サンウェルズ父の建築会社の介護子会社2社の吸収合併と、サンウェルズへの商号変更・傘下入り
自社を親に置くか、子に置くか——苗代亮達社長はなぜグループの介護事業を父の会社の子会社として一本化したか
- 概要
- 2011年4月、苗代亮達氏の株式会社ケア・コミュニケーションズは、実父の建築会社アイテムの子会社2社を吸収合併し、株式会社サンウェルズへ商号変更した。訪問介護のセントラルケアスタッフとグループホームのサライを取り込み、グループ内に分かれていた介護事業を1社へ束ねた再編であった。同時にサンウェルズはアイテムの子会社となり、苗代氏が代表取締役社長に就いた。
- 背景
- 苗代氏は父の建築会社アイテムのなかでバリアフリー住宅改修を起こし、2006年に通所介護のケア・コミュニケーションズを設立して介護へ進んだ。父の会社も訪問介護・グループホームの子会社を相次いで設け、グループの介護機能は複数の法人に分かれていた。
- 内容
- 経営の効率化を掲げ、ケア・コミュニケーションズがアイテムの介護子会社2社を吸収合併して社名をサンウェルズへ改めた。通所介護・訪問介護・グループホームを1社に統合し、同月には石川県加賀市に住宅型有料老人ホームを開いて施設運営を広げた。
- 含意
- 一本化された事業体は、2013年に逆に親会社アイテムを子会社化し、後にパーキンソン病特化のPDハウスで急拡大した。サンウェルズという社名と介護施設運営の軸は、この2011年の再編で定まったとみることができる。
傘下に入るという一本化の形
グループ会社の整理という言葉だけでは、2011年の一本化の含意は捉えきれない。苗代亮達氏が興したケア・コミュニケーションズは、このとき父・苗代明彦氏の建築会社アイテムの子会社となる形で、散在した介護3社を1社へ束ねた。自分の会社を親会社ではなく子会社の側に置き、経営の効率化を優先した構図だといえる。介護施設の運営を軸に据えると決めたからこそ、資本の上下より事業の一本化を先に取った判断だとみられる。
もっとも、この一本化がその後の急成長を約束したわけではない。2011年の統合は加賀市の一施設開設と同時の、地方の中堅事業者の再編にとどまっていた。急拡大はパーキンソン病特化という別の一手を待つことになり、その拡大が2025年に不適切請求でつまずいた事実も残る。事業を一つの組織へまとめる再編は、後にそこへ何を載せ、どう律するかまでは決めない。組織の巧拙は、注ぎ込む中身の質が問われる段になって表れるのかもしれない。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
背景
建築会社の中で生まれた介護事業
サンウェルズの事業は、苗代亮達氏が実父の建築会社のなかで始めた住宅改修から育った。苗代氏は大学在学中に腎臓病を患い、長期入院を経て中退した経歴を持つ。退院後、体力の制約から会社勤めを避け、1人でも回せる事業を探した苗代氏が最初に手がけたのは、手すり設置や段差解消を請け負うバリアフリー専門の住宅改修であった。実父・苗代明彦氏が営む有限会社アイテム商業建築研究所の一部門として、この事業は立ち上げられた[1][2]。
2000年4月に介護保険制度が始まり、要介護者の住宅改修に上限20万円の給付が下りる仕組みが整うと、小口の工事を数でこなす事業が成り立つ余地が生まれた。苗代氏は住宅改修の延長で高齢者向けサービスへ踏み込み、2006年9月には通所介護を目的とする株式会社ケア・コミュニケーションズを金沢市に設立した。父の建築会社アイテムも介護へ広がり、2007年に訪問介護のセントラルケアスタッフ、2008年にグループホームのサライを相次いで設けていた[3][4]。
決断
散在した介護3社の一本化
2011年4月、苗代氏のケア・コミュニケーションズは、父の会社アイテムの子会社2社を吸収合併した。訪問介護のセントラルケアスタッフとグループホームのサライを取り込み、経営の効率化を掲げて、社名を株式会社サンウェルズへ改めた。通所介護・訪問介護・グループホームとグループ内に分かれていた介護3事業が、ここで1社へ束ねられた。介護施設の運営を軸に据える会社の輪郭が、このとき定まった[5]。
同時に、サンウェルズは株式会社アイテムの子会社となった。苗代氏が興した介護会社が、父の建築会社の傘下に入る形で、グループの介護部門を一本化した並びであった。苗代氏はサンウェルズの代表取締役社長に就いた。合併と同じ月には、石川県加賀市に住宅型有料老人ホーム「太陽のプリズム河原」を開き、施設運営の実地を広げた。散らばった機能を1社にまとめ、そのうえで現場を増やす順序で、事業基盤が組み直された[6][7]。
結果
一本化から親子逆転、そして特化へ
一本化した2年後、サンウェルズは親子の関係を組み替えた。2013年12月、中長期の企業価値向上を掲げて株式交換により株式会社アイテムを子会社化し、2018年2月には加圧トレーニングのSUN加圧スタジオとともにアイテムを吸収合併した。父の会社の傘下から出発した介護会社が、逆に建築会社を取り込んでグループを単純化していった。2011年に定めた介護施設運営の軸へ、資本と組織の構造を寄せていく流れであった[8]。
一本化した事業体は、この後パーキンソン病に特化した施設で急拡大した。2018年に専門フロア「リライフ白山」を設けて以降、PDハウスを全国へ広げ、売上高は2017年3月期の17.8億円から2024年3月期には201億円へ伸びた。2022年6月には東証グロース市場へ上場した。もっとも、2025年には訪問看護報酬の不適切請求問題が表面化し、試算額は約28億円に上って、中期経営計画の取り下げに至った[9][10][11]。
- 学生新聞オンライン(2023年12月5日)「株式会社サンウェルズ 代表取締役社長 苗代亮達」
- 週刊東洋経済 2025年4月19日号「28億円不正のサンウェルズは氷山の一角」
- サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
- サンウェルズ 有価証券報告書【役員の状況】
- サンウェルズ 有価証券報告書(連結・JGAAP)