ソニーとの資本業務提携は、粉飾決算で傷ついた財務を建て直す救済増資という性格と、医療分野で新たな収益源を育てる成長投資という性格を併せ持っていた。ただしオリンパスがソニーの出資を11%に抑え、笹宏行社長が安定株主と距離を置いたことからは、資本を受け入れつつも経営の主導権は手放さないという慎重な線引きがうかがえる。危機のさなかにあってなお自力再建の余地を残そうとした判断であったとみられる。
合弁で狙った外科用内視鏡の事業は、その後オリンパス自身が2019年以降にメドテック企業への転換を進めるなかで大きく形を変えていった。ソニーとの提携が医療事業の収益源に育ったかどうかは評価が分かれるところであり、この提携はまず事件後の再建を資本の面で下支えした一手であったとみるのが妥当といえる。技術提携が生んだ果実の大きさは、なお慎重に見極める余地がある。