HOYA 米国型ガバナンスへ移行 ROEを軸に据えた経営への切り替えと統治構造の再構築
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何をなぜ決めたか
- 概要
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2003年6月の定時株主総会で定款を変更し、HOYAは委員会等設置会社(現・指名委員会等設置会社)へ移った。移行と同時に社外取締役が2名増えて5名となり、取締役会の過半数を社外が占める、国内の上場企業では初めての体制となった。指名・報酬・監査の三委員会はいずれも5名の社外取締役だけで構成され、執行役の選任・解任案も社外だけの委員会が決める形になった。
- 背景
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取締役の人数は1989年から段階的に減らされてきた。1995年からは社外取締役が加わり、2001年には社外3名・社内3名の計6名と過去最小になる。この時点で任意の報酬委員会と指名委員会が置かれており、委員会等設置会社への移行以前から同じ体制が築かれていた。執行役員制度は採らず、事業部制・カンパニー制という組織のなかで経営と業務執行の分離が進められていた。
- 内容
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取締役会が執行役へ決定権限を大幅に委譲し、執行役は業績向上を目的として迅速かつ効率的な経営を行う。その一方で、外部から招いた社外取締役の公正な判断のもと、三委員会が監督にあたる。鈴木洋CEOが移行にあたって掲げたのは、 『外部から招聘した有識者による公正な判断のもと監督機能が強化される経営体制の構築が、顧客や株主のみなさまのご期待に対して必要不可欠なものと考え』 という理由だった。
選任された執行役3名はいずれも社内取締役が兼任し、代表執行役CEOには鈴木洋氏が就任した。創立以来初の女性取締役も、この移行で誕生している。
- 含意
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取締役会は2月と8月を除いて毎月開かれ、社外取締役が執行役の業務執行を監視する。監査委員会には専従3名の事務局が置かれた。移行の期にあたる2004年3月期は売上高2,714億円・当期純利益395億円で、純利益は前期の200億円から倍近くへ伸びた。以後、2008年3月期まで増収が続く。資本効率を掲げる経営を、監督の仕組みの側から支える体制が整った。
いつ何が起きたか 6件
筆者の見解
資本効率を、統治のかたちにした会社
この経営判断の核心は、資本効率を掲げる経営を、掛け声にとどめず統治のかたちにまで落とし込んだ点にある。1990年代半ば、米国事業からROEの低さを問われた鈴木哲夫氏が事業の選択と集中に着手し、続く鈴木洋氏が2003年に委員会等設置会社へ移して、社外取締役が過半を占める取締役会をつくった。数値目標としてのROEと、経営を監督する仕組みとしてのガバナンス。二つを一続きのものとして扱った点に、この会社らしさがうかがえる。
もっとも、社外取締役が過半を占める取締役会は、それ自体が成果を約束するわけではない。仕組みが働くかどうかは、そこに座る人と、扱う事業の中身しだいである。HOYAの場合は、光学ガラスに発する高シェア・高収益の事業構造があり、その資本を効率で配り直す規律と、外部の目による監督とがかみ合った。取締役の削減に1989年から着手し、1995年に社外取締役を招き、2001年に任意の二委員会を設置して、ようやく2003年に制度として完成させた道のりを見れば、この移行は14年をかけた助走の終着点だったと推察される。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
移行の条件
移行の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 移行の決議 | 2003年6月の定時株主総会 | 定款を変更して委員会等設置会社へ移行した |
| 移行の目的 | 三委員会による監督機能の強化 | 取締役会が執行役へ決定権限を大幅に委譲し、迅速かつ効率的な経営を行うこと |
| 取締役会の構成 | 社外取締役5名が過半数 | 移行と同時に社外が2名増えて5名に。国内上場企業では初めての体制となった |
| 三委員会の構成 | いずれも5名の社外取締役のみ | 指名・報酬・監査のすべての委員会に、すべての社外取締役が委員として参加する |
| 指名委員会の権限 | 取締役と執行役の選任・解任案 | 執行役の人事も、社外取締役だけで構成する委員会が決める |
| 執行役 | 3名 | いずれも社内取締役が兼任。代表執行役CEOは鈴木洋氏 |
| 移行前の体制 | 取締役6名・うち社外3名 | 2001年に社外が3名へ増え、任意の報酬委員会と指名委員会を設置していた |
| 社外取締役制度の導入 | 1995年 | 社内の序列や人間関係にとらわれず声をあげられるようにするため |
| 取締役会の開催 | 2月と8月を除いて毎月 | 社外取締役が執行役の業務執行を監視する場として置かれている |
| 委員会の事務局 | 監査委員会に専従3名 | 報酬委員会と指名委員会は人事関連業務の担当部門の社員が各1名で兼任 |
出所:HOYA 有価証券報告書 第68期(2006年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況】 / HOYA REPORT 2004「役員」
売上高と当期純利益の推移
HOYA:売上高と当期純利益の推移
| (百万円) | 売上高 | 当期純利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2002年3月期 | 235,265 | 23,740 | |
| 2003年3月期 | 246,293 | 20,037 | 厚生年金基金の解散に伴う補填額と早期退職者への退職加算金を特別損失に計上 |
| 2004年3月期 | 271,443 | 39,548 | 2003年6月に委員会等設置会社へ移行した期 |
| 2005年3月期 | 308,172 | 64,135 | |
| 2006年3月期 | 344,228 | 75,620 | |
| 2007年3月期 | 390,093 | 83,391 | |
| 2008年3月期 | 481,631 | 81,725 | ペンタックスとの統合により売上高が伸びた期 |
| 2009年3月期 | 454,194 | 25,109 | リーマンショック後の需要減で減収減益 |
出所:HOYA 有価証券報告書 第68期・第72期【主要な経営指標等の推移】(連結経営指標等)
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- HOYA公式サイト 沿革
- HOYA 有価証券報告書「第68期(2006年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況】」
- HOYA アニュアルレポート「HOYA REPORT 2003「株主のみなさまへ」」
- HOYA アニュアルレポート「HOYA REPORT 2004「コーポレートガバナンス」「役員」」
- HOYA 有価証券報告書「第72期(2010年3月期)【主要な経営指標等の推移】」