業の原体験として祖父が始めた美容院を挙げ、統合型のクラウド会計ソフトを日本で初めて投入したところから事業が始まったと述べている",
            "source": "freee新戦略発表会 説明・質疑応答（2021年6月22日）",
            "url": null,
            "genbun": "祖父が営んだ美容院と、自身が経理担当役員を務めた経験が、この設計の下敷きにある。"
          }
        ]
      },
      {
        "q": "なぜ2016年に、freeeは自社が預かる会計データを銀行へ開いたのか",
        "a": "クラウド会計ソフトは、中小企業の売上と支出を日々の取引のまま持つ。同じ情報を、銀行は決算書という年に一度の要約でしか受け取れずにいた。この差を埋めれば、融資の審査に要る材料をfreeeの側から出せる。2016年10月、freeeはみずほ銀行とAPIで接続した。メガバンクとの接続は国内で初めてである。前年末に提携した北国銀行では、北陸地域の導入先が約4,000社まで増えた。2017年3月に閣議決定された改正銀行法案は、銀行のAPI開放を実質的に義務づけた。会計ソフトを介した与信に、制度が後から追いついた。",
        "factBasis": [
          {
            "fact": "2016年10月に株式会社みずほ銀行とAPI連携し、メガバンクとのAPI連携は国内初だった",
            "source": "有価証券報告書",
            "url": null,
            "genbun": "2016年10月、freeeはみずほ銀行とAPIで接続した。"
          },
          {
            "fact": "北国銀行の杖村修司専務は2015年末の業務提携以降、北陸地域でfreeeの導入が約4,000社まで増えたと述べた",
            "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
            "url": null,
            "genbun": "前年末に提携した北国銀行では、北陸地域の導入先が約4,000社まで増えた。"
          },
          {
            "fact": "2017年3月3日に閣議決定された改正銀行法案は銀行のAPI開放を実質義務化するものだった",
            "source": "週刊東洋経済 2017年3月25日号「第1特集 銀行マンの運命」",
            "url": null,
            "genbun": "2017年3月に閣議決定された改正銀行法案は、銀行のAPI開放を実質的に義務づけた。"
          }
        ]
      },
      {
        "q": "なぜ2022年に、業績が崩れたわけでもないのに全固定資産を減損したのか",
        "a": "ソフトウェアの開発費を資産に計上すれば、その期の利益は多く見える。だが製品を絶えず作り替えるサブスクリプションでは、資産に残した価値と実際に使える機能とが合わなくなる。freeeは2022年6月期、個別事業の実績によるものではないと断ったうえで、ソフトウェア資産とのれんを含む全固定資産を一括で減損し、92億2,130万円を計上した。あわせて開発費を全額その期の費用とする方針へ切り替えている。当期純損失116億円の大半はこの処理による。見かけの利益を捨て、投資の実額を毎期おもてに出す会計へ移した判断である。",
        "factBasis": [
          {
            "fact": "2022年6月期の減損損失は9,221,296千円、親会社株主に帰属する当期純損失は11,609,024千円",
            "source": "フリー株式会社 有価証券報告書（2022年6月期・連結）",
            "url": null,
            "genbun": "当期純損失116億円の大半はこの処理による。"
          },
          {
            "fact": "東後CFOは、個別の事業の実績に起因するものではなく中長期戦略にもとづいてすべての固定資産を減損したと説明し、開発費を全額費用計上へ切り替えたと述べた",
            "source": "フリー株式会社 2022年6月期 決算説明会 質疑応答（2022年8月12日）",
            "url": null,
            "genbun": "freeeは2022年6月期、個別事業の実績によるものではないと断ったうえで、ソフトウェア資産とのれんを含む全固定資産を一括で減損し、92億2,130万円を計上した。"
          }
        ]
      }
    ]
  }
}
