ノジマ コネクシオをTOBで買収 携帯販売大手を855億円で取り込む完全子会社化と規模の確保
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2022年12月22日の取締役会で、ノジマは子会社NCXを公開買付者として携帯電話販売代理店大手のコネクシオを完全子会社とすることを決議した。取得原価は854億93百万円で議決権100%を取得し、同社にとって過去最大のM&Aとなった。
- 背景
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ノジマは2015年のアイ・ティー・エックス買収でキャリアショップ運営を家電量販と並ぶ主力事業に育てていた。移動体通信の市場は成熟し、販売代理店各社が独自の戦略で成長を続ける難易度は上がって、業界では統合・再編が進行していた。
- 内容
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公開買付けは2022年12月23日から2023年2月9日まで実施し、応募株式の総数が買付予定数の下限以上となって成立した。NCXは2月に議決権94.02%を握り、3月22日の株式売渡請求で残る5.98%を追加取得して完全子会社とした。
- 含意
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携帯ショップが縮小に向かうなかでの逆張りの集約であった。のれん247億66百万円と契約関連無形資産202億70百万円を抱え、統合の負担で買収直後の連結営業利益は一度沈んだものの、一期遅れて効率化が効き、キャリアショップは利益を押し上げる装置に育った。
いつ何が起きたか 7件
筆者の見解
規模の集約と、接客の質の両立という課題
この買収の核心は、縮小に向かう市場でなお規模を追った点にある。有報が挙げる理由も、市場の成熟で販売代理店が独自に成長する難易度が上がり、業界の統合・再編が進んでいるという現状認識であった。多くの事業者が店舗を減らす方向へ動くなかで、ノジマは業界大手を丸ごと取り込んで運営を一体化し、翌4月には自社のドコモショップ事業をアイ・ティー・エックスへ承継して代理店運営を統合した。逆風のなかでこそ規模を集めれば、統廃合や効率化の主導権を握れる——アイ・ティー・エックスから続く同業集約の論理を、最も大きな規模で押し切った判断といえる。
数字は一期遅れて追いついた。取得の翌期にあたる2024年3月期は、キャリアショップ運営事業の売上が3,453億円へ伸びる一方でセグメント利益は84億円にとどまり、連結営業利益はむしろ前期を下回った。それが2025年3月期に192億円、2026年3月期に269億円へと跳ね、買収前の5期がおおむね60億円から80億円で推移していた利益水準を大きく超えていく。とはいえ、規模の拡大と、ノジマが独立系として掲げてきた接客本位の店づくりが、そのまま両立するとは限らない。売上ノルマを置かず客と一緒に商品を選ぶという同社の流儀を、買収で加わった多数の店舗と人員へどう根づかせるか。247億円ののれんを16年かけて償却し続ける以上、この問いに答え続けられるかどうかが、買収の成否を決めることになる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
買収の条件
買収の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 被取得企業 | コネクシオ株式会社 | 携帯電話端末等販売代理店事業等 |
| 取締役会の決議日 | 2022年12月22日 | NCX株式会社を公開買付者とし、コネクシオを完全子会社とする取引の決議 |
| 公開買付期間 | 2022年12月23日〜2023年2月9日 | 買付価格・買付予定数・応募株券数は有価証券報告書に記載がない |
| 企業結合を行った主な理由 | 全国の店舗網・質の高い人材・法人ビジネス | 市場の成熟で代理店の統合・再編が進むなか、キャリアショップ事業の成長に充てる |
| 企業結合日 | 2023年1月1日(みなし取得日) | 連結損益に含めたのは2023年1月1日から3月31日までの3か月分 |
| 企業結合の法的形式 | 現金を対価とする株式の取得 | 結合後企業の名称に変更はない |
| 取得した議決権比率 | 100% | 公開買付けで94.02%、2023年3月22日の株式売渡請求で5.98%を追加取得 |
| 取得原価 | 現金85,493百万円 | 一連の株式取得を一体の取引として処理している |
| 取得関連費用 | 452百万円 | アドバイザリー費用等 |
