ビックカメラ ソフマップの子会社化 時間をかけた段階的な取り込みと、完全子会社化への到達
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2005年から2010年にかけて、ビックカメラが中古パソコンの雄ソフマップを、資本業務提携・増資引受・株式交換の3段階で取り込み、完全子会社化した経営判断。
- 背景
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ソフマップは秋葉原発の中古パソコンでシェア25%を占める事実上のプライスリーダーだったが、新品パソコンの利益消失で2期連続の経常赤字に陥り、立て直しを迫られていた。
- 内容
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2005年1月に中古商品の買取・販売事業の強化を目的に資本業務提携し、2006年2月28日に20億円の増資を引き受けて議決権59.4%を握り連結子会社化、2010年1月29日の株式交換で完全子会社にした。
- 含意
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新品家電・カメラの量販が主戦場だったビックカメラが、中古・買取・秋葉原という異質な顧客基盤とノウハウを獲得し、のちのじゃんぱら取得に連なる中古事業の内製化を進めた。
いつ何が起きたか 7件
筆者の見解
一気に買収せず、5年かけて関与を深めた意味
この判断の核心は、買収の踏み込み方を段階に分けた点にある。ビックカメラは2005年の資本業務提携、2006年の増資引受による過半取得、2010年の株式交換による完全子会社化と、5年をかけて関与を深めた。2006年2月に払い込んだ20億円で議決権の59.4%を握り、代表権を持つ取締役を含む役員を送り込んだうえで、中古商品のノウハウ共有、新品商品の仕入れ、携帯電話・ブロードバンドの販売ノウハウ、物流やリペアセンターの相互利用といった協力関係を一つずつ積み上げている。新品の家電・カメラを大都市で売る同社にとって、中古パソコン・買取・秋葉原という異質な顧客基盤は自前では作りにくく、専門のノウハウごと取り込む道を選んだ。
最後の一歩を踏み出させたのは、提携の限界だった。有報は株式交換の理由を、外部環境の変化と同業他社との競合が激しくなるなかで、独立した上場企業としての垣根にとらわれない一体化したビジネスモデルと組織体制の整備が急務になったためだと説明している。交換比率の算定ではソフマップの超過収益力が加味され、追加取得分に12億66百万円ののれんが立った。5年の均等償却を選んだこののれんは、買い替え需要の裏側にある"売る・買い取る"市場を自社の商いへ組み込む対価であり、のちのじゃんぱら取得にも連なっていく。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
買収の条件
買収の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 結合当事企業 | 株式会社ソフマップ | パソコン、デジタルグッズの専門小売業。首都圏と関西圏を中心に34店舗 |
| 第1段階・資本業務提携 | 2005年1月 | 中古商品の買取・販売事業の強化を目的とする提携 |
| 第2段階・増資引受の決議 | 2006年1月5日 | 取締役会で資本・業務提携契約の締結を決議。同月20日にソフマップ臨時株主総会が増資を決議 |
| 第三者割当増資の引受額 | 2,000百万円 | 2006年2月28日付で引き受け、ソフマップは連結子会社となった |
| 引受後の議決権所有割合 | 59.4% | 2006年8月期末は61.4%、2009年8月期末は60.1% |
| 派遣した役員 | 代表権を有する取締役を含む | 出資に併せて派遣し、中古のノウハウ共有や仕入れの協力関係を築いた |
| 第3段階・株式交換契約 | 2009年10月14日 | 両社の取締役会で決議し同日付で締結。同年12月17日にソフマップ臨時株主総会が承認 |
| 株式交換比率 | ソフマップ株1株に当社株0.005株 | みずほマネジメントアドバイザリーとAGSコンサルティングが市場株価法とDCF法で算定 |
| 企業結合日 | 2010年1月29日 | 株式交換の効力発生日。ソフマップ普通株式の上場廃止日は2010年1月26日 |
| 企業結合の法的形式 | 株式交換(当社が完全親会社) | 共通支配下の取引等のうち少数株主との取引として会計処理した |
| 交付した株式 | 47,624株 | 評価額1,515百万円。株式交換前の発行済普通株式の保有割合は40.86% |
| 取得原価 | 1,544百万円 | 交付株式の評価額1,515百万円とアドバイザリー費用等29百万円の合計 |
| のれん | 1,266百万円 | 5年間で均等償却。ソフマップの超過収益力等を勘案した交換比率による差額 |
| ソフマップの売上高 | 91,143百万円 | 2010年8月期。経常損失129百万円、当期純損失183百万円、総資産22,285百万円 |
出所:ビックカメラ 有価証券報告書 第26期(2006年8月期)・第29期(2009年8月期)【重要な後発事象】/第30期(2010年8月期)【企業結合等関係】【沿革】
連結売上高と当期純利益の推移
ビックカメラ:連結売上高と当期純利益の推移
| (百万円) | 売上高 | 当期純利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2005年8月期 | 433,186 | 3,062 | ソフマップは連結前。独立した上場会社だった |
| 2006年8月期 | 480,453 | 6,007 | 2006年2月28日に増資を引き受けソフマップを連結子会社化。議決権59.4% |
| 2007年8月期 | 542,294 | 8,146 | |
| 2008年8月期 | 604,804 | 4,112 | |
| 2009年8月期 | 589,177 | 5,094 | ソフマップの議決権所有割合は期末で60.1% |
| 2010年8月期 | 608,274 | 5,965 | 2010年1月29日に株式交換で完全子会社化。同社の売上高911億は連結の15.0% |
| 2011年8月期 | 612,114 | 9,049 | ソフマップの売上高834億は連結の13.6% |
| 2012年8月期 | 518,057 | 4,007 | ソフマップは2012年3月に新設分割し、分割会社を当社が吸収合併した |
| 2013年8月期 | 805,378 | 2,436 | コジマの損益を通年で連結し、売上高は前期比55.5%増となった |
| 2014年8月期 | 829,833 | 9,850 | |
| 2015年8月期 | 795,368 | 6,804 |
出所:ビックカメラ 有価証券報告書 第25期〜第35期(主要な経営指標等の推移・連結損益計算書)
同じ問いに直面した会社
同じ問いに直面した会社
参考文献
- ビックカメラ 有価証券報告書 第26期(2006年8月期)【重要な後発事象】
- ビックカメラ 有価証券報告書 第29期(2009年8月期)【重要な後発事象】
- ビックカメラ 有価証券報告書 第30期(2010年8月期)【企業結合等関係】【沿革】【関係会社の状況】
- 日経ビジネス 2003年6月2日号(日経BP社)
- ビックカメラ 有価証券報告書「第26期(2005年9月1日〜2006年8月31日)有価証券報告書」
- ビックカメラ 有価証券報告書「第29期(2008年9月1日〜2009年8月31日)有価証券報告書」
- ビックカメラ 有価証券報告書「第30期(2009年9月1日〜2010年8月31日)有価証券報告書」