創業1988年6月、山本英俊氏が愛知県名古屋市緑区に株式会社東洋商事を設立した。当初は遊技機販売と製鉄原料の販売を併存する地場商社として始まり、1999年にISO9002を取得して全国型販売会社への脱皮を準備した。2001年10月に製鉄原料事業を新設会社へ分割移管し、商号を「フィールズ株式会社」へ変更、本社を東京都港区へ移転して遊技機販売の単一事業に集中した。2003年3月にJASDAQ上場、2003年11月のSANKYOグループ・ダイドー(現ビスティ)、2008年の京楽産業、2009年のカプコングループ・エンターライズと立て続けに販売取引契約を結び、全国型の遊技機販社プラットフォームとなる地位を確立した。
決断2010年4月、フィールズは特撮IP企業の株式会社円谷プロダクションを買収した。1963年設立で「ウルトラマン」シリーズを擁する円谷プロの取得は、遊技機販社からIPホルダー企業への自己定義の書き換えだった。2012年に山本氏は会長へ退き、大屋高志氏(2012〜2016)、繁松徹也氏(2016〜2018)と2代続けて非創業家の専門経営者が社長を務めたが、FY16・FY17の連続赤字(純損失累計202億円)を機に2018年5月、山本氏が11年ぶりに社長へ復帰した。創業者復帰後は遊技機販売の立て直しと並行してIPクロスメディア展開を本格化、2022年10月3日に持株会社体制へ移行して商号を「円谷フィールズホールディングス」へ変更し、買収子会社の名前を上場親会社の社名へ昇格させた。
課題2024年3月のソフィア買収でアミューズメント機器事業に周辺設備・工事のワンストップ提供を加え、FY24(2025年3月期)に売上1,406億円・営業利益153億円・純利益112億円と過去最高益水準まで業績を回復させた。コンテンツ&デジタル事業の売上規模は160億円とアミューズメント機器事業(1,229億円)の約13%だが、ウルトラマンIPのグローバル展開を軸に2026年の放送開始60周年へ向けた事業立ち上げが進む。山本氏は2028年3月期営業利益100億円・海外5割を掲げ、後継候補として長男・山本剛史氏(取締役グループ経営企画担当、株式7,225,600株保有)の経営陣登用を進めている。創業者が保有比率25%超の筆頭株主として君臨し続ける家族主導型ガバナンスのもとで、海外IP事業への重心移動と次世代承継を同時に進めるのが目下の論点である。
API for AI Agents— 静的アセットのJSONで取得可能。API実行の認証不要
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歴史概略
1988年〜2003年名古屋発「製鉄原料商社」から遊技機販売へ転じた創業期
製鉄原料の専門商社として始まった山本英俊氏の創業
1988年6月、山本英俊氏は愛知県名古屋市緑区に株式会社東洋商事を設立した。設立目的は遊技機の販売と並んで「製鉄原料の販売」が掲げられ、後年のエンタテインメント企業からは想像しにくい産業財商社としての出発だった。山本氏は1955年10月生まれ、名城大学理工学部の出身で、技術系の素養を持ちながら遊技機販売という当時急成長していた市場へ参入した。製鉄原料は地域の鉄鋼関連企業の調達コスト変動を読み取る商売であり、固定客との取引関係を積み上げる「商社業」の鍛錬の場となった。創業時点で山本氏は既に30代前半に差しかかっていたが、技術と商社的調整能力の双方を併せ持つ起業家としての型を、この製鉄原料事業で固めた。
1990年代前半、日本の遊技機市場(パチンコ・パチスロ)は装置産業として急速に拡大していた。CR機の解禁(1992年)・タイアップ商品の登場・大型ホールの全国展開などが続き、遊技機メーカーから販社経由でホールへ機械を流すサプライチェーンが業界の標準形になっていた。東洋商事は名古屋発の販売業者として、地域ホールとの関係構築を起点に、遊技機販売を拡大した。製鉄原料という産業財商社の地味な仕事と、遊技機販売という消費系の商売を併走させる体制は、商売の規律と市場感度の両方を山本氏に与えた。1990年代を通じてこの二本柱で同社は資本を積み上げ、1999年1月には販売部門でISO9002を取得し(後年ISO9001へ移行)、地域商社から全国型販売会社へ脱皮する準備を進めた。
「フィールズ」改称と東京移転で遊技機販売に特化した2001年の決断
2001年10月、同社は会社分割(新設分割)により製鉄原料部門等を新設会社(株式会社東洋商事)へ移管し、本体を遊技機販売専業に組み替えた。同時に商号を「フィールズ株式会社」へ変更、本社を東京都港区に移転した。創業地・名古屋を離れて東京へ拠点を移したのは、遊技機メーカー大手と販社の取引が首都圏に集中していたためであり、同時に既往の製鉄原料事業を分離して非中核事業を切り離した。山本氏は遊技機販売の単一事業に経営資源を集中する決断を下し、創業時に併存した二本柱の一方を捨てた格好となった。1988年の創業から13年で同社は名古屋の地場商社からエンタテインメント関連の専業会社へと自己定義をやり直した。
2001年6月には「TOTAL Workout」というフィットネスクラブ営業も開始しているが、これは創業者の人的ネットワークを起点にした副業的展開で、後年も収益への寄与は限定的だった。重心はあくまで遊技機販売であり、社名「フィールズ(Fields=場・領域)」が示すように、複数のホールとメーカーを結節する流通プラットフォームとしての立ち位置を経営は意識していた。改称・本社移転・事業分割という3つの組織再編を1年で同時に実行した2001年は、同社の戦略的分水嶺となった。
2003年JASDAQ上場とSANKYO・京楽との販売契約による全国展開
2002年3月、同社は有限会社セリオ(現フィールズジュニア)を株式取得で子会社化し、地域販社を傘下に取り込む拡大路線に転じた。2003年1月には株式会社デジタルロード(現ルーセント)を新規設立して遊技機関連のIT子会社を持ち、流通機能だけでなく機種開発のサポート機能を内製化する方向へ動いた。そして2003年3月、フィールズはJASDAQ市場に上場した。創業から約15年で上場を果たした成長スピードは、遊技機販売市場の追い風と山本氏の事業集中決断の合算成果だった。
上場後の2003年11月、同社はSANKYOグループの株式会社ダイドー(現ビスティ)と遊技機販売取引基本契約を締結し、業界大手メーカーの販売チャネルを正式に取り込んだ。2004年6月には一般公募増資で資本金を79億4,800万円へ引き上げ、2004年7月に本社を東京都渋谷区へ移転、2004年12月には株式会社ジャスダック証券取引所に上場区分を整理し、同時期に「エヴァンゲリオン」シリーズの遊技機販売を開始した。アニメ・特撮IPと遊技機を組み合わせるタイアップ機の販売を経験したのはこの時期であり、同社が後年「IP活用エンタテインメント企業」を自称する素地はここで作られた。2008年2月の京楽産業グループとの共同事業開始、2009年11月のカプコングループ・エンターライズとの取引基本契約締結が続き、フィールズは大手遊技機メーカー数社の販社として全国型の流通プラットフォームを構築した。
以降は執筆中