大和証券グループ本社の直近の動向と展望

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大和証券グループ本社の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

「単品売買」から資産管理型ビジネスへの舵切り

2024年4月に荻野明彦が第16代社長に就任してから、同社はお客さまの資産価値最大化を経営方針として正面に据え、創業以来の単品商品売買中心のビジネスモデルから資産管理型ビジネスへの転換を進めている。荻野は「証券会社はどちらかというと株式や債券、こういった単品商品を売買することで成り立ってきました。創業以来のそういうやり方から大きくかじを切った」(ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4)と述べた。「お客さまの資産価値最大化を経営方針として掲げています。これは不退転の決意を表している」(ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4)とも語り、転換の本気度を示した。1902年の創業以来、藤本ビルブローカーのコール仲介から日本初の投資信託、転換社債、ユーロ円債と「商品を作って売る」モデルで業界2位を保ってきた同社にとって、110年以上続いた収益構造そのものを問い直す試みである。

2025年3月期の連結営業収益は1兆3720億円、経常利益2247億円、親会社株主帰属当期純利益1543億円となり、前期から増収増益を維持した。同年から開示セグメントは「ウェルスマネジメント」「アセットマネジメント」「グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング」の3区分に再編され、ウェルスマネジメント部門の営業収益2403億円・利益806億円が示すとおり、リテール側の名称変更を含めて資産管理型への布陣の組み替えが進んだ。リーマン後の2期連続赤字の後、アベノミクス相場の上昇で立て直した経営体質を、相場依存からフィービジネス中心へ転換する試みが業績好調を支えに進んでいる。業界2位の収益源をホールセールのボラティリティからリテールの安定収益へ寄せる方向が、セグメント区分の再編からも読み取れる。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4
  • 日経ビジネス 2025/5/27

あおぞら銀行への出資と「脱自前主義」

2024年5月、同社はあおぞら銀行と資本業務提携契約を締結し、同行を持分法適用関連会社化した。同月にはかんぽ生命保険と資産運用分野で資本業務提携契約を結び、大和アセットマネジメントへかんぽ生命の資本受入れを行っている。2011年に大和ネクスト銀行を立ち上げて銀行機能を自前で持った同社にとって、あおぞら銀行という規模のある銀行を持分法関連会社として組み込んだ判断は、銀行戦略の振り子が再び「外部との連携」へ振れた事例にあたる。三井住友FGとの合弁、合弁解消、自前銀行立ち上げに続く4度目の方針転換にあたる。銀行機能を持つ/持たないの選択ではなく、外部資本・内部資本をその都度組み替える運営姿勢が浮かび上がる。

荻野は「成長していく上で必要なピースがあれば躊躇なく(他社との提携に)動く」(日経ビジネス 2025/5/27)と述べ、自社単独での総合金融サービス構築から「脱自前主義」への転換を経営の旗印に据えた。メガバンク系証券との競争激化のなかで、独立系総合証券として業界2位を維持するには、必要な機能を提携で補完する柔軟性が前提条件となったことを示す。あわせて荻野は「企業カルチャー、人材、積み上げてきたノウハウ、この三つが重要だ」(ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4)と述べ、提携拡大の一方で自社固有の資産を競争力の核に置く姿勢も示した。2025年1月にはAirborne Capital Limitedとの合弁会社・大和エアボーンを発足し、航空機リース領域へも参入した。1902年に米穀商の余技から始まった会社が、120年を経て「商品開発で食う」伝統と「脱自前主義」の提携戦略を両面で回す構えとなった。

参考文献
  • 有価証券報告書
  • ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4
  • 日経ビジネス 2025/5/27

参考文献・出所

有価証券報告書
ダイヤモンド・オンライン 2024/12/4
日本会社史総覧 1995
日経ビジネス 2021/5/31
日経ビジネス 2025/5/27
ダイヤモンド・オンライン
日経ビジネス