筆者の見解
外資系子会社の異例モデルという評価
この決断の核心は、日本法人の経営者が本社の資本方針を書き換えたという点にある。100%子会社のまま現地で単独上場するというモデルは、当時の外資系企業では稀であった。本社が求めたのは単なる資金調達であったが、佐野力氏はそれを日本市場での信認獲得という別の目的に結びつけ、本社を説得し切ったことで実現に至った。トップ個人の押しの強さが、資本構成という会社の骨格を動かした事例といえる。
もっとも、この上場が生んだ果実の大半は、なお過半の株式を握り続ける米本社に流れた。東証一部昇格の売り出しで得た数千億円規模のキャッシュはその象徴であり、日本法人が独自の資本市場評価を得ながらも、支配構造そのものは変わらなかった点に、このモデルの性格が表れている。情報公開による信認と、本社への富の集中が同居する構図は、その後の日本オラクルの資本政策を長く規定していくことになる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月