不二製油 の歴史

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創業 1950年
創業者
創業地
創業
1950年10月、伊藤忠商事が資本金300万円を全額出資して不二製油を設立した。設立と同時に不二蚕糸の大阪工場を買収し、製油業へ参入している。当時の日本の油脂業界は日清製油・豊年製油・日本油脂・本州製糖・吉原製油など戦前設立の各社が固めており、戦後設立の不二製油は完全な最後発だった。1951年2月に我が国最初の圧抽式製油、1954年1月に我が国最初の本格的パーム核油搾油、1955年9月に我が国最初のハードバターと、設立から5年で他社が持たない工程を3つ作っている。1955年8月には神戸工場を建てて関西の製菓メーカーとチョコレート用油脂の取引を始めた。1961年10月に大阪証券取引所市場第二部へ、1978年10月に東京証券取引所市場第一部へ上場している。
決断
動物から作るものを、植物から作り直すことだけを続けてきた。1955年9月、大阪工場に油脂溶剤分別装置を完成し、輸入カカオ脂の代わりになるハードバターを国産化した。1967年4月には乳製品の代わりになる植物性クリーム、同年12月には食肉加工品に使う大豆たん白の生産を始め、油脂とたん白の二つで植物性の領域を並べる。技術の根本は油脂の分別にあり、混合された油を分けて個性のある油を取り出し、その個性を生かした製品を作る。1981年10月のシンガポール進出以降、この分別技術をアジア・北米・欧州へ移した。2015年6月にはブラジルのハラルドを取得し、2019年1月に北米最大の業務用チョコレート会社ブラマーを買収して、業務用チョコレートを第3の事業へ育てる投資を続けている。
現況
最大の売上を持つ事業が、利益をほとんど返していない。2026年3月期の連結売上高は7,723億円、営業利益は298億円である。セグメント別では業務用チョコレートが売上3,752億円に対しセグメント利益24億円にとどまり、売上3,044億円の植物性油脂が334億円を稼いだ。前期の業務用チョコレートは158億円の損失である。原因は2019年に取得したブラマーで、カカオ豆価格の高騰と需要構造の変化を受け、2024年3月にシカゴ工場の閉鎖を含む5か年の構造改革を発表した。2025年4月には10年続いた純粋持株会社制を解き、完全子会社の不二製油株式会社を吸収合併して事業持株会社へ戻している。創業以来の油脂が利益を作り、史上最大の買収で加えた事業がまだ費用の側にある。
競合
大手が並ぶ品目を避け続けたことが、この会社の相手を変えた。1950年の設立時、日本の油脂業界は日清製油や豊年製油をはじめ戦前設立の各社が固めていた。不二製油は汎用の食用油で正面から競わず、圧抽式製油・パーム核油搾油・ハードバターという他社の持たない工程で市場を分けている。以後の相手は同じ製油会社ではなく、製菓メーカーが使う輸入カカオ脂そのものであり、2019年に北米で取得したブラマーが向き合うのも現地の業務用チョコレート各社である。2026年3月期の地域別売上は日本2,489億円、米国2,203億円、アジア1,099億円、欧州944億円で、日本は3分の1に達しない。重ならない品目を選んだことは、相場の立つ原料をそのまま抱える構造も選ばせ、カカオ豆の高騰が利益へ直に出た。
不二製油:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
1997年3月期2026年3月期

創業ストーリー 伊藤忠出資の最後発製油メーカーから大豆たん白参入まで (1950年〜)

戦後の混乱期に「人まねをしない」を選んだ最後発の油脂メーカー

1950年10月、伊藤忠商事株式会社の全額出資[1](資本金300万円)により不二製油株式会社が設立された[2]。設立と同時に不二蚕糸株式会社の大阪工場を買収し、製油業[3]への参入を果たした。設立背景には伊藤忠が貿易商社として原料油脂・植物油の取扱を強化する戦略があり、不二製油は伊藤忠の油脂部門の事業会社として船出した。当時の日本油脂業界は日清製油・豊年製油・日本油脂・本州製糖・吉原製油など戦前設立の油脂メーカーが大手として確立しており、戦後設立の不二製油は完全な最後発だった。

  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1950年10月 伊藤忠商事の全額出資により不二製油株式会社を設立
    • [2]設立時の資本金は300万円
    • [3]設立と同時に不二蚕糸株式会社の大阪工場を買収し製油業に参入

