日産自動車の直近の動向と展望
日産自動車の直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
グローバル9000名削減とホンダ・三菱3社経営統合協議の開始
2024年11月、日産自動車はグローバル全体で約9000名に及ぶ人員削減を決定し、日産リバイバルプラン以来の大規模なリストラへ舵を切った。同年12月にはホンダおよび三菱自動車工業との間で3社経営統合に向けた協議を開始する動きが公表され、国内自動車産業の構造的な再編をめぐる議論が前例のない規模で本格化した。国内第二位の自動車メーカーとしての独立経営の維持可能性そのものが問われるという、日産自動車にとって戦後最大級の分岐点が到来した。アライアンス再編から独立経営の岐路への一連の動きは、世界の自動車業界の構造変動の縮図でもあった。
2025年度に入ると日産は代表執行役社長兼最高経営責任者にイヴァン・エスピノーサを迎え、執行役CFOにはジェレミー・パパンが就任した。エスピノーサはメキシコ出身で、「私は24年前、工学部の学校を卒業してすぐに日産自動車に入社して以来、自分の人生をこの会社に捧げてきました」(文春オンライン 2025/06/20)と自らの経歴を語り、「会社を残すには7工場閉鎖をやるしかない」(東洋経済オンライン 2025/06/16)と構造改革の覚悟を示した。「Re:Nissan」構造改革プロジェクトを2025年度の1年間に集中実施すると宣言し、関連減損損失を同期内に一括計上する方針を決算説明会で繰り返し説明した。FY25通期の当期純損失は約4000億円規模と想定され、そのうち約4000億円を第4四半期に集中発生させる計画で、構造改革の痛みを一度で受けきる強い意思が込められた経営判断である。
- 決算説明会 FY25-3Q
- 日産自動車 Re:Nissan構造改革
- プレスリリース 3社統合協議 2024/12
- 文春オンライン 2025/6/20
- 東洋経済オンライン 2025/6/16
関税下での黒字化可能性とRe:Nissan構造改革の効果発現
米国トランプ政権によるメキシコに対する25%の関税政策は、メキシコに生産拠点を多く抱える日産自動車にとって収益性を左右する外部要因として前面化した。FY26の関税コストは2000億円から2500億円の間と想定されており、仮に関税率が25%から15%に引き下げられた場合は通期で約600億円の緩和効果が見込まれるとの試算が経営陣から市場に示された。ローグ以降のCセグメント以上の上級モデルは米国内での現地生産にシフトすることで関税の影響を回避し、競争力のあるモデルラインナップへ再構築する方針が打ち出された。中国拠点からの輸出計画は10万台の目標達成に向けて順調に推移しており、フロンティア・プロのプラグインハイブリッドとN7およびNX8が輸出候補として挙げられた。
固定費削減の目標はFY25通期で2000億円、FY26末までには2500億円という水準が設定されており、変動費の削減案についても2500億円規模の目標を過達する成果が決算説明会で報告された。研究開発費用と設備投資の見直しは一過性ではなく構造的なものと位置づけ、低コスト国の開発センターの活用と日本国内の為替メリットを同時に活かした開発リソースの最適化が進む途上である。エスピノーサはFY26の通期見通しについて、関税の影響下においてもなお黒字化できる可能性があることが徐々に見えてきたと発言するなど、厳しい環境のなかでも構造改革の効果発現に対する慎重ながら前向きな見通しを市場に示している。
- 決算説明会 FY25-3Q
- 日産自動車 Re:Nissan構造改革
- プレスリリース 3社統合協議 2024/12
- 文春オンライン 2025/6/20
- 東洋経済オンライン 2025/6/16