コスモス薬品 自力出店で売上高1兆円 買収せずに建てる——M&Aによる規模拡大を一切採らないという選択

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時期 2025年7月
当時の社長 横山英昭
論点 成長戦略とM&Aの是非
何をなぜ決めたか
概要

2025年5月期、コスモス薬品は連結売上高1兆113億円に達し、ドラッグストアで売上1兆円を超えた4社目となった。ただ先行3社がいずれもM&Aで規模を積み上げたのに対し、同社は創業以来一度も買収を挟まず、全1,609店を自力出店のみで積み上げて大台に届いた点で異例だった。

背景

2010年代後半以降、ドラッグストア業界はマツモトキヨシとココカラファイン、ツルハとウエルシアと大型再編が相次ぎ、規模の拡大はM&Aで進むのが常態になっていた。九州発のコスモスは食品ディスカウントとローコスト経営で自力成長を続け、2024年5月期に9,649億円と1兆円を目前にしていた。

内容

横山英昭社長は規模を買う道を採らず、年100店超の自力出店で1兆円へ届かせる方針を前年から公言していた。人材・立地・物流をすべて自社で組み、店舗フォーマットの均質性と出店速度の両立を、買収では代替できない優位と位置づけた。関東・中部への出店では土地取得の内製化にも着手した。

含意

自力出店のみでの1兆円到達はドラッグストアで前例がなく、業界再編とは対照的な成長経路を示した。他方、土地内製化と物流新設で有利子負債は428億円へ膨らみ、規模が大きくなるほど均質性と価格の一貫性をどう保つかという課題を残した。

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筆者の見解
筆者の見解

規模を、買収するのではなく建てるという選び方

この判断の核心は、規模そのものよりも、規模の作り方に一貫してこだわった点にある。買収は他社の店と人と文化を一度に取り込み、時間を金で買える半面、同じ型にそろえ直す手間を後年へ残す。コスモスは時間はかかっても、1店ずつ自社の型で建てる道を選び、フォーマットの均質性と低コストを崩さぬまま1兆円まで届かせた。1兆円を通過点と呼ぶこの会社の姿勢には、規模を目的ではなく、均質な店を積み上げた副産物として扱う発想がにじむ。売上1兆円企業の4社目という位置より、そこへ買収なしで至った経路のほうに、この経営の性格がよく表れている。

もっとも、自力の成長にも限界の影は差す。土地の内製化で膨らんだ負債、既存店の伸びの鈍さ、そして規模が大きくなるほど全店を同じ型に保つ難しさは増していく。業界が再編で時間を買うなかで、店を建て続けるという選択がいつまで速度と均質性を両立できるかは、まだ答えの出ていない問いだ。ドラッグ店に不向きな土地を使うホテル事業への参入も含め、買わずに広げるという原則を次の局面でどこまで貫けるか。そこにこの成長戦略の真価が問われていく。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
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参考文献
出典・参考
  • コスモス薬品 有価証券報告書(2025年5月期)

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