ローランドの歴史
沿革
1972年に梯郁太郎氏がエース電子工業から独立して大阪市に設立したのが起源。
創業2年でリズムマシン・シンセサイザー・電子ピアノを揃え、1985年にはセット式電子ドラムを発表した。デジタルとLSIを基本技術とする電子楽器メーカーで、2022年には米Drum Workshopを買収した。
1972年〜リズムマシンの世界市場創出と東証一部到達
- ローランド設立[2]
- ローランドブランド第1号商品となるリズムマシン発表[3]
- エフェクター製造のメグ電子(後のボス)設立[2]
- シンセサイザー、電子ピアノ発表[3]
- 販売会社を設立[2]
- 高丘工場を新設[4]
- 販売会社を設立[2]
- イギリス・ドイツに販売会社を設立[2]
- アムデックを設立[3]
- ベルギーに販売会社を設立[2]
- 音楽教室開設[2]
- セット式電子ドラム発表[2]
- 音楽教室 渋谷スクールを新設[5]
- 販売会社を設立[2]
- 細江工場が竣工[6]
- 生産会社を設立[7]
- クラシックオルガンの生産会社Rodgers Instrumentsを設立[7]
- スイスに販売会社を設立[2]
- 大阪証券取引所市場第二部に上場[2]
- 販売会社を設立[2]
- 浜松研究所が竣工[3]
- 販売会社を設立[2]
- 本社を大阪市北区堂島浜に移転[2]
- プロデューサー制の導入[8]
- 檀克義氏が社長就任[9]
- 販売会社を設立[7]
- 都田工場が竣工[2]
- ポルトガルに販売会社を設立[2]
- 東京証券取引所市場第二部に上場[4]
- 東京証券取引所・大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定[2]
筆者所見
創業期のローランドの強みは、歴史の長い同業と同じ製品群で競合しない設計にあった。1990年に創業18年目のローランドは、80年のヤマハや50年の河合楽器より高い値を近い価格帯で付け、プロ向けと輸出に販路を絞った[1]。電子技術を基盤とする楽器だからこそ、後発でも価格の主導権を握れた。輸出の比重が、高価格の製品を回す量を海外で確保した。家庭向けへ販路を拡大する段では知名度の不足が制約となり、1989年の株式公開を決める要因になった[1]。
- [1]証券アナリストジャーナル28巻2号(1990年2月・梯郁太郎講演)
2000年〜ローランドDGの上場と音楽教室の統合
- VariPhrase方式のプロセッサーを発表[4]
- ローランド ディー.ジー.が東京証券取引所市場第二部に上場[2]
- ポーランドに販売会社を設立[2]
- 生産会社設立[7]
- ビクター・テクニクス・ミュージックとローランド音楽教室を統合[3]
- ローランド ミュージック スタジオを設立[3]
- ローランド ディー.ジー.が東京証券取引所市場第一部銘柄に指定[2]
- 物流会社を設立[2]
- ベルギーとフランスの販売会社統合[2]
- 本社を浜松市細江町に移転[2]
- Roland Forestaの国内展開を開始[10]
- 販売会社を設立[2]
- 音楽制作用ソフトウェア製造開発会社Cakewalkを設立[7]
- 販売会社を設立[2]
筆者所見
2000年代のローランドの再編は、事業の拡張以上に、本社機能を開発と生産の拠点へ集約する動きだった。2005年7月、本社を大阪から浜松市細江町へ移した[2]。研究所と工場が集まる地に本社を置いたことで、企画と製造の距離は縮まった。2008年3月には音楽制作用ソフトウェアのCakewalkを設立し、ソフトウェアへ移る音楽制作にも着手した[7]。こうして広げた拠点と領域は、業績が悪化した2010年代前半に非公開化による統廃合の対象へ転じた。
- [2]有価証券報告書(2026年3月5日)
- [7]有価証券報告書 第38期(2010年6月18日)
2014年〜常若コーポレーションによる上場廃止とボスの吸収合併
- ダンス・ミュージック市場向けの新ブランドAIRAが登場[10]
- 欧州地域販売子会社10社の持株会社を設立[2]
- 常若コーポレーションの子会社化[11]
- 東京証券取引所市場第一部上場廃止[11]
- クラウドで音楽制作サービスを提供するRoland VSを設立[10]
- ローランドを存続会社として、常若コーポレーションと合併[2]
- ローランド ディー.ジー.株式の一部を売却[3]
- V-MODAの持株会社Roland VM Corporationを設立[2]
- クラウド・ベースのプラットフォーム「Roland Cloud」のサービスを開始[10]
- グローバルでの商流管理会社を設立[2]
- ボスを吸収合併[2]
筆者所見
2014年の非公開化の意味は、上場廃止そのものより、創業期から分かれて育った組織を統合し直す時間を得た点にある。2014年2月に欧州の販売子会社10社を持株会社の下にまとめ、2018年1月にはエフェクターのボスを吸収合併した[2]。株価の評価から離れた非公開の期間だからこそ、子会社の独立性を縮小する再編を短期で断行できた。法人の数を減らした再編が、2020年の再上場で示す収益構造を先に整えた。
- [2]有価証券報告書(2026年3月5日)
2020年〜東証一部への再上場とDWの子会社化
- 販売会社と統括管理会社(持株会社)を統合[2]
- 東京証券取引所市場第一部に再上場[13]
- 販売会社を存続会社として、V-MODAとRoland VM Corporationを吸収合併[2]
- 東京証券取引所プライム市場へ移行[2]
- ドラム開発・製造・販売会社(DW)を子会社化[3]
- スペインの販売会社を清算結了、業務をイギリスの統括管理会社に継承[2]
- 蓑輪雅弘氏が代表取締役社長CEOに就任[12]
- ハンガリーの販売会社を清算結了、業務をイギリスの統括管理会社に継承[2]
- DWがRoland Drum Corporationを吸収合併[3]
- CRIMSON WHITE INVESTMENTが主要株主に異動[12]
- Drum Workshopで減損損失を計上[12]
筆者所見
2020年12月の再上場後、ローランドは電子楽器の延長ではなく、アコースティックのドラムに次の成長を求めた。2022年10月にドラムの開発・製造・販売会社DWを子会社化した[3]。電子ドラムの販路に生楽器の品揃えを重ね、ドラムを電子と生の両面で押さえる狙いだった。2025年12月にはDrum Workshopで減損損失を計上した[12]。買収した領域を電子楽器と同じ利益水準へ引き上げる難しさが、蓑輪雅弘氏の経営に最初の課題として残った。
- [3]有価証券報告書
- [12]臨時報告書