ローランドの直近の業績・経営課題と展望

ローランドの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望

2025/12売上高1,010億円YoY+1.5%
2025/12売上総利益426億円YoY+0.2%
2025/12販売費及び一般管理費332億円YoY+1.9%
2025/12営業利益94億円YoY▲5.4%
2025/12経常利益90億円YoY+7.3%
2025/12親会社株主に帰属する当期純利益22億円YoY▲63.7%
2025/12自己資本比率49.2%YoY▲7.7pt
2025/12有利子負債合計196億円前年比+3,458億円
2025/12現金同等物期末残高159億円YoY+9.7%
経営トップ蓑輪雅弘代表取締役社長CEO
2025/12従業員数2,897前年比▲60人
2025/12平均給与720万円前年比+8万円
歴史的背景1972年4月、梯郁太郎氏が大阪市で創業した電子楽器専業メーカーで、リズムマシン(1972年8月)・シンセサイザー(1973年4月)・電子ドラム(1985年2月)の主要カテゴリ創出を経て、1989年12月大証二部・1999年9月東証一部に上場した。2014年7月のMBO・10月の東証一部上場廃止・2020年12月の東証一部再上場という6年間の非公開化期間で構造改革を完遂、2022年3月の第6代・ゴードン・レイゾン社長CEO(初の外国人社長)期にDrum Workshop(DW社)買収を実行した。
経営課題FY25(2025年12月期)のDW社(2022年10月買収、約90億円)に係る減損損失38億円・繰延税金資産取崩18億円(計56億円)計上で、純利益は22億円へ大幅減益。米国関税影響・中国生産停止・サプライヤー品質問題・低価格帯ブランド販売減と複数の要因が重なり、買収時計画を下回る業績進捗となっている。
経営方針2024年6月就任の第7代・蓑輪雅弘社長CEO(内部昇進、当時51歳)は2025年2月13日のFY25決算説明で「市場は再成長フェーズへ移行、当社は新製品効果がアドオン」「リスク対応として抑制してきた販管費投資を実行へ」「増益を維持しつつ、新中計に沿った取り組みを推進」と表明、増収・増益見通しと新中計投資の継続を提示した。
主な投資DW社の経営体制を2025年2月1日付で変更、米国新規チャネル拡大・価格適正化、当社商流による米国外販売の早期拡大、生産物流調達の再評価を実行。DW社の新計画は「2026年営業利益黒字化・2028年営業利益率6%+」。2026年度配当は2025年度同額の年間一株170円を維持。

Drum Workshop社減損対応と新中計移行への準備期

ローランドのDNAは、1972年創業時の創業者・梯郁太郎氏による電子楽器主要カテゴリ展開(リズムマシン・シンセサイザー・電子ピアノ・電子ドラム・エフェクター)と、1985年2月のセット式電子ドラム発表(後のV-Drumsへ繋がる電子ドラム世界標準の起点)に始まる。2014年7月のMBO・10月の東証一部上場廃止・2020年12月の再上場という6年間の非公開化期間で第5代・三木純一社長CEOが構造改革と事業集中を完遂し、再上場後はコロナ巣ごもり需要を追い風にFY21(2021年12月期)売上800億円・営業利益111億円、FY23(2023年12月期)1,024億円・営業利益119億円まで急回復した。

2022年3月就任の第6代・ゴードン・レイゾン社長CEO(日本上場の電子楽器メーカー初の外国人社長)は、就任7ヶ月後の2022年10月にDrum Workshop, Inc.(DW社、米国アコースティックドラム製造)を約90億円で買収、アコースティックドラム事業参入を実現した。買収目的は「アコースティックドラムと電子ドラムを融合させ、顧客に新たなCXを提供しドラム事業を拡大」(FY25決算説明資料)にあった。だが2023年Q4の共同開発製品発売(DWe)以降、市場環境変化と当社とのシナジー創出遅延、米国関税による中国生産停止、低価格帯ブランドの値上げによる販売減少、サプライヤー品質問題が重なり、2024年は低収益ブランド売却・欧州での商流変更(代理店→当社)を実行したが、業績進捗は買収時計画を下回った。

2024年6月、ゴードン・レイゾン氏(第6代)から蓑輪雅弘氏(第7代、ローランド内部昇進、当時51歳)への承継が行われた。FY25(2025年12月期)はDW社に係る固定資産の一部について減損損失38億円(のれん全額を含む)と繰延税金資産取崩18億円(計56億円/約$37百万)を計上、連結売上1,010億円・営業利益94億円ながら、純利益は22億円へ大幅減益となった。蓑輪社長はDW社の経営体制を2025年2月1日付で変更し、基盤事業の立て直しを加速、米国新規チャネル拡大・価格適正化、当社商流による米国外販売の早期拡大、生産物流調達の再評価と見直し、DWドラムスタンド等の当社電子ドラムでの活用、業務プロセスの共有化による生産性向上を実行している。DW社の新計画として「2026年営業利益黒字化・2028年営業利益率6%+」を設定した。

