サンウェルズ の歴史

更新: Author:

創業 2006年
創業者 苗代亮達
創業地 石川県金沢市
創業
2006年9月、苗代亮達氏が石川県金沢市で株式会社ケア・コミュニケーションズを設立し、古民家を転用した通所介護から介護事業へ参入した。それ以前、大学在学中に腎臓病で長期入院した苗代氏は、父が営む建築会社アイテムの内側で施工単価4〜5万円のバリアフリー住宅改修を手がけている。2000年4月に始まった介護保険は住宅改修へ上限20万円まで給付したが、1件が小さく既存の工務店が敬遠する領域だった。2011年4月、父の会社の介護子会社2社を吸収合併してサンウェルズへ商号変更した。もっとも当時は石川県内で従業員10名規模の中堅にすぎず、県外で通用する商品はまだ持っていなかった。
決断
他社が採算に合わないと見た小さな市場だけを選んできた。バリアフリー改修も古民家デイサービスも、単価か初期投資のどちらかが低すぎて既存の事業者が入らない領域である。2018年6月、苗代氏は同じ選び方をパーキンソン病へ当て、石川県で専門の有料老人ホーム『PDハウス』を開設した。脳神経内科医の訪問診療、1日複数回の服薬管理、専用のリハビリ室を備え、介護報酬に医療保険の訪問看護を重ねて1床あたりの月次売上を引き上げる設計である。翌2019年6月には福岡へ出て県外展開に入り、2022年6月には東証グロース市場へ上場して全国展開の資金を調達した。介護報酬の単価を自ら決められない事業で、疾患を絞ることが単価の代わりになった。
現況
収益を作っていた仕組みそのものを、会社が自ら取り下げた。2025年2月、特別調査委員会は夜間入眠中の入居者への訪問看護記録に不適切な請求があったと認定した。睡眠センサーの確認や数分の見回りを約30分の訪問看護として計上した運用で、試算した過剰請求は約28億円・17万件超に及ぶ。2025年5月に中期経営計画を取り下げて夜間訪問を見直し、1施設あたりの医療保険売上は月80万円から60万円の水準へ下がった。2026年3月期の売上高は281億円と前期の265億円から伸びた一方、営業損益は12億円、経常損益は22億円の赤字に転じている。2021年3月期の54億円から5年で5倍に増やした売上が、採算を伴わない規模として残った。
競合
競争が起きているのは施設の獲得ではなく、報酬の算定の側である。パーキンソン病に特化した有料老人ホームには同じ設計で追う事業者がなく、2022年の上場時点で待機者は200名を超えていた。競争優位は施設の希少さにあるが、そこから収益を引き出す手段は介護報酬と医療保険という公定価格の側が握っている。介護業界には2007年、訪問介護の不正請求でコムスンが全介護事業を外部へ譲渡した先例がある。サンウェルズは事業の継続こそ許されたものの、収益の作り方を制度に沿って組み直す義務を負った。疾患を絞った独自性は残り、それを売上へ換える手段だけが取り上げられている。
サンウェルズ:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2017年3月期2026年3月期

創業ストーリー 腎臓病で大学中退した28歳のバリアフリー工務店 (2001年〜)

長期入院から介護に向かった苗代亮達

苗代亮達氏は、大学在学中に腎臓病を患い、長期入院を経て大学を中退した経歴を持つ。退院後、通常のサラリーマンとして勤め続ける体力的な余裕がないなかで、自分1人でも回せる事業に活路を求めた。苗代氏が手がけた最初の事業は、施工単価4〜5万円の手すり設置・段差解消等を請け負うバリアフリー専門の住宅改修だった。これは、実父・苗代明彦が建築業として営む有限会社アイテム商業建築研究所(1979年設立、2001年8月に株式会社アイテムへ組織変更)のなかで立ち上げられた事業である。苗代氏自身は1999年12月に同社へ入社し、2002年3月に代表取締役へ就任した。後年に苗代氏が語った経営観の根底には、他者と同じことをやっていては成功できないという確信があり、競合の少ない領域で独自ポジションを取る発想は、この最初の事業からすでに表れていた。 [1][2][3][4]

