日清製粉グループ本社の直近の業績・経営課題と展望

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日清製粉グループ本社の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/3売上高8,515億円YoY▲0.8%
2025/3売上総利益1,902億円YoY+3.3%
2025/3販売費及び一般管理費1,438億円YoY+5.5%
2025/3営業利益464億円YoY▲3%
2025/3経常利益492億円YoY▲1.6%
2025/3親会社株主に帰属する当期純利益347億円YoY+9.3%
2025/3自己資本比率61.4%YoY+0.9pt
2025/3有利子負債合計244億円前年比▲2,730億円
2025/3現金同等物期末残高920億円YoY▲14.6%
経営トップ瀧原賢二取締役社長
2025/3従業員数9,731前年比+157人
2025/3平均給与893万円前年比+25万円
歴史的背景1900年に創業者の正田貞一郎氏が群馬県館林で米国製ローラーミルを輸入して機械式製粉に参入し、不況のたびに同業を吸収して国内シェア約35%を握った。日清製粉グループは1928年鶴見工場(能力7,000バーレル)と港湾立地戦略を起点に、配合飼料・食品・医薬・エンジニアリングの5本柱体制と海外製粉網の構築まで125年広げてきた
経営課題2019年の豪州アライド・ピナクル買収でのれん残高は50億円から427億円に跳ね上がり、2023年3月期に創立以来初の親会社純損失104億円を計上した。2024年3月期は営業利益478億円まで戻ったが、製粉セグメント利益が約60%を占める収益構造のまま、海外現地運営能力と買収審査プロセスの立て直しに追われている
経営方針瀧原賢二社長のもとで2024年10月に中計2026を上方修正し、2026年度に営業利益570億円・ROE8%・売上高9,500億円を据えた。連結配当性向は40%以上から50%目安への引き上げを表明し、事業部門別ROIC管理を2025年度から本格導入して全社ROIC7%を据えた
主な投資中計5年累計の営業CF2,600億円と政策保有株縮減460億円を、成長・維持更新投資2,180億円と株主還元880億円に使い切る方針。倉敷市水島新工場(日産550トン・約180億円)が2025年5月稼働、米サギノー工場ライン増設(約60億円)が同年3月完了、139億円の自己株式取得も実施した

125年の規模経営から海外現地運営と買収審査の立て直しへ

1900年に創業者の正田貞一郎氏が群馬県館林で米国製ローラーミルを輸入して機械式製粉に参入し、不況のたびに同業を吸収する合併で国内シェア約35%を握った。1928年完成の鶴見工場(能力7,000バーレル)を起点に、港湾立地の規模経済で125年戦ってきた。1960年代から配合飼料・食品・医薬・エンジニアリングで5本柱に多角化したが、2009年度から2018年度まで連結営業利益は230〜290億円のレンジから抜け出せず、製粉セグメント利益が連結営業利益の約60%を占める構造は変わらなかった。2024年3月期の営業利益478億円のうち製粉セグメント利益も約60%を占め、日清製粉は地域別の現地運営能力と買収審査プロセスの立て直しに直面している。

瀧原賢二社長のもとで2022年10月策定の第四次中期経営計画(中計2026)は、2024年10月に営業利益570億円・ROE8%・EPS140円・売上高9,500億円へ一斉に上方修正された。基準年度2021年度の営業利益294億円・ROE4.0%から、5年で利益はおよそ倍増ペースに戻った。海外売上高比率は2021年度の32.8%から2024年度の30.8%へ微減した一方、海外営業利益比率は13%から37%へ伸び、海外製粉が利益の牽引役になった。連結配当性向は40%以上から2026年度に50%目安への引き上げを表明し、事業部門別ROIC管理を2025年度から本格導入して全社ROIC7%を据えた。

