この判断の核心は、まったく新しい技術で市場を開拓した点にあるのではなく、自社がすでに握っていた素材と顧客の隣に、機器という次の商いを見つけた点にあるのだろう。感光紙で複写の現場に触れ、その現場が何を欲しているかを実地で掴んでいたからこそ、複写機という機械へ参入する勝算が立った。事務合理化という社会の動きが背中を押したのは確かだが、動きを先に読んで隣の領域へ資源を移したところに、この参入の特徴がうかがえる。
もっとも、リコピーの立ち上がりは順風ではなく、需要が育つまでには数年を要し、追随する同業との競争もあった。それでも複写機は会社の主力を入れ替え、感光紙・カメラ・複写機と続く乗り換えの手法は、その後のリコーに引き継がれていく。素材を握る強みを、隣接する機器の市場でどう活かすか——この問いを早い時期に事業の中心へ据えた点で、リコピー101への参入は同社の性格を決めた一歩といえる。