1951年2月、不二製油は圧搾工場を新設してコプラ[4](ヤシ油の原料)の製油を開始し、我が国最初の圧抽式製油(圧搾と溶剤抽出を組み合わせた製法)に成功した。1954年1月には我が国最初の本格的パーム核油搾油も開始[5]し、1955年9月には大阪工場に油脂溶剤分別装置を完成[6]して我が国最初のハードバター(商品名・メラノバター)の製造を開始した。設立から5年で『我が国最初』を3度連続で実現した経緯であり、最後発の不二製油が大手既存メーカーと正面競合せずに独自の技術領域を取りに行った。

  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [4]1951年2月 圧搾工場を新設しコプラ製油を開始、我が国最初の圧抽式製油に成功
    • [5]1954年1月 我が国最初の本格的パーム核油搾油を開始
    • [6]1955年9月 大阪工場に油脂溶剤分別装置を完成し我が国最初のハードバター(メラノバター)製造を開始

ハードバター(メラノバター)はチョコレートの製造に使われる代替カカオ脂(CBE:Cocoa Butter Equivalent)で、当時の日本では洋菓子・チョコレート向けに輸入カカオ脂が使われていたが、不二製油はパーム核油・パーム油から精製したハードバターをチョコレート工場向けに供給するという独自市場を切り開いた。1955年8月には神戸工場を建設して操業を開始し[7]、関西の製菓メーカーとチョコレート用油脂で取引を始めた。1961年10月には株式を大阪証券取引所市場第二部に上場[8]し、設立から11年で上場会社の地位を獲得した[9]

  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [7]1955年8月 神戸工場を建設して操業を開始
    • [8]1961年10月 株式を大阪証券取引所市場第二部に上場
    • [9]設立(1950)から11年で上場(1950→1961=11年)
  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1950年10月 伊藤忠商事の全額出資により不二製油株式会社を設立
    • [2]設立時の資本金は300万円
    • [3]設立と同時に不二蚕糸株式会社の大阪工場を買収し製油業に参入
    • [4]1951年2月 圧搾工場を新設しコプラ製油を開始、我が国最初の圧抽式製油に成功
    • [5]1954年1月 我が国最初の本格的パーム核油搾油を開始
    • [6]1955年9月 大阪工場に油脂溶剤分別装置を完成し我が国最初のハードバター(メラノバター)製造を開始
    • [7]1955年8月 神戸工場を建設して操業を開始
    • [8]1961年10月 株式を大阪証券取引所市場第二部に上場
    • [9]設立(1950)から11年で上場(1950→1961=11年)

大豆たん白事業参入と本格上場のステージへ

1963年2月、洋生菓子用チョコレートの販売を開始[10]した。ハードバター(CBE)供給に加え、チョコレート完成品の販売にも領域を広げた動きである。1967年4月には植物性クリームの生産を開始し[11]、ホイップ・コーヒー用クリーム向けの植物性油脂事業に踏み込んだ。乳製品メーカーが扱う動物性クリームに対する『植物性』という差別化軸であり、後にプラントベースフードと呼ばれる事業領域の原型がこの時期に成立した。1967年12月には大阪工場に大豆たん白分離設備を完成し[12]、大豆たん白事業を開始した。大豆たん白(分離大豆たん白:SPI)はソーセージ・ハンバーグなどの食肉加工品に肉のかさ増し・食感改善材として使われ、後に植物性たん白食品(代替肉)の素材としても展開される技術である。1955年のハードバター(油脂分野での植物性)と1967年の大豆たん白(たん白分野での植物性)の2軸で、不二製油は『植物性』を一貫した経営軸とした。

  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [10]1963年2月 洋生菓子用チョコレートの販売を開始
    • [11]1967年4月 植物性クリームの生産を開始
    • [12]1967年12月 大阪工場に大豆たん白分離設備を完成し大豆たん白事業を開始

1968年4月、泉佐野食品コンビナート[13]に約192千平方メートルの工場建設用地を取得し[14]、1969年4月には阪南工場第1期工事完了、操業を開始した[15]。1971年4月には阪南工場第2期工事が完了し操業拡大[16]、大阪工場の移転を完了して閉鎖した。創業期の大阪工場(不二蚕糸から買収)から阪南工場への生産拠点移転は、化学工業向け油脂・大豆たん白の生産規模拡大に必要な敷地を確保するための判断だった。1973年2月には大阪証券取引所市場第一部に指定され[17]、1974年7月には本社(大阪支店)を大阪市中央区西心斎橋へ移転した。1978年10月には東京証券取引所市場第一部に上場し[18]、1961年の大証2部から17年で東京・大阪両市場第一部[19]の地位を獲得した。設立から28年、大手の最後発として参入した不二製油は、ハードバター・大豆たん白・植物性クリームという3つの独自技術領域で全国規模の上場油脂メーカーへと位置付けが変わった。

