この判断の中心にあるのは、主力を国内損保という成熟事業に置いたままでは、投資家が求めるROEの水準にも、世界の損保大型化の潮流にも追いつけないという危機感であった。有価証券報告書が掲げた目算は明快で、グループ全体に占める海外保険事業からの収益比率を12%から27%へ引き上げることにある。6,831億円という金額は、2017年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益1,664億円のおよそ4年分にあたる。企業結合日が期末の3日前であったため、この期の損益には被取得企業の数字が1円も入っていない。買った資産だけが貸借対照表に載り、成果は翌期以降に持ち越された買収であった。
もっとも、海外の保険引き受けを取り込むことは、日本の台風や風水害に加えて、米欧の巨大災害の振れも自らの収益に映るようになるということである。海外保険事業のセグメント利益は、通期で寄与した2018年3月期に208億円を計上した後、2019年3月期は60億円の損失、2021年3月期も56億円の損失と、期ごとに大きく振れている。一方でのれん1,763億円は10年の均等償却で費用化され、監査上の主要な検討事項として毎期その減損が検討されながら、減損損失は計上されていない。ロイズ事業で重なるCanopius社を1年で手放して受け皿をSompo Internationalへ一本化した身のこなしを含め、この買収は事業そのものより、海外を統括する会社を取得したことに意味があったのだろう。