この判断の中心にあるのは、成長の乏しくなった国内通信事業を、抱え続けるべき資産と見るか、次の投資へ回すべき原資と見るかという選択であった。SBGは後者を採り、完全子会社の約4割を市場に切り出して2.6兆円を投資会社への転換に振り向けた。配当性向85%という高い還元は、親子上場につきまとう利益相反への回答として設計され、一般株主と親会社が同じ果実を分け合う建て付けを与えた。
もっとも、上場初日の公開価格割れは、成長より安定を掲げた高配当銘柄に市場が慎重であったことをうかがわせる。親会社が支配を握ったまま成熟事業を段階的に資金化していく構図は、少数株主にとって利益がどちらを向くのかという問いを残したままである。近年は東証も親子上場の解消を促しており、この上場が示した資本政策は、支配と還元をどう両立させるかという、今日なお続く論点の一つの実例といえる。