  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [13]1968年4月 泉佐野食品コンビナートに工場建設用地を取得
    • [14]取得した工場建設用地は約192千平方メートル
    • [15]1969年4月 阪南工場第1期工事を完了し操業を開始
    • [16]1971年4月 阪南工場第2期工事を完了し大阪工場を移転・閉鎖
    • [17]1973年2月 大阪証券取引所市場第一部に指定
    • [18]1978年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
    • [19]1961年の大証2部上場から17年で東京・大阪両市場第一部(1961→1978=17年)
  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】
    • [10]1963年2月 洋生菓子用チョコレートの販売を開始
    • [11]1967年4月 植物性クリームの生産を開始
    • [12]1967年12月 大阪工場に大豆たん白分離設備を完成し大豆たん白事業を開始
    • [13]1968年4月 泉佐野食品コンビナートに工場建設用地を取得
    • [14]取得した工場建設用地は約192千平方メートル
    • [15]1969年4月 阪南工場第1期工事を完了し操業を開始
    • [16]1971年4月 阪南工場第2期工事を完了し大阪工場を移転・閉鎖
    • [17]1973年2月 大阪証券取引所市場第一部に指定
    • [18]1978年10月 東京証券取引所市場第一部に上場
    • [19]1961年の大証2部上場から17年で東京・大阪両市場第一部(1961→1978=17年)

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不二製油の沿革1950〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1950〜1980年伊藤忠出資の最後発製油メーカーから大豆たん白参入まで伊藤忠商事の全額出資による設立と不二蚕糸大阪工場の買収

1950年10月、伊藤忠商事が全額出資して不二製油株式会社を設立し、同時に不二蚕糸株式会社の大阪工場を買収して製油業へ参入した。戦前から市場を握る大手が並ぶなかへの最後発の参入であった。

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★★★
圧搾工場を新設しコプラ製油を開始、我が国最初の圧抽式製油に成功
我が国最初の本格的パーム核油搾油を開始
神戸工場を新設し操業を開始
大阪工場に油脂溶剤分別装置を完成しハードバター(メラノバター)製造を開始★★
大阪証券取引所市場第二部に上場
洋生菓子用チョコレートの販売開始★★
植物性クリームの生産開始★★
大阪工場に大豆たん白分離設備を完成し大豆たん白事業に参入★★
阪南工場第1期工事完了、操業を開始
阪南工場第2期工事完了、大阪工場の移転を完了し閉鎖
大阪証券取引所市場第一部に指定
本社(大阪支店)を移転
東京証券取引所市場第一部に上場
1981〜2018年グローバル展開とグループ本社制への移行FUJI OIL (SINGAPORE)を設立
PALMAJU EDIBLE OILを設立
FUJI SPECIALTIES・子会社FUJI VEGETABLE OILを設立
WOODLANDS SUNNY FOODSを設立
つくば研究開発センターの業務開始
ベルギーにVAMO-FUJI SPECIALITIESを設立
関東工場を新設し操業を開始
不二製油(張家港)有限公司を設立
阪南事業所内のセンタービルに本社事務所を移転
浅原和人関東工場内にチョコレート工場を新設し操業を開始
浅原和人天津不二蛋白有限公司を設立
浅原和人りんくう工場を新設し操業を開始
海老原善隆千葉工場を新設し操業を開始
海老原善隆アジア地域統括会社FUJI OIL ASIAを設立
清水洋史HARALD INDÚSTRIA E COMÉRCIOの株式を取得★★
清水洋史純粋持株会社「不二製油グループ本社」への移行

2015年10月1日、不二製油は新設分割で事業会社『不二製油株式会社』を設立し、みずからは商号を『不二製油グループ本社株式会社』へ改めて純粋持株会社となった。同じ年の6月には、ブラジルで業務用チョコレート最大手のハラルド社を買収している。

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★★★
2019〜2025年ブラマー構造改革と事業持株会社化への転換清水洋史北米最大の業務用チョコレート会社ブラマーの買収

2018年11月19日、不二製油グループ本社は米Blommer Chocolate Companyの全株式取得を決議し、2019年1月に子会社化を完了した。企業価値は約848億円、有利子負債を加減算した買収金額は600億円を超え、同社としては過去最大の買収となった。

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★★★
酒井幹夫合弁会社Fuji Oil International, Inc.を設立
酒井幹夫合弁会社Fuji Oil International, Inc.が現物出資を受けOilseeds Internationalを取得★★
酒井幹夫完全子会社の不二製油を吸収合併し商号を不二製油に変更★★
酒井幹夫PROVENCE HUILES S.A.Sの株式を取得
出典・参考
  • 不二製油 有価証券報告書【沿革】

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