事業売却・撤退
事業ポートフォリオの入れ替えを本格化
背景
バークシャー・ハサウェイの出資を契機に株主を意識した経営へ転換
2020年8月に米国の投資会社バークシャー・ハサウェイが三菱商事の株式5.04%を保有していることが公表された。2023年3月期末時点で三菱商事における海外投資家の保有比率は29.74%に達し、バークシャーの保有比率は6.59%に上昇した。海外の機関投資家が株主として存在感を増すなかで、三菱商事は株主への配慮を強化する方向に舵を切った。
2022年に中西勝也氏が社長に就任し、「中期経営計画2024」を策定。事業ポートフォリオの入れ替えを経営方針の中核に据え、企業価値の改善が見込みにくい子会社や関連会社の株式を売却することで資産効率の改善を図った。中西社長は前任者の時代から掲げてきた「循環型成長モデル」を実践し、事業の入れ替えによる成長を目指す姿勢を示した。
決断
日本KFCの全株売却とローソンの連結除外による資産入れ替えの具体化
2024年に三菱商事は保有する日本KFCの全株式(35.12%)を約400億円で投資ファンドのカーライル・グループに売却する方針を発表した。事業ポートフォリオの入れ替えを具体化する案件のひとつであり、外食事業の持分を投資ファンドに譲渡する形をとった。
同時に、三菱商事はローソンの株式について0.1%の売却を実施し、保有比率を50.1%から50.0%に引き下げることで連結対象から除外した。KDDIがローソンへのTOBを表明しており、三菱商事は経営の主導権をKDDIに譲る判断を下した。日本KFCの完全売却とローソンの連結除外は、いずれもポートフォリオの入れ替えによる資産効率改善を意図した施策であり、三菱商事の投資スタイルが「長期保有」から「入れ替え」へと移行しつつあることを示す。
中西勝也 三菱商事・社長
2024年ごろの当事者の証言 わたしが2022年に社長に就任した時に、22年度から始まる3カ年の新しい経営の指針として「中期経営戦略2024」を出しました。この中で、循環型成長モデルという経営管理制度を掲げ、実践しています。 これは前任者(垣内威彦・現会長)の時代から言っていることですが、要はどのように事業ポートフォリオの入れ替えをしていくかというところに重点を置いていまして、事業を入れ替えながら、どのように成長していくかという部分がこれからの課題になるのかなと思います。
経営統合に関連する時系列
- Berkshire Hathaway Inc.が大量保有を公表
- 中期経営計画2024をスタート
- ローソンを連結除外
- 日本KFCの株式をカーライルに売却
バークシャー・ハサウェイの株式保有を契機に海外投資家の存在感が高まり、三菱商事は株主を意識した事業ポートフォリオの入れ替えに舵を切った。日本KFCの全株売却とローソンの連結除外は、長期保有を前提としてきた商社の投資スタイルからの転換を象徴する。保有比率0.1%の売却でローソンを連結除外するという判断は、資産効率への意識を端的に示す事例であり、三菱グループの一員としての長期保有から株主価値重視への変化が読み取れる。