スタンダード市場へ移行(2021年・日本オラクルの決断)

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論点 プライム市場を見送るか
日本オラクル:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
東証再編を機としたプライム市場の見送りという上場区分の選択

何をなぜ決めたか:東証再編を機としたプライム市場の見送りという上場区分の選択

概要

2022年4月4日、東京証券取引所の市場区分見直しにあたり、市場第一部からスタンダード市場へ移行した。1999年2月に日本証券業協会へ株式を店頭登録し、2000年4月に市場第一部へ上場してから22年で、最上位の区分を離れたことになる。移行後の発行済株式総数は128,256,471株、株主数は19,208人(いずれも2022年5月31日現在)で、単元株式数は100株である。

背景

筆頭株主はORACLE JAPAN HOLDING,INC.で、所有株式数は94,967千株、発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する割合は74.1%。この会社は直接の親会社にあたり、実質的な親会社であるニューヨーク証券取引所上場のオラクル・コーポレーションまで遡ると、間接所有を含む議決権所有割合は74.2%になる。所有者別では外国法人等が86.5%を占め、個人その他は4.7%、金融機関は6.8%にとどまる。

内容

取締役会は9名の取締役で構成し、うち4名が社外取締役。2022年5月31日時点では取締役8名のうち4名が親会社から選任され、製品・サービスに精通した立場からの助言と、親会社との連携の緊密化がその理由に挙がる。

独立社外取締役が3分の1に満たない場合には、取締役会の監督機能を強化し少数株主の利益保護等を目的として、取締役会の諮問機関である特別委員会を設置することにしている。

含意

プライム市場の上場維持基準のうち、どの項目にどれだけ届かなかったかは公表していない。流通株式比率も流通株式時価総額も、有価証券報告書にも適時開示にも数値の記載がない。分かるのは親会社側の数字だけで、その所有株式数は2017年5月期から94,967千株のまま動かず、持株比率は74.4%から74.0%へ下がったにとどまる。

いつ何が起きたか 5件
当時の取締役 8名

当時の取締役(2021年8月株主総会決議)

考察:選ばれたのは市場区分ではなく資本構成
考察

考察:選ばれたのは市場区分ではなく資本構成

市場区分の選択という形をとってはいるが、実際に問われたのは、親会社が議決権の74.2%を握る構造を動かすかどうかだった。最上位の区分に残るには親会社が株式を手放して流通する株式を増やすほかなく、それは日本法人を販売の担い手として保有する枠組みそのものを組み替えることを意味する。会社は後者を守り、親会社の所有株式数94,967千株は2017年5月期から一株も動いていない。

もっとも、支配株主を持つ会社としての備えは重ねている。独立社外取締役が3分の1に満たないときには少数株主の利益保護を目的とする特別委員会を設置すると定め、親会社との関係と取引についても毎年開示を続けている。株主数は2017年5月期の23,163人から2025年5月期には13,891人まで減り、2026年5月期に16,986人へ戻した。最上位の区分を離れた会社が市場でどれだけの株主を引き留められるのかは、なお開かれた問いとして残っていると思われる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

日本オラクル:株主数の推移

個人その他(人)個人その他以外(人)
日本オラクル:株主数の推移
(人) 株主数個人その他金融機関 備考
2017年5月期 23,16322,25744
2018年5月期 21,44720,49950
2019年5月期 19,26318,36758
2020年5月期 16,43515,55443
2021年5月期 16,89615,95953
2022年5月期 19,20818,28141 移行の期。株主数は前期から2,312人増え、個人その他が2,322人増えた
2023年5月期 16,27615,40534
2024年5月期 15,00014,13730
2025年5月期 13,89113,01728
2026年5月期 16,98616,07526
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第32〜41期(【所有者別状況】)
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第32〜41期(【所有者別状況】)

日本オラクル:株式の所有者別割合と親会社の持株比率の推移

日本オラクル:株式の所有者別割合と親会社の持株比率の推移
(%) 親会社の持株比率外国法人等金融機関個人その他 備考
2017年5月期 74.487.55.75.6
2018年5月期 74.288.35.74.9
2019年5月期 74.188.36.14.7
2020年5月期 74.188.473.9
2021年5月期 74.186.18.14.1
2022年5月期 74.186.56.84.7 2022年4月4日にスタンダード市場へ移行。親会社の所有株式数は94,967千株で不変
2023年5月期 74876.94.1
2024年5月期 7487.963.8
2025年5月期 7488.26.73.4
2026年5月期 7489.15.74.4
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第32〜41期(【大株主の状況】【所有者別状況】)
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第32〜41期(【大株主の状況】【所有者別状況】)

市場区分選択の条件

市場区分選択の条件
科目 概要 備考
移行前の市場区分 東京証券取引所市場第一部 1999年2月に日本証券業協会へ店頭登録し、2000年4月に市場第一部へ上場した
選択した市場区分 東京証券取引所スタンダード市場
移行日 2022年4月4日
発行済株式総数 128,256,471株 2022年5月31日現在。単元株式数は100株
筆頭株主 ORACLE JAPAN HOLDING,INC. 常任代理人はSMBC日興証券。当社の直接の親会社にあたる
筆頭株主の所有株式数 94,967千株 2022年5月31日現在。2017年5月期から株数は変わっていない
筆頭株主の持株比率 74.1% 発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式数の割合
親会社等の議決権所有割合 74.2% 間接所有を含む。持株数比率とは異なる。2022年5月31日現在
実質的な親会社 オラクル・コーポレーション ニューヨーク証券取引所上場。ほかに親会社等が3社ある
親会社から選任された取締役 8名中4名 2022年5月31日時点。製品・サービスに精通した立場から助言を受けるため
外国法人等の所有株式数の割合 86.5% 個人その他は4.7%、金融機関は6.8%。2022年5月31日現在
株主数 19,208人 2022年5月31日現在。うち個人その他は18,281人
プライム市場の上場維持基準の適合状況 会社の公表資料に記載なし 流通株式比率・流通株式時価総額の実数と選択の理由は記載がない
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第37期(2022年5月期)【沿革】【株式等の状況】、適時開示「支配株主等に関する事項について」(2022年8月23日)
出所:日本オラクル 有価証券報告書 第37期(2022年5月期)【沿革】【株式等の状況】、適時開示「支配株主等に関する事項について」(2022年8月23日)
当時の取締役 8名

当時の取締役(2021年8月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考

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