平均年収・従業員数 — 人員と処遇の長期推移 有価証券報告書ベースの連結/単体の年次変化と業界他社の平均給与比較
三陽商会の人員削減と構造改革 発表された削減計画と、有価証券報告書で確認できる実績
| 年月 | 施策 | 発表された計画 | 従業員数の実績 |
|---|---|---|---|
| 創業以来初の希望退職 前期に策定した「中期経営戦略」のもとで事業の選択と集中を進めるなか、2013年12月期に抜本的な構造改革の施策のひとつとして希望退職者を募った。創業以来初めての募集で、会社はこれを「最初で最後」と説明している。有価証券報告書は連結・単体いずれについても、この期の従業員数の減少の主な理由を希望退職の実施によるものと記す。同じ期に潮見ビルの土地建物を譲渡しており、募集に伴う特別退職金など31億7千万円が事業構造改善費用として特別損失に計上された。 週刊東洋経済 2017年3月25日号「深層リポート 三陽商会の窮地 堕ちた名門アパレルの内幕」 | — | 1,6581,341名 ▲317名単体/2012/12期 → 2013/12期 | |
| 40歳以上を対象とする2度目の希望退職 バーバリーの秋冬商品が消えた2016年12月期、売上高は前期比30%減の676億円、営業損益は84億円の過去最大の赤字に沈んだ。杉浦昌彦社長のもとで6月に募集が行われ、249人が同年12月31日付で会社を去る。3年前の「最初で最後」という説明は3年で覆された。募集に伴う特別退職金など約26億円が事業構造改善費用として計上されている。退職日が期末日にあたるため、249人は2016年12月期末の従業員数に含まれており、減少が表れるのは翌2017年12月期である。 週刊東洋経済 2017年3月25日号「深層リポート 三陽商会の窮地 堕ちた名門アパレルの内幕」 | 40歳以上を対象に全体の2割にあたる約250人の希望退職を募集 | 1,268964名 ▲304名単体/2016/12期 → 2017/12期 | |
| 新中期経営計画と不採算売場からの撤退 2017年元日に社長へ就いた岩田功氏は、同年2月の新中期経営計画で自社EC「サンヨー・アイストア」の拡大と直営店の強化、ライセンスに頼らない自社ブランドの投入を掲げた。バーバリー跡地はマッキントッシュ ロンドンなどで継ぐ一方、不採算ブランド・売場からは基幹ブランドでも撤退する構えであった。売場を畳めば店頭に立つ販売員は減るが、有価証券報告書の従業員数は就業人員で臨時従業員を含まないためその分は測れない。前の行の測定窓の内側にもあたるので、実績は付していない。 週刊東洋経済 2017年3月25日号「深層リポート 三陽商会の窮地 堕ちた名門アパレルの内幕」 | 基幹ブランドであっても聖域を設けず不採算売場を縮小 | — | |
| 「今後の成長戦略について」と3度目の希望退職 2018年12月期は経営計画「Sanyo Innovation Plan 2017」の2年目にあたったが、第2四半期までの進捗を受けて2018年10月30日に定量計画の修正を含む「今後の成長戦略について」を発表した。組織構造改革・コスト構造改革・成長戦略の3本のうち、コスト構造改革の中身が本社人件費の適正化で、同年12月に希望退職制度が実施され247名が12月31日付で退職している。有価証券報告書は次の期の従業員数の減少について、連結・単体とも主な理由を希望退職者募集の実施によるものと記す。次の期は決算期を12月から2月へ移す14か月の変則決算にあたる。 | 本社人件費の適正化として希望退職制度を実施 | 1,7341,552名 ▲182名単体/2018/12期 → 2020/2期 | |
| 再生プランの公表 2020年1月に第7代社長へ就いた中山雅之氏は、コロナ禍で売上が一段と細るなか4か月で退いた。同年4月14日に公表された「再生プラン」は、値引き販売との決別と粗利率の改善、百貨店の不採算売場からの撤退、一事業本部体制への組織改変と役職者数の適正化を並べ、2年で営業黒字へ戻すことを必達目標に据えている。翌5月に社長へ就いた大江伸治氏がこの計画を引き継いだ。人員の削減幅は計画に示されておらず、実績は具体策が動いた次の行にまとめている。 FASHIONSNAP(2020年4月14日)「三陽商会の中山雅之社長がわずか4ヶ月で退任へ、2年で黒字化目指す再生プラン発表」 | 2022年2月期における営業黒字化を目指す2年間の事業構造改革 | — | |
| 4度目の希望退職と不採算売場約180店舗の撤退 再生プランの2年目にあたる2022年2月期、三陽商会は不採算事業の店舗集約と販管費の抜本削減を進め、約180店舗の不採算売場からの撤退を終えた。人員では2021年1月に希望退職を募り、180名が同年3月31日付で退職している。有価証券報告書は2022年2月期の従業員数の減少について、連結・単体とも主な理由を希望退職者募集の実施によるものと記す。同じ期に2021年3月のルビー・グループ株式の売却と同年9月のサンヨーアパレルの吸収合併が重なるが、後者は子会社の人員が提出会社へ移るだけで連結の人数を動かさないため、実績は単体ではなく連結で見ている。 | — | 1,5721,235名 ▲337名連結/2021/2期 → 2022/2期 |
三陽商会と同業他社の平均年収比較 業界横比較・最新有報ベース
同業他社の平均年収(アパレル)
各社の有価証券報告書「従業員の状況」より最新掲載値を集計(FY19〜FY25 · 9社)。 カードをクリックするとその企業の業績ページへ移動します。
三陽商会が希望退職を募ったのは2013年から2021年までの8年間に4度ある。最初は2013年で、会社はこれを「最初で最後」と説明した。ところが2015年に半世紀続いたバーバリーの独占ライセンスを失って売上の柱が消えると、2016年に249人、2018年に247名、2021年に180名と、ほぼ2年半おきに同じことを繰り返す。あわせて百貨店の不採算売場からの撤退が続き、2021年2月期までに約180店舗を引き払った。連結従業員数は2001年12月期の2,143名から2026年2月期の1,125名へ半減し、売上1,400億円のライセンス運営会社は600億円規模の自社ブランド企業へ姿を変えている。
発表された削減計画と、有価証券報告書の従業員数が実際にどう動いたかを並べた。連結従業員数を遡れるのは2001年12月期までで、それ以前に実施された施策には実績を付していない。希望退職はいずれも提出会社の制度なので実績は原則として単体(提出会社)の従業員数で見ているが、2021年1月募集分だけは同じ期に子会社サンヨーアパレルの吸収合併で人員が単体へ移り、単体では減少幅が小さく出るため連結で見ている。この会社の従業員数には読み違えやすい点が三つある。第一に、有価証券報告書の従業員数は就業人員で、店頭に立つパート・アルバイトなどの臨時従業員は外書(2013年12月期の連結で4,393名、2025年2月期で1,437名)であり、売場撤退による販売スタッフの減少はこの数字に表れない。第二に、希望退職者の退職日が期末日にあたる期では退職者がその期末の従業員数に含まれると有価証券報告書が明記しており、減少は翌期に表れる。第三に、2018年12月期に連結従業員数が991名から1,804名へ813名増えているのは、2018年7月に提出会社の臨時雇用者約800名を正社員化したことによるもので、人を採ったのではなく数え方の範囲が変わったものである。