中村公一氏の社長退任と中村公大氏への継承(2016年・山九の決断)
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参考文献
- 山九 有価証券報告書「第107期(2016年3月期)【役員の状況】」
- 山九 有価証券報告書「第116期(2025年3月期)【役員の状況】」
- 山九 統合報告書「統合報告書2024」
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創業家6代にわたる同族承継——中村公一氏からCEO交代
山九は2016年1月28日、中村公一社長(当時、5代目)が代表取締役会長CEOに退き、長男である中村公大専務が代表取締役社長COOに昇任する人事を発表し、同年4月に実施した。さらに2025年2月27日、中村公一氏が代表権のない取締役会長・取締役会議長に退き、中村公大氏が社長CEOに昇格する人事を発表、同年4月に実施した。創業家による6代・約100年にわたる同族承継の最終段階である。
山九は1918年に中村精七郎氏が創業し、以後の社長職を一貫して中村家の一族が継いできた同族企業であった。5代目の中村公一氏は1986年3月に36歳で代表取締役社長に就任し、以後30年にわたって在任し、国内外への事業拡大を主導した。長男の中村公大氏は2002年4月に生え抜きとして入社し、2011年6月に執行役員、翌年に経営企画部長、2013年6月に取締役兼執行役員、2014年4月に代表取締役専務取締役兼事業・エリア管掌と、10年余で経営の中枢に上がった。
この承継の特徴は、社長という肩書とCEOという最終権限を、あえて9年の間隔を置いて分けて渡した点にある。2016年に中村公大氏へ社長職と業務執行を先に委ね、中村公一氏が会長として経営に関与し続ける期間を挟んだうえで、2025年になって初めてCEO権限までを移した。これは単なる一回限りの世代交代ではなく、後継者に実務での習熟期間を与えながら創業家の関与を段階的に薄めていく、時間をかけた設計であったと思われる。
2025年の交代で中村公一氏に残されたのは、代表権のない取締役会長・取締役会議長という役職であった。経営の執行からは退きながら、取締役会の運営には関与し続けられる立場であり、創業家の存在を完全には手放さない構えともいえる。約100年・6代にわたって同族が社長職を継いできた山九にとって、この先も同族による継承が続くのか、それとも中村公大氏の代でその型が変わっていくのか、次の交代がどう設計されるかが注目されるのだろう。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 社長交代の実施 | 2016年4月 | 中村公大氏が代表取締役社長COOに就任。中村公一氏は代表取締役会長CEOへ |
| 昇任前の役職 | 代表取締役専務取締役 | 2011年6月に執行役員、2013年6月に取締役、2014年4月に代表取締役専務取締役 |
| 就任時の任期 | 2015年6月26日の定時株主総会の終結時から2年 | 会長CEO・社長COOに共通。2016年4月の異動は任期の途中で行われた |
| CEO交代の実施 | 2025年4月 | 中村公大氏が代表取締役社長CEOに昇格。社長COOに就任してから9年後 |
| 中村公一氏の異動後の役職 | 取締役会長・取締役会議長 | 代表権を外れた。1986年3月の社長就任から39年、会長CEOとしては9年 |
| COOの分離 | 青木信之氏が兼務 | 代表取締役専務取締役エリア管掌兼エリア統括兼安全統括COO。2025年4月から |
| 交代時の任期 | 2025年6月26日の定時株主総会の終結時から1年 | 社長CEO・取締役会長を含む取締役に共通の任期 |
| 指名委員会の設置 | 2023年4月 | 任意の委員会。2016年の社長交代の時点では設置されていない |
| 指名委員会の構成 | 委員長は社外取締役 | 2023年度は社内取締役1名・社外取締役3名の4名。報酬委員会も社外取締役が委員長 |
| 指名委員会の審議事項 | 取締役の選解任と後継者計画 | 取締役指名に関する方針、経営幹部の選解任基準、取締役会の構成も審議する |
| 同族関係 | 中村公大氏は中村公一氏の長男 | 2016年・2025年のいずれの有価証券報告書にも同じ注記が置かれている |
出所:山九 有価証券報告書 第107期(2016年3月期)・第116期(2025年3月期)【役員の状況】、統合報告書2024
| (百万円) | 売上高 | 営業利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | 連結従業員数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2011年3月期 | 373,209 | 18,747 | 8,203 | − | 連結従業員数は第102期以降の有価証券報告書から取っている |
| 2012年3月期 | 395,977 | 18,487 | 9,097 | 28,691 | |
| 2013年3月期 | 401,658 | 17,831 | 9,717 | 27,947 | |
| 2014年3月期 | 434,445 | 16,568 | 9,153 | 30,410 | |
| 2015年3月期 | 481,291 | 21,253 | 11,750 | 30,754 | |
| 2016年3月期 | 489,441 | 24,317 | 12,911 | 30,926 | 中村公大氏の社長COO就任を決めた期。為替差損により経常利益は207億6百万円 |
| 2017年3月期 | 510,027 | 27,086 | 18,208 | 31,595 | |
| 2018年3月期 | 531,956 | 31,581 | 19,402 | 30,575 | |
| 2019年3月期 | 572,516 | 39,247 | 27,470 | 31,137 | |
| 2020年3月期 | 569,461 | 40,374 | 25,619 | 31,496 | |
| 2021年3月期 | 533,870 | 33,928 | 23,540 | 31,121 |
出所:山九 有価証券報告書 第102〜112期(連結損益計算書・従業員の状況)
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最終改定: 2026年10月