    • [1]苗代亮達氏は大学在学中に腎臓病を患い長期入院を経て大学を中退
    • [2]最初の事業は施工単価4〜5万円の手すり設置・段差解消等のバリアフリー専門住宅改修
  • サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
    • [3]実父・苗代明彦が営む有限会社アイテム商業建築研究所(1979年設立、2001年8月に株式会社アイテムへ組織変更)
  • サンウェルズ 有価証券報告書【役員の状況】
    • [4]苗代氏は1999年12月に同社へ入社し2002年3月に代表取締役へ就任

祖業のバリアフリー住宅改修は、小規模な手すり設置・段差解消等の改修工事を中心に請け負った。当時の建設業界では施工単価20万円以下の住宅改修案件を専門に扱う事業者がほとんど存在せず、競合空白地帯で受注を積み上げる事業構造を作った。背景には2000年4月施行の介護保険制度があり、要介護認定を受けた高齢者の住宅改修に対して上限20万円までの保険給付が下りる仕組みが整っていた。介護保険給付の対象工事は単価が小さく従来型の工務店が手を出しにくい一方、保険申請手続きと小口工事の標準化さえできれば、案件件数で稼ぐビジネスとして成立する余地があった。アイテムはこの空白を埋める専門業者として、石川県内で従業員10名規模に成長した。 [5]

    • [1]苗代亮達氏は大学在学中に腎臓病を患い長期入院を経て大学を中退
    • [2]最初の事業は施工単価4〜5万円の手すり設置・段差解消等のバリアフリー専門住宅改修
    • [5]2000年4月施行の介護保険制度(要介護高齢者の住宅改修に上限20万円の保険給付)
  • サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
    • [3]実父・苗代明彦が営む有限会社アイテム商業建築研究所(1979年設立、2001年8月に株式会社アイテムへ組織変更)
  • サンウェルズ 有価証券報告書【役員の状況】
    • [4]苗代氏は1999年12月に同社へ入社し2002年3月に代表取締役へ就任

古民家デイサービスからの介護事業参入

2006年9月、苗代氏は通所介護サービスの提供を目的に、サンウェルズの前身となる株式会社ケア・コミュニケーションズを石川県金沢市に設立し、介護事業に参入した。きっかけは古民家を利用したデイサービスの事業モデルに着想を得たことで、建物の新築や全面改修ではなく、既存の古民家を介護施設に転用する手法で初期投資を抑える運営方式が想定された。2000年代後半の介護業界は介護保険制度の浸透で需要が拡大する一方、大手の事業者が都市部の収容人数が多い施設に集中する流れがあり、地方の中規模・小規模施設の運営を担う事業者は分散していた。住宅改修の延長線で高齢者向けサービス事業に踏み込む転換が、ここから始まった。 [6]

  • サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
    • [6]2006年9月 通所介護目的で株式会社ケア・コミュニケーションズを石川県金沢市に設立(現サンウェルズ・介護事業参入)

2011年4月、ケア・コミュニケーションズは実父の建築会社アイテムの子会社2社を吸収合併して株式会社サンウェルズへ商号変更し、同時にアイテムの子会社となった。苗代氏はこのとき同社代表取締役社長に就任した。介護参入から5年、バリアフリー住宅改修と介護施設運営の2本柱で地方の中堅事業者としての事業基盤を整えた段階だった。日本の介護業界はこの時期、団塊世代が65歳以上に到達し、認知症高齢者の急増と特養待機者の長期化という構造課題が顕在化していた。介護施設の供給は需要に追いつかず、要介護度の高い高齢者ほど受け入れ先が見つからない状況が広がっていた。サンウェルズはこの構造のなかで、より医療依存度の高い患者を専門に受け入れる施設運営に活路を見出そうとしていた段階である。創業地の石川県は人口減少が進む一方で高齢化率が全国平均を上回り、地方発の介護事業者にとって需要の実証実験を行いやすい環境にあった。 [7][8]

  • サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
    • [7]2011年4月 ケア・コミュニケーションズが子会社2社を吸収合併しサンウェルズへ商号変更・アイテムの子会社化
  • サンウェルズ 有価証券報告書【役員の状況】
    • [8]苗代氏は2011年4月にサンウェルズ代表取締役社長に就任
  • サンウェルズ 有価証券報告書【沿革】
    • [6]2006年9月 通所介護目的で株式会社ケア・コミュニケーションズを石川県金沢市に設立(現サンウェルズ・介護事業参入)
    • [7]2011年4月 ケア・コミュニケーションズが子会社2社を吸収合併しサンウェルズへ商号変更・アイテムの子会社化
  • サンウェルズ 有価証券報告書【役員の状況】
    • [8]苗代氏は2011年4月にサンウェルズ代表取締役社長に就任

API for AI Agents — 認証不要、URLをGETするだけで機械可読なJSONをトークン消費を抑えつつ取得できます。

サンウェルズの沿革1979〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
アイテム商業建築研究所を設立
2001〜2017年腎臓病で大学中退した28歳のバリアフリー工務店アイテム商業建築研究所を組織変更しアイテムを設立
通所介護目的でケア・コミュニケーションズを設立★★
民家型デイサービス「和の家」を開設
訪問介護目的でセントラルケアスタッフを設立
グループホーム目的でサライを設立しグループホームを開設
苗代亮達父の建築会社の介護子会社2社の吸収合併と、サンウェルズへの商号変更・傘下入り

2011年4月、苗代亮達氏の株式会社ケア・コミュニケーションズは、実父の建築会社アイテムの子会社2社を吸収合併し、株式会社サンウェルズへ商号変更した。訪問介護のセントラルケアスタッフとグループホームのサライを取り込み、グループ内に分かれていた介護事業を1社へ束ねた再編であった。同時にサンウェルズはアイテムの子会社となり、苗代氏が代表取締役社長に就いた。

詳細を読む
★★★
苗代亮達サンウェルズに商号変更
苗代亮達株式交換によりアイテムを子会社化
2018〜2024年パーキンソン病特化「PDハウス」モデルの確立と急成長苗代亮達パーキンソン病患者専門フロア「リライフ白山」を開設★★
苗代亮達パーキンソン病専門住宅型有料老人ホームPDハウス野芥を開設
苗代亮達パーキンソン病専門ホームPDハウス西野を開設
苗代亮達パーキンソン病専門住宅PDハウスの全国展開に向けた東証グロース市場への上場

2022年6月27日、サンウェルズは東京証券取引所グロース市場へ株式を上場した。公開価格は1株1,940円、主幹事は野村證券で、公募176万1,000株による調達資金の使途に新規施設の設備資金と借入金返済を掲げた。パーキンソン病専門の住宅型有料老人ホームPDハウスを全国へ広げる成長資金を、公開市場に求めた資本政策であった。

詳細を読む
★★★
2024年〜訪問看護の不適切請求問題と新体制での構造改革(2024〜現在)苗代亮達訪問看護報酬の不適切請求問題が表面化し中期経営計画を取り下げ★★
苗代亮達訪問看護の不適切請求問題を受けた中期経営計画の取り下げと訪問看護体制の全面見直し

2025年、サンウェルズは主力のホスピス住宅『PDハウス』における訪問看護の診療報酬について、特別調査委員会から総額約28億円の不正請求を認定された。これを受け、苗代亮達社長は同年5月の決算説明会で中期経営計画を取り下げ、全施設で訪問看護の運営体制を見直す方針を示した。医療保険売上を積み上げる収益構造の作り替えを迫られた経営判断である。

詳細を読む
★★★
出典・参考

免責事項およびポリシー