筆者の見解
専業からどこまで多角化するか
この経営判断の核心は、マンション専業ゆえの成長の限界に直面した長谷工が、本業で培った企画力・施工技術を競争優位の源泉として、まったく畑違いのホテル・リゾート事業へあえて自前で参入した点にある。運営を外部の専門企業に委ねる選択肢もありながら『長谷工の考え通りに開発、運営できるとは限らない』として自前主義を貫いた判断には、専業で築いた成功体験への自負がうかがえる。
もっとも、初年度のホテル事業が好調だった一方で、不動産部門の比重が短期間で急拡大した事実は、多角化がバブル経済という追い風に強く依存していたことを示している。マンション市場の成熟という課題認識自体は的確であったとみられるが、投資の規模とスピードが景気反転後の損失耐性を大きく損ねる結果を招いた。専業からどこまで多角化してよいかという問いは、長谷工がその後の再建過程で改めて向き合うことになる論点であったといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月