長谷工コーポレーションの直近の動向と展望

/

長谷工コーポレーションの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

ハワイ事業の清算と利益率の壁

2025年3月期(FY24)、長谷工は海外事業を中心に約230億円の特別損失を計上した。ハワイのホテル用地の棚卸資産評価損約40億円を含む処理で、1973年の現地法人設立から50年にわたるハワイ事業の清算が順を追って進んでいる。当期純利益は345億円に縮小したが、単体受注高は過去最高の5,866億円となり、国内のマンション建設需要そのものが旺盛であることを示した。経常利益は834億円でFY17の1,005億円には再到達できておらず、ピーク時の収益力を取り戻すには工事利益率の構造的な改善が避けて通れない。その理由は工事利益率の低下にあり、資材価格と労務費の上昇が続くなか、事業主への価格転嫁が追いつかず、受注時の採算見通しと完成工事の実績とのタイムラグが収益を圧迫している。

受注時の採算は15%目標で改善傾向にあるが、完成工事高に反映されるまでに約2年のタイムラグがあり、目先の決算にはすぐには利益改善が現れない。FY26下期からの回復が見込まれ、過去に達成した17%も次の目標として掲げられた。全体5,000戸のうち約4,000戸まで引渡しが済んだハワイの住宅事業については、残る商業・ホテル用地を売却する方針で、熊野新社長の任期中に事業の目途付けを行うとしており、50年続いた海外住宅事業の終結に向けた最終段階が進んでいる。マンション専業に回帰して以降の長谷工にとって、海外事業の整理は経営資源の国内集中を徹底するための不可欠な作業で、国内マンション市場の好況を享受するための前提条件でもあった。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY25

受注7,000億円とデータセンター ── マンション以外への挑戦

2025年4月に就任した熊野聡(第9代社長)は、新中期経営計画「HASEKO Evolution Plan」でFY28に連結経常利益1,000億円の再達成を目標に掲げた。「積み上がった資本を生かし、会社を成長させるのが私の使命だ」(日経xTECH 2025/1/28)と表明し、建設・不動産・管理運営の3軸で競争力をつける方針を示した。つまりマンション専業の枠内でグループ全体の収益力を底上げする経営方針を打ち出した。FY25には単体受注高通期予想を7,000億円に上方修正し、他社ゼネコンがビル・土木に注力するなか、タワーマンションなど発注の集中が強まっている状況が数値にも反映され始めている。シェア上昇を実際の収益改善にどこまで転換できるかが、熊野体制の最大の経営課題で、施工能力の拡充と利益率の改善を同時に進める経営が続いている。

非住宅分野への参入も始まった。データセンターでは府中の案件で2棟目を受注し、建物単体で300〜500億円と案件規模も拡大している。冷凍冷蔵倉庫にも注目し、マンション建設で培った施工管理のノウハウを非住宅に応用する動きが広がる。しかし長谷工リフォームが公正取引委員会の調査を受けて新規受注活動を一時停止するなど、グループガバナンスの課題も浮上し、事業拡大と統制強化を同時に進める経営課題が表面化している。マンション専業で経常利益1,000億円に到達した長谷工にとって、マンション以外の領域でも成長できるかという問いは、88年の歴史で初めて直接向き合うテーマで、新中計の成否を左右する試金石となった。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • 決算説明会 FY24
  • 決算説明会 FY25

参考文献・出所

有価証券報告書
日経ビジネス 1995/11/13
日本会社史総覧 1995/11/1
日経ビジネス 1989/8/14
日経ビジネス 1991/11/18
PRESIDENT Online 2014/9/25
経済界 2016/8/8
経済界 2021/4/6
決算説明会 FY22
決算説明会 FY23
決算説明会 FY24
決算説明会 FY25