喜岡浩二氏(社長)の改革が示したのは、ヒットを個人の才覚ではなく組織の仕組みに宿らせようとする発想であったといえる。新商品比率という指標や全社員参加の提案制度は、一発の当たりに一喜一憂する開発から、外れを織り込みつつ打席に立ち続ける開発へと、評価の軸をずらす試みだったのだろう。まだ市場の若かった野菜飲料の領域でこそ、その仕組みが市場とかみ合ったのだろう。
一方で、同じ時期のカゴメが抱えていたのは、ケチャップやソースなど伝統的な食品分野の苦戦であり、赤字が続く生鮮トマトの菜園事業や海外子会社の重さであった。連続ヒットの体質が飲料以外の領域にも及ぶのか、機能訴求が過熱して"医"に近づきすぎる懸念をどう避けるのか。野戦型の改革が全社の構造改革にまで届いたのかは、なお見届ける段階にあるとみられる。