中計5年間累計の営業キャッシュフロー2,600億円と政策保有株式縮減等で得る460億円を、成長・維持更新投資2,180億円と株主還元880億円へ配分する方針が明示された。倉敷市水島の新工場(日産550トン・約180億円)が2025年5月に稼働し、米サギノー工場のライン増設(日産600トン増強・約60億円)が同年3月に完了、ロサンゼルス・ウィンチェスター両工場(合計約28億円)も同社が実行した。2025年1月には139億円の自己株式取得を実施し、13期連続の実質増配となった。一方で豪州アライド・ピナクル(2022年10月減損)に続き、2025年10月にはインドイースト事業でも減損損失を計上した。

つまり1900年の館林製粉から125年、不況時の同業吸収と港湾立地の先行投資で勝ち抜いてきた日清製粉は、海外M&Aの審査基準そのものに修正を迫られている。2025年7月の国内小麦粉価格改定で人件費等のコスト上昇分まで取引先に転嫁する慣行変更を首位企業として提示する一方、豪州・インドの連続減損という海外2件の失敗が買収プロセスの再設計を強いた。中計2026の達成可否は、製粉本業に依存した収益構造を抱えたまま、海外製粉の現地運営力を全社ROIC7%目標に見合う水準へ引き上げられるかにかかる。

日清製粉グループ本社の業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY152016/3連結 / JGAAPFY162017/3連結 / JGAAPFY172018/3連結 / JGAAPFY182019/3連結 / JGAAPFY192020/3連結 / JGAAPFY202021/3連結 / JGAAPFY212022/3連結 / JGAAPFY222023/3連結 / JGAAPFY232024/3連結 / JGAAPFY242025/3連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円5,567+5.8%5,320−4.4%5,401+1.5%5,653+4.7%7,122+26.0%6,795−4.6%6,797+0.0%7,987+17.5%8,582+7.5%8,515−0.8%
製粉億円2,6252,3362,3482,4593,0672,8583,1354,1984,5824,436
食品億円2,4672,5492,5402,1502,1802,1471,8301,8802,0112,063
中食・惣菜億円4371,3001,4271,3841,4751,5361,561
売上原価億円4,0223,7403,7874,0165,1244,9045,3176,3816,7416,613
売上総利益億円1,5451,5801,6141,6381,9981,8911,4811,6061,8411,902
販管費億円1,3071,3251,3421,3681,7101,6191,1861,2781,3631,438
営業利益YoY億円238+16.1%255+7.3%272+6.6%269−1.0%289+7.2%272−5.7%294+8.2%328+11.6%478+45.6%464−3.0%
製粉億円929810092936386176286281
食品億円115124135129129154124608464
中食・惣菜億円6171331335458
経常利益YoY億円281+10.0%303+7.9%318+4.9%321+0.8%314−2.0%299−4.9%326+9.2%331+1.3%500+51.3%492−1.6%
当期純利益YoY億円176+9.5%195+10.8%213+9.6%223+4.4%224+0.6%190−15.2%175−7.9%-104−159.3%317+405.8%347+9.3%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%68.170.967.567.959.363.062.159.460.561.4
有利子負債比率%3.62.62.62.75.02.92.83.93.33.1
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円358354429399384495418234732552
投資CF億円-122-52-181-192-968-171-1555-309-350
財務CF億円-94-115-186-10683-313-179-106-195-354
従業員
連結従業員数6,4406,3246,5456,7608,9628,9518,9189,4209,5749,731
単体従業員数296297305337342355372346344361
平均年収(単体)万円849842863865874880867857869893

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

年度経営の振り返り報告資料
FY25中期経営計画2026の中盤総括。営業利益570億円目標を堅持、政策保有株式の縮減と株主還元(配当性向40%基準を50%目安へ引上げ)を強化、2025年1月に自己株式取得139億円を実施。3つの基幹システムを新ERPに統合、エンジニアリング事業とのシナジー創出を継続。

