ブルーゾーンホールディングス ブルーゾーンHD設立 親子関係を兄弟関係へ組み替える純粋持株会社体制への移行

更新:

時期 2025年10月
当時の社長 川野澄人
論点 グループ運営体制と広域再編
何をなぜ決めたか
概要

2025年10月1日、ヤオコーの単独株式移転により純粋持株会社ブルーゾーンホールディングスが発足した。株式移転比率はヤオコー株1株に対し持株会社株1株で、交付した新株式は41,894,177株、資本金は9,846百万円。ヤオコー株は9月29日に東京証券取引所プライム市場を上場廃止となり、持株会社が10月1日に同市場へテクニカル上場した。

株式移転は共通支配下の取引として処理され、のれんは発生していない。

背景

出店エリアのうち北関東、神奈川県の横須賀三浦地域、千葉県の外房地域では少子高齢化が加速度的に進み、マーケットの大きな縮小が見込まれていた。インフレ基調のもとで消費者の節約志向が強まり、原材料費・人件費・建築資材のコスト高騰も続く。単体で36期連続の増収増益を重ねた食生活提案型のモデルを土台に、独自の「強み」を持つ食品スーパーマーケットが連帯しつつ切磋琢磨する形を選んだ。長期の数値目標は500店舗・売上高1兆円で、売上高経常利益率4%以上の継続確保を併せて掲げる。

内容

持株会社が担うのは、M&A・新規事業開発・ESG対応などグループ経営の戦略立案、グループ全体のリスク管理、管理部門のシェアードサービスの三機能。移行と同じ月にヤオコーが保有する子会社株式すべてを現物配当で引き取り、エイヴイ・せんどう・フーコットを直接保有の連結子会社へ移した。

同じ10月、文化堂の発行済株式すべてを7,600百万円で、クックマートを傘下に持つデライトホールディングスの70%を8,295百万円で取得。のれんはデライトHD分の6,289百万円を10年の均等償却とし、文化堂分の186百万円は重要性が乏しいとして発生時に一括償却した。

含意

グループ各社は名実ともに「親子関係」ではなく「兄弟関係」となり、各社が独立運営で独自の強みを磨く建て付けになった。2026年3月末の店舗数はヤオコー202、せんどう25、文化堂18、エイヴイ14、デライトHD12、フーコット5の計276。

第1期の売上高は783,434百万円、連結の就業人員は5,766名、平均臨時雇用者は18,399名まで増えた。仕入れを一本化してスケールを取る統合とは別の道を選んでおり、学び合いが各社の収益に表れるかが問われる。

いつ何が起きたか 6件
筆者の見解
筆者の見解

規模で統合するのではなく、学び合う連合という選び方

持株会社への移行そのものは、小売業では珍しくない。ヤオコーの選択で目を引くのは、単体で36期連続の増収増益を続けた会社が、あえて自らを"親会社"の座から外し、買った相手と横並びの兄弟会社に組み替えた点にある。規模を一つの会社へ吸い上げて効率を取る統合とは、向きが逆である。株式移転は共通支配下の取引として処理され、のれんも生じていない。持株会社が担ったのは戦略立案とリスク管理とシェアードサービスの三つだけで、売り場の裁量は各社に残した。

もっとも、同じ月に投じた現金は文化堂とデライトホールディングスで合わせて15,895百万円にのぼり、そのうち6,289百万円がのれんとして10年の償却に残った。連帯を掲げても、支払った対価は各社の収益で回収するほかない。提案型の個店経営という、数値だけでは移しにくい資産を、業態も商圏も異なる六社の間で行き来させられるかどうかに、売上高1兆円という長期目標の成否はかかっていると思われる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
持株会社設立と子会社化の条件

