りそなホールディングスの直近の動向と展望
りそなホールディングスの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
22.9億株を縮減する資本運営とDOE導入
2025年5月、りそなHDは株主還元方針を改め、従来の総還元性向50%程度に加えてDOE目標(2029年度3%程度)を新たに導入した。期間損益に左右されない安定配当と、利益上振れ時の自社株買いを両立させる設計である。南CEOは発行済株式数22.9億株について、できるだけ早い時期に20億株を切る運営が現実的との考えを示し、公的資金時代の増資で膨らんだ株式数を縮減する意思を明示した。2003年の公的資金注入と同時に行った株式増発でバランスシートを補強した経緯がある。金利正常化の場面では、株式数そのものを適正化する方向に資本運営の軸を寄せる設計となった。期間損益の振れに依存しない安定配当の枠組みを示すことで、リテール銀行モデルの持続性を投資家へ提示する意図が読み取れる。
金庫株は発行済株式数の5%程度を上限に保有する方針を打ち出し、M&Aや株式交換による案件への機動性を確保する。インオーガニック投資枠1,000億円のうち、実績は約200億円弱に留まる。残り800億円超について南CEOは「2003年以降、バンキング業務により傾注してきた歴史のなかで、不足感のある機能の補完等は選択肢として検討している」(決算説明会 FY2024)と述べ、IT・決済分野での新たな座組形成への関心を示した。銀行本体の運営と、インオーガニックな機能拡張を並行で動かす姿勢である。公的資金完済後のりそなは、バンキング一本足から複合金融サービス業への組み替えを順に進めている。金庫株の活用余地を広げた設計は、その選択肢の幅を支える土台となる。
- 決算説明会 FY2024
- 決算説明会 FY2025-2Q
- 日本経済新聞 2025/5/27
ROE10%超・OHR40%台・生成AI標準装備の次期中計
2025年11月の2026年3月期中間決算説明会では、次期中期経営計画の検討が佳境に入っていることが示された。「リテールNo.1」という基本方針を維持した上で、ROE目標は政策金利0.75%で10%程度、1%ならさらに上の水準、OHRは5年で40%台という数字を提示する。トップライン9,600〜9,800億円・経費4,800億円程度への構造改革が達成パスである。高コスト体質からの脱却を経営の最重要課題に置く構成である。政策金利の水準ごとにROE目標を場合分けで示す姿勢は、他メガには見られない説明スタイルで、金利感応度を投資家に明示となっている。国内特化のリテール銀行として、4大メガと別の立ち位置を維持したまま経費構造をゼロベースで見直す設計が動く。
南CEOは「今後3年間でIT分野に300億円投資」(日本経済新聞 2025/5/27)、「当社はこれまで非常に古い業務インフラを使ってきたが、今期中にすべて刷新し、その際に全従業員に生成AIを標準装備させる」(決算説明会 FY2025-2Q)と述べ、デジタル変革の具体的なコミットメントを示した。金融デジタルプラットフォームを通じた地銀連携収益は2028年度までに累計200億円規模を目指す。デジタルガレージとの協業によるBaaSや次世代決済ソリューションの展開も進む。1995年のニューヨーク事件で海外業務から退いた大和銀行の系譜は、30年後、国内リテール・デジタル・インオーガニックという3本柱で成長軸を組み直す段に入った。金利正常化が追い風となる構造のうちに、コストとIT基盤の再設計をどこまで仕上げられるかが、次の中計期間の試金石である。
- 決算説明会 FY2024
- 決算説明会 FY2025-2Q
- 日本経済新聞 2025/5/27