筆者の見解
30年越しの後始末
海外の名門百貨店の取得に失敗した東武グループは、国内での存在感を示すために池袋西口へ資本を集中させたとみられる。堅実経営を掲げていたはずのグループが、わずか1年ほどの間にサックス買収と900億円の増床という2つの大型判断を相次いで下した点に、バブル期特有の投資機運がうかがえる。海外での失敗を国内投資で埋め合わせる発想自体は理解できるとしても、その規模と時期が崩壊直前のピークに重なったことが、後の重荷を決定づけたといえる。
もっとも、1992年の判断が完全な失敗だったと単純化することもできない。増床した売場は百貨店業態の衰退のなかでも鉄道ターミナルの集客装置としてグループに残り、池袋西口の資産価値そのものは失われなかった。1998年の整理損と2001年の合理化で一度は清算された投資の重みは、2020年代の池袋駅西口再開発という別の形で回収が試みられている。バブル期に下した一つの資本配分の判断が、30年という時間をかけてなお決着を探っている途上にあると推察される。
Yutaka Sugiura, 2026年7月