電子楽器コア事業については、FY26(2026年12月期)通期見通しを増収・増益とし、「市場は再成長フェーズへ移行、当社は新製品効果がアドオン」「リスク対応として抑制してきた販管費投資を実行へ」と表明した。株主還元では2025年度期末配当一株85円(期初予想通り)、2026年度も2025年度同額の年間一株170円(第2四半期末85円・期末85円)を予想、FY24(2024年12月期)に決議した上限58億円・発行済株式総数比6.5%の自己株式取得方針と組み合わせて、機動的還元を継続する。創業者期の「リズムマシン市場創出」、MBO期の「非公開化と事業集中」、再上場期の「外国人社長下でのDW社買収」に続く、第7代・蓑輪雅弘体制下の経営軸は「DW社の構造立て直しと電子楽器コア事業の再成長フェーズ移行」となる。外資ファンド系株主(Northern Trust 23.75%・MINERVA GROWTH CAPITAL 16.39%等)の影響下で外国法人等保有比率64.29%という所有構造で、創業53年の電子楽器専業メーカーが次の経営軸を組み立てる位置に立つ。

ローランドの業績推移直近10ヵ年・有価証券報告書をもとに作成(XBRLよりデータ取得)

項目単位FY162016/12単体 / JGAAPFY172017/12単体 / JGAAPFY182018/12連結 / JGAAPFY192019/12連結 / JGAAPFY202020/12連結 / JGAAPFY212021/12連結 / JGAAPFY222022/12連結 / JGAAPFY232023/12連結 / JGAAPFY242024/12連結 / JGAAPFY252025/12連結 / JGAAP
損益計算書 (PL)
売上高YoY億円374−0.0%431+15.2%612+41.9%632+3.4%640+1.3%800+25.0%958+19.8%1,024+6.9%994−2.9%1,010+1.5%
売上原価億円330337439565585569583
売上総利益億円302304361394439426426
販管費億円250233250286321326332
営業利益YoY億円5371+35.0%111+55.9%108−3.1%119+10.4%100−16.2%94−5.4%
経常利益YoY億円35−0.1%59+67.7%52−11.8%47−8.6%63+32.8%101+60.9%103+1.5%112+8.8%84−24.6%90+7.3%
当期純利益YoY億円3026−13.7%43+63.6%86+99.6%89+4.1%82−8.8%60−26.7%22−63.7%
貸借対照表 (BS)
自己資本比率%59.668.445.041.643.454.043.649.356.949.2
有利子負債比率%23.512.813.432.817.719.823.5
キャッシュフロー (CF)
営業CF億円335069498154117137
投資CF億円2-16-9-8-114-36-12-64
財務CF億円-58-31-37-61129-87-97-74
従業員
連結従業員数2,5652,6012,7302,7833,0442,9572,897
単体従業員数857857867891892889891
平均年収(単体)万円691765791693713720

IR資料直近5ヵ年

決算説明会資料

FY報告資料の種別見所リンク調査時点のURLのため、現在は有効ではない可能性があります
FY26決算説明会資料(2025年12月期通期)2022年10月買収の Drum Workshop(DW社、取得約90億円)について、シナジー創出遅延と市場環境変化により、のれん全額含む38億円の減損損失と18億円の繰延税金資産取崩(計56億円)を計上。2/1付で経営体制変更、2026年営業利益黒字化・2028年営業利益率6%+を新計画として提示。年間配当170円を維持。
FY25決算説明会資料(2024年12月期通期)中期経営計画(2023-2025)の2年目進捗。再成長フェーズへの移行を前提に新製品投入と販売増加策を継続。株主還元では上限58億円・発行済株式総数比6.5%の自己株式取得を決議し、機動的な還元方針を踏襲。
FY24決算説明会資料(2023年12月期通期)中期経営計画(2023-2025)初年度の振り返り。管打楽器は中国市場停滞影響継続もDW社買収効果で増収。2025年12月期からの再成長に向けた中計投資を着実に実行する方針を提示。基本方針に沿った株主還元を継続。
FY23決算説明会資料(2022年12月期通期)Drum Workshop社の買収(2022年10月クロージング)関連費用を計上した期。基本方針に沿い2023年12月期は増配を予想し、市場動向と資本効率を考慮した機動的な自己株式取得方針を維持。中計FY2023-2025の準備期と位置付け。
FY22決算説明会資料(2021年12月期通期)中計目標 ROE20%+ を継続達成。基本方針に沿い2022年12月期は増配予定、加えて上限20億円の自己株式取得を決議。年間配当金138円との合計で総還元性向を高める機動的還元を実行。中計2020-2022の最終年度に向け業績は好調。

参考文献・出所

有価証券報告書
ローランド公式 会社沿革
学生新聞オンライン(2021/6/18)
日本経済新聞(2022/2/10)
日本経済新聞(2013/2/15)
ローランド 2024年12月期 決算説明会資料
ローランド 2025年12月期 決算説明会資料