ブラザー工業の決断社史:経営の意思決定を振り返る

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決断

主力の入れ替えを重ね、最後の一度だけは自前の技術で作らなかった。1932年に始めた家庭用ミシンは、1980年代半ばに事務機へ首位の座を明け渡す。日米貿易摩擦と円高で輸出タイプライターの採算が崩れると、1989年2月に社長へ就任した安井義博氏がミシン・タイプライターから情報通信機器への業態転換を決めた。参入から4年続けて赤字だったファクスは、1992年に399ドルのFAX-600を米国へ投入して半年で15万台を超え、のちに米国シェア首位を確保する。ここまではミシン用に蓄えた加工技術の転用だった。これに対し2015年6月の英ドミノプリンティングサイエンス取得は1,932億円を投じた買収で、2024年3月のローランドDGへの対抗TOB提案も同じ手法にある。技術の転用から買収へ替えたことが、のれんという新しい重さを損益計算書へ持ち込んだ。

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