ホンダの直近の動向と展望

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ホンダの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。

セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。

直近の動向と展望

EV戦略の後退が2,900億円の一過性費用を生む局面

2026年3月期通期でホンダは約3,600億円という一過性費用の計上を見込み、うちEV関連だけで約2,900億円という規模の損失処理が発生する見通しを2026年2月の第3四半期決算説明会で正式開示した。内訳は中国EV計画見直しに伴う減損が主因で、GMとの共同開発案件に関する補償交渉も並行している。第4四半期にも追加で約200億円程度の費用発生を想定するが、交渉次第では上振れも否定できないという慎重な見解を経営陣は示した(決算説明会 FY25-3Q)。米国市場では7,500ドルのEV補助金終了を受けてEVシェアが8〜9%から5%程度へ急落する可能性が想定され、GM供給のEV費用については2026年3月期中に一定の決着をつける方針である。

一過性費用の大規模計上を除けばHondaの基礎的収益力は二輪事業と金融事業で約1兆円、四輪事業で約500億円という水準にあり、来期のスタートラインは1兆500億円の位置付けであるとの経営陣の見解が示されている。四輪事業の多くがICE由来の収益であるという構造はアジアや北米での競争環境の変化を踏まえれば過渡期の利益構造と捉えられ、中期的なEV移行計画の修正と合わせた構造改革の進捗が2027年3月期以降の業績回復の最大の焦点となる。過去5年間で約1.8兆円の自己株式取得を実施してきた財務規律の姿勢は維持しつつ、PBR1倍割れへの対応としてROEの分母と分子の両面を改善する取り組みを経営陣は繰り返し表明した。

参考文献
  • 決算説明会 FY25-3Q

自前主義からの脱却が中国発で全社に広がる転換

2026年2月の決算説明会で貝原副社長が示した経営方針の核心は、中国市場における現地サプライヤーとの連携強化と、Hondaが長年貫いてきた自前主義からの脱却という、1972年のCVCC以来の経営文化の基層を揺るがす転換だった。中国では現地メーカーと比較してソフトやインテリア領域で遅れを取っているという認識のもと、開発期間の半減と現地サプライヤー活用の大幅な拡大を同時並行で進め、そこで得たノウハウを中国からアジア市場へ横展開していく方向性を示した。アジア市場の販売台数はかつての80万台規模から現在は40万台を下回る水準まで半減し、新興メーカーへのシェア流出を食い止める戦略として開発スピードとコスト競争力の両面の改革が最重要課題となった。

次世代ADASの領域ではHelm.ai社との共同開発によるエンドツーエンド型の高度自動運転システムの開発が進み、2020年代後半の市場投入を目指す計画を明示した。LGエナジーソリューションとのバッテリー生産合弁会社の工場建屋の取得も開示しており、EV需要の後退を受けてESS蓄電システム向けへの転用やHEV向けバッテリー生産への用途変更を検討している段階である。Astemoを連結子会社化してSDV時代のソフトウェア開発の内製化と効率化を加速する体制構築も進めた。日産との統合協議の決裂を経てHondaは単独での生存戦略を模索する段階から「選択と集中」と「自前主義の見直し」の2つの方向性を同時に追う新しい経営局面に入った。1946年の本田技術研究所から80年、Hondaの経営文化は再び組み替えの正念場を迎えている。

参考文献
  • 決算説明会 FY25-3Q

参考文献・出所

有価証券報告書
決算説明会 FY25-3Q
週刊ダイヤモンド 1955/08/21
本田技研社史(1952/10社内月報14号) 1955
ダイヤモンド 1968/08/12
日経ビジネス 1974/04/29
読売新聞 1977/03/05
日経新聞 1977/09/27
日経新聞 1980/01/11
日経ビジネス 1987/12/21
日経新聞 2004/04/28
東洋経済オンライン 2021/07/30
日経ビジネス電子版 2022/09/02
日本経済新聞 2026/03/12