この上場は、量を追う宅配から採算を守る宅配へと転じた佐川急便が、その成果を資本市場に問うた場面であった。過去最高益の見通しを背に公開価格を上回る初値がつき、2017年最大のIPOという評価も得た点をみれば、路線転換は市場に受け入れられたといえる。ただ、上場が単なる資金調達ではなく、日立物流との統合をにらんだ布石でもあったことを踏まえると、この判断の眼目は"宅配の会社"から"総合物流の会社"への脱皮にあったのだろう。公開はその脱皮を資本の面から支える装置として構想されていた。
もっとも、その像を託した相手との一体化は、環境の急変とパートナーの資本再編によって実らなかった。統合を前提に投じた出資は清算され、総合物流への転換は当初の設計図から離れて描き直された。上場それ自体は成功であっても、そこに込めた戦略の全体が思惑どおりに運ぶとは限らない——SGホールディングスがその後、単独での買収へ動いていった経緯は、公開で手にした立場を、当初とは違う道で生かそうとする試みとみることもできる。総合物流という像を、公開後の同社がどの事業構成で描き直していくのかは、なお見えていないといえる。