ベイカレントに商号変更(2024年・ベイカレントの決断)

更新:
論点 提案と実装を別会社に分けるか
ベイカレント:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
持株会社体制への移行と、コンサルティング・ITサービス両事業の分社

何をなぜ決めたか:持株会社体制への移行と、コンサルティング・ITサービス両事業の分社

概要

2024年9月1日、ベイカレント・コンサルティングは会社分割(吸収分割)により持株会社体制へ移行し、商号を株式会社ベイカレントへ変更した。コンサルティング事業とITサービス事業をそれぞれ100%子会社へ承継させ、持株会社の傘下にベイカレント・コンサルティングとベイカレント・テクノロジーを並べた。

承継の受け皿は2024年2月に設立した分割準備会社A・Bで、両社とも普通株式19,000株を発行して分割会社へ割り当てている。

背景

2016年の上場以降、コンサルティング事業の単一セグメントのまま人員が4,321名(2024年2月期末)まで膨らんでいた。提案を担うコンサルティングと、実装を担うDX/ITサービスでは求める人材も訴求の仕方も異なるにもかかわらず、同じ法人に同居していた。分社に先駆けて2024年3月にテクノロジー本部を新設し、採用と営業を先に動かしている。

内容

2024年4月17日の取締役会で100%子会社2社との吸収分割契約の締結を承認し、同日付で契約を締結した。5月28日の第10回定時株主総会で吸収分割契約が承認可決され、9月1日に効力が発生した。承継会社への債務の承継は重畳的債務引受の方法による。

共通支配下の企業が関わる企業結合にあたるため会計処理は帳簿価額に基づき、提出会社の個別財務諸表ではのれん18,553百万円が会社分割により全額減少した。

含意

テクノロジー事業は全体売上のうち5%程度にとどまり、 『既にテクノロジー領域の案件実績は複数あり、それらにおいてはコンサルティングサービスと同様の収益性であることが確認できております』 として、移行で収益性が変わることは見込まれていない。提出会社単体の従業員は移行後に4,321名から593名となり、事業も人も子会社へ移っている。伸ばす手段は既存の顧客基盤と営業体制である。設備投資やM&Aといった大口の先行投資は予定していない。

いつ何が起きたか 8件
当時の取締役 9名
考察:法人を分離しても、採算はそれだけでは変わらない
考察

考察:法人を分離しても、採算はそれだけでは変わらない

この再編で起きたのは、資本や事業の組み替えではなく、法人の掛け替えである。共通支配下の取引として帳簿価額のまま処理され、連結の数字は何一つ動かない。動いたのは提出会社の姿で、従業員は4,321名から593名へ減り、単体で抱えていたのれん18,553百万円はそのまま承継会社へ移った。受け皿の2社を半年前に設立し、テクノロジー本部を3月に立ち上げて採用と営業を先に動かしてから9月に分割する——先に会社を作り、人と案件を入れてから法人を割るという順序が取られている。

もっとも、法人を分けることと、分けた事業が育つことは別である。テクノロジー事業が全体の売上に占める割合は5%程度にとどまり、分社から一年を経てもその比率は大きく変わっていない。大型の先行投資を置かず既存の顧客基盤で伸ばす構えは、裏を返せば実装の仕事をコンサルティングの延長として扱うということでもある。人数を投じて期間で稼ぐ実装の経済を、少人数・高単価で組み立ててきた本体の型にどこまで載せられるのか。組織の設計ではなく中身の運営が問われるのは、これからだと推察される。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

ベイカレント:従業員数の推移

提出会社単体(人)子会社の従業員(人)
ベイカレント:従業員数の推移
(人) 連結従業員数提出会社単体 備考
2020年2月期 −1,839 連結財務諸表を作成しておらず、提出会社単体のみ
2021年2月期 2,1612,161
2022年2月期 2,6382,638
2023年2月期 3,3103,310
2024年2月期 4,3214,321
2025年2月期 5,467593 2024年9月の会社分割で、事業とそこで働く人が子会社2社へ移った
2026年2月期 6,788866
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第6〜12期【従業員の状況】
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第6〜12期【従業員の状況】

ベイカレント:業績と総資産の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)
ベイカレント:業績と総資産の推移
(百万円) 売上高営業利益総資産 備考
2020年2月期 32,9177,14929,097 連結財務諸表を作成しておらず、提出会社単体のみ
2021年2月期 42,82812,64646,003
2022年2月期 57,46520,64958,136
2023年2月期 76,09029,91675,265
2024年2月期 93,90934,21999,883
2025年2月期 116,05642,615124,665 会社分割は共通支配下の取引で、連結の数値には影響していない
2026年2月期 148,33250,931157,485
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第6〜12期(連結損益計算書・連結財政状態計算書。IFRS)
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第6〜12期(連結損益計算書・連結財政状態計算書。IFRS)

会社分割の条件

会社分割の条件
科目 概要 備考
決議日 2024年4月17日 取締役会が100%子会社2社との吸収分割契約の締結を承認し、同日付で契約を締結
株主総会の承認 2024年5月28日 第10回定時株主総会で持株会社体制への移行に伴う吸収分割契約が承認可決
企業結合日 2024年9月1日 同日付で商号をベイカレント・コンサルティングから株式会社ベイカレントへ変更
企業結合の法的形式 会社分割(吸収分割) 分割会社が営む事業を、100%出資の吸収分割承継会社2社へ承継させる
吸収分割会社 ベイカレント・コンサルティング 事業内容はコンサルティング事業及びITサービス事業
承継会社(コンサルティング事業) ベイカレント・コンサルティング 分割準備会社Aが2024年9月1日付で商号変更。設立は2024年2月
承継会社(ITサービス事業) ベイカレント・テクノロジー 分割準備会社Bが2024年9月1日付で商号変更。設立は2024年2月
割り当ての内容 承継会社各社の普通株式19,000株 承継会社2社がそれぞれ発行し、全てを分割会社へ割当て交付
承継する権利義務 資産・債務・雇用契約その他 吸収分割契約書に定める範囲。債務の承継は重畳的債務引受の方法による
会計処理 帳簿価額に基づく処理 共通支配下の企業又は事業が関わる企業結合に該当するため
会社分割で移ったのれん 18,553百万円 提出会社の個別財務諸表で全額減少。同期の当期償却額は472百万円
移行の目的 ITサービス事業の強化 コンサルティング支援にDX/IT実装領域の支援まで含めた多面的な課題解決
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第11期(2025年2月期)【経営上の重要な契約等】、連結財務諸表注記「7.企業結合等」、附属明細表
出所:ベイカレント 有価証券報告書 第11期(2025年2月期)【経営上の重要な契約等】、連結財務諸表注記「7.企業結合等」、附属明細表
当時の取締役 9名
参考文献

参考文献

参考
  • ベイカレント 有価証券報告書(2026年2月期・連結・IFRS)
  • ベイカレント・コンサルティング 適時開示「持株会社体制への移行準備開始及び分割準備会社設立に関するお知らせ」
  • ベイカレント・コンサルティング 適時開示「持株会社体制移行に伴う会社分割及び定款の一部変更(商号及び事業目的の一部変更)に関するお知らせ」
  • ベイカレント 有価証券報告書「第11期(2025年2月期)【経営上の重要な契約等】・連結財務諸表注記「7.企業結合等」・附属明細表」
  • ベイカレント 決算FAQ「2025年2月期 上期 決算FAQ」
  • ベイカレント 決算FAQ「2026年2月期 第1四半期 決算FAQ」

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