この転換の要点は、新しい商材を見つけたところではなく、病院の在庫を自社の負担として引き受けたところにある。院外SPDでは病院内の棚に並ぶ物品まで同社の在庫となり、必要運転資金は従来の納品形態より増える。有価証券報告書はそれをリスクとして書き、同時に、1社がすべての診療材料を管理する契約であるがゆえに他社に取られれば取引ごと失うとも書いた。取りにくく、失いやすい。その代わり、いったん入れば病院の物流の内側に居続けられる。医療機器商社の値引き競争とは別の条件に賭けた選択と思われる。
賭けの対価は、祖業の商権であった。1999年10月に富士フイルムメディカル西日本へ譲ったメディカルイメージング部門は、創業3カ月後に始めた富士写真フイルム製品の販売そのものにあたる。稼ぎ頭を手放して未整備の受託業務へ資源を配分する判断が、当時どれほどの確信に支えられていたかは記録に残っていない。ただし結果は数字で残った。1997年2月に始めた院内物流の代行は、2026年3月期に5,095億円を売る事業になっている。