| のれん | 24,766百万円 | 今後の事業展開によって期待される将来の超過収益から発生。16年の均等償却 |
| のれん以外の無形資産 | 契約関連無形資産20,270百万円 | 加重平均償却期間は19年 |
| 受け入れた資産合計 | 96,744百万円 | 流動資産81,480百万円、固定資産15,263百万円 |
| 引き受けた負債合計 | 44,090百万円 | 流動負債39,094百万円、固定負債4,996百万円 |
| 通期換算した売上高の増加 | 135,229百万円 | 期首に結合したと仮定した概算額。営業利益は1,188百万円。監査証明はない |
| 取得資金の調達 | 総額860億円の限度借入契約 | 2023年2月10日締結、2027年12月31日まで。NCXを通じた株式取得が目的 |
出所:ノジマ 有価証券報告書 第61期(2023年3月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】・第62期【連結キャッシュ・フロー計算書関係】
のれんと無形固定資産の推移
ノジマ:のれんと無形固定資産の推移
| (百万円) | のれん | 無形固定資産 | 総資産 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年3月期 | 30,255 | 92,412 | 259,756 | ITXとニフティの取得によるのれんを抱えていた時期 |
| 2019年3月期 | 27,546 | 84,140 | 307,735 | |
| 2020年3月期 | 24,758 | 75,836 | 286,247 | |
| 2021年3月期 | 21,949 | 67,955 | 340,183 | |
| 2022年3月期 | 19,263 | 60,230 | 326,952 | |
| 2023年3月期 | 47,518 | 109,238 | 556,902 | コネクシオで24,766百万円、マネースクエアHDで8,409百万円ののれんを計上 |
| 2024年3月期 | 44,042 | 100,484 | 547,142 | |
| 2025年3月期 | 42,621 | 107,602 | 623,810 | VAIOの取得で1,866百万円ののれんと14,200百万円の無形資産が加わった |
| 2026年3月期 | 37,167 | 98,417 | 594,478 |
出所:ノジマ 有価証券報告書 第56期〜第64期(連結貸借対照表。2023年3月期は暫定的な会計処理の確定を反映した額)
キャリアショップ運営事業の推移
ノジマ:キャリアショップ運営事業の推移
| (百万円) | 売上高 | セグメント利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018年3月期 | 245,246 | 6,169 | |
| 2019年3月期 | 237,833 | 6,542 | |
| 2020年3月期 | 207,322 | 6,773 | |
| 2021年3月期 | 182,493 | 8,484 | 情報端末の販売台数が減り減収。関連サービスの販売で増益 |
| 2022年3月期 | 187,722 | 5,887 | 出張販売等の販売促進費が増え、利益は前年を下回った |
| 2023年3月期 | 233,894 | 6,166 | コネクシオの業績は1月から3月の3か月分。連結調整前の売上高は54,196百万円 |
| 2024年3月期 | 345,320 | 8,430 | コネクシオが通年で寄与した最初の期 |
| 2025年3月期 | 364,639 | 19,218 | 売上高・経常利益とも過去最高を更新 |
| 2026年3月期 | 391,736 | 26,912 | 過去最高を連続更新。2018年3月期の利益水準の4倍を超えた |
出所:ノジマ 有価証券報告書 第56期〜第64期(セグメント情報。売上高は外部顧客への売上高)
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参考文献
- ノジマ 有価証券報告書「第61期(2023年3月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】」
- ノジマ 有価証券報告書「第62期(2024年3月期)【沿革】【連結キャッシュ・フロー計算書関係】」
- ノジマ 有価証券報告書「第56期〜第64期(連結貸借対照表、セグメント情報、経営成績の分析)」
- 伊藤忠商事 有価証券報告書「第98期(2022年3月期)【関係会社の状況】」