持株会社設立と子会社化の条件

科目 概要 備考
株式移転の方式 単独株式移転 ヤオコーが株式移転完全子会社、ブルーゾーンHDが株式移転設立完全親会社
株式移転計画の承認 2025年1月14日 取締役会で決議。2025年6月24日の定時株主総会で承認された
企業結合日(効力発生日) 2025年10月1日 持株会社の設立登記日。東証プライム市場への上場日も同日
株式移転比率 ヤオコー1株に持株会社1株 株主構成が変わらないため第三者算定機関による算定は行っていない
交付した新株式数 41,894,177株 同日に資本金9,846百万円、資本準備金2,461百万円が増加した
ヤオコー株の上場廃止 2025年9月29日 持株会社は10月1日に東証プライム市場へテクニカル上場
株式移転の会計処理 共通支配下の取引 損益への影響はなく、この株式移転でのれんは発生していない
持株会社が担う機能 戦略立案・リスク管理・シェアードサービス M&A・新規事業開発・ESG対応を含むグループ経営の戦略立案
子会社株式の再編 現物配当による直接保有化 エイヴイ・せんどう・フーコットを持株会社の直接保有の連結子会社へ
株式譲渡契約の決議 2025年9月8日 ヤオコー取締役会で決議し、10月1日に持株会社が契約上の地位を承継
文化堂の取得議決権比率 100% 取得日は2025年10月16日、みなし取得日は2025年11月30日
文化堂の取得原価 7,600百万円 対価は現金。取得関連費用はアドバイザリー費用等1百万円
文化堂から受け入れた資産 13,292百万円 負債は5,878百万円(流動3,626、固定2,252)
文化堂で生じたのれん 186百万円 重要性が乏しいため発生時に一括償却した
デライトHDの取得議決権比率 70% 取得日は2025年10月31日、みなし取得日は2025年12月31日
デライトHDの取得原価 8,295百万円 対価は現金。取得関連費用はアドバイザリー費用等1百万円
デライトHDから受け入れた資産 9,521百万円 負債は6,656百万円(流動5,510、固定1,145)
デライトHDで生じたのれん 6,289百万円 今後の事業展開で期待される超過収益力。10年間の均等償却
通期換算した影響額 記載を省略 期首に完了したと仮定した場合の影響額は算定が困難としている

出所:ブルーゾーンホールディングス 有価証券報告書 第1期(2026年3月期)【企業結合等関係】【重要な契約等】/ヤオコー 有価証券報告書 第68期(2025年3月期)【重要な後発事象】

のれん・無形固定資産と総資産の推移

ブルーゾーンホールディングス:のれん・無形固定資産と総資産の推移

(百万円) のれん無形固定資産合計総資産 備考
2021年3月期 1,0158,030269,121 2017年のエイヴイ子会社化で生じたのれんの残高
2022年3月期 06,512305,997 連結貸借対照表にのれんの計上はない
2023年3月期 06,184318,231
2024年3月期 05,643342,409
2025年3月期 06,092376,206
2026年3月期 6,13213,660427,822 デライトHD6,289と文化堂186を計上。文化堂分は一括償却した
のれんと無形固定資産
のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)

出所:ブルーゾーンホールディングス 有価証券報告書 第1期(2026年3月期・連結貸借対照表) / ヤオコー 有価証券報告書 第67期・第68期(連結貸借対照表、主要な経営指標等の推移)

売上高と経常利益の推移

ブルーゾーンホールディングス:売上高と経常利益の推移

(百万円) 売上高経常利益 備考
2021年3月期 487,18922,211
2022年3月期 514,02923,290
2023年3月期 541,82425,597
2024年3月期 595,34828,877
2025年3月期 708,29032,583
2026年3月期 783,43435,727 文化堂とデライトHDは各3か月のみ連結。営業総収入は813,154
売上高と経常利益率
売上高(百万円)経常利益率(%)

出所:ブルーゾーンホールディングス 有価証券報告書 第1期(2026年3月期・主要な経営指標等の推移) / ヤオコー 有価証券報告書 第68期(2025年3月期・主要な経営指標等の推移)

従業員数の推移

ブルーゾーンホールディングス:従業員数の推移

(名) 就業人員平均臨時雇用者数 備考
2021年3月期 3,80412,251
2022年3月期 4,02212,922
2023年3月期 4,17413,118
2024年3月期 4,34713,400
2025年3月期 4,93115,921
2026年3月期 5,76618,399 持株会社単体の従業員は4名で、全員がヤオコーからの出向者
就業人員と臨時雇用者
就業人員(名)平均臨時雇用者数(名)

出所:ブルーゾーンホールディングス 有価証券報告書 第1期(2026年3月期・従業員の状況) / ヤオコー 有価証券報告書 第68期(2025年3月期・主要な経営指標等の推移)

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参考文献
出典・参考

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