通期決算説明会 プレゼンテーション資料

https://pdf.irpocket.com/C2002/vAfC/mIYZ/ZzJ0.pdf
FY24中期経営計画2026の2年目進捗報告。新ERP統合に伴う事業収益性・競争力分析を実施、サギノー工場増設(2025年初頭稼働予定、62億円投資)等の北米展開を継続。豪州製粉事業の減損後の収益改善とエンジニアリング事業とのシナジー創出を提示。

通期決算説明会 プレゼンテーション資料(戦略編)

https://pdf.irpocket.com/C2002/RLCz/BEdF/wXBU.pdf
FY23中期経営計画2026(2022年10月発表)初年度の総括。熊本製粉株式の85%を取得(2023年1月)し統合シナジー創出を本格化、水島新工場の建設開始により大型臨海工場比率を80%→88%へ。豪州製粉事業の減損実施、年間配当1円増配(実質的に11期連続増配を予定)。

通期決算説明会 プレゼンテーション資料(戦略編)

https://pdf.irpocket.com/C2002/bU43/cE5O/oaUr.pdf
FY22長期ビジョン「NNI Compass for the Future」の進捗説明。「日清フーズ株式会社」から「株式会社日清製粉ウェルナ」への商号変更(2022年)に伴うブランド戦略投資の実施、ニュージーランド製粉事業の減損損失計上を反映。新社長が就任しオセアニア事業の見直しに着手。

通期決算説明会 プレゼンテーション資料

https://pdf.irpocket.com/C2002/wigp/bwY7/Ow42.pdf
FY21

通期決算説明会 プレゼンテーション資料

https://pdf.irpocket.com/C2002/gtYS/xD7B/DkXD.pdf

ファクトシート

年度報告資料
FY26

ESGデータブック

https://www.nisshin.com/sustainability/databook.pdf

アニュアルレポート / 統合報告書

年度経営の振り返り報告資料
FY26

統合報告書

https://pdf.irpocket.com/C2002/lAG8/gQLt/N7Z3.pdf
FY25統合報告書2024。中期経営計画2026の中盤編集版。事業ポートフォリオ再構築(熊本製粉の新規連結/水島新工場の建設)を特集、サステナビリティ重要課題と一丁目一番地施策を体系化。連結子会社数66社、海外(北米・オセアニア)の収益基盤強化を継続。

統合報告書

https://pdf.irpocket.com/C2002/BSCD/hUPA/p6Fp.pdf
FY24統合報告書2023。中期経営計画2026初年度の編集版。「日清フーズ→日清製粉ウェルナ」商号変更後の体系を整理し、長期ビジョン「NNI Compass for the Future」と新中計の橋渡しを提示。中期経営計画2026の重点施策と価値創造を支えるグループの強みを発信。

統合報告書

https://pdf.irpocket.com/C2002/NvAy/FQed/NFMu.pdf
FY23統合報告書2022。2022年10月発表の「中期経営計画2026」を初開示し、長期ビジョンとの整合性とサステナビリティ戦略を体系化。日清フーズの「日清製粉ウェルナ」への商号変更、グループの価値観・強みと中計達成に向けた取組をステークホルダー向けに編集。

統合報告書

https://pdf.irpocket.com/C2002/uFlf/h3Pn/jp47.pdf
FY22統合報告書2021。長期ビジョン「NNI Compass for the Future」のもと、サステナブルなグローバル企業への成長ステージへの挑戦を発信。サステナビリティ経営への移行とサステナビリティ戦略の体系化を主題に、長期ビジョンへの取組を通じた企業価値向上の枠組みを提示。

統合報告書

https://pdf.irpocket.com/C2002/fjAL/g7DA/WfdR.pdf

参考文献・出所

有価証券報告書
決算説明会 FY22
決算説明会 FY23
会社銀行八十年史(1955)
日本会社史総覧 1995/11/1
決算説明会 FY23-2Q
ダイヤモンド・オンライン 2013/9/12
決算説明会 FY24
決算説明会 FY26-2Q
決算説明会 FY25-2Q
決算説明会 FY25
週刊エコノミスト 2023/2/6