ミネベアミツミの直近の動向と展望
ミネベアミツミの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
「4本槍」と非コア事業の切り分け
2025年5月の決算説明会で貝沼は、ベアリング・半導体・モーター・アクセス製品を「4本槍」と定義し、光デバイスと機構部品を非コア事業として切り出した。コア事業の条件は、マーケットが成長していることと、自社製品が差別化できてエッジが立っていることの2つとされた。2025年3月期のボールベアリング営業利益は557億円で従来最高の478億円を更新し、エイブリックは営業利益率30%以上を確保した。「当社の事業の優等生は、やはりボールベアリングです」(決算説明会 FY24)と貝沼は述べ、祖業の強さが現在の収益を支える構造を確認した。買収を重ねて事業領域を広げた後も、収益の主軸は1951年以来のベアリング事業にあるという歴史的連続性がここで示された。
2024年度は2年連続の通期下方修正となった。2025年2月の第3四半期決算でSE事業を120億円下方修正(うちMPSDのPPAで30億円、残りはほぼ光デバイス)し、ロシア撤退損を含む一時費用40億円を4Qに計上した。「正直に申し上げて、2年連続下方修正をしてしまったことを深く反省しております」(決算説明会 FY24-3Q)と貝沼は述べ、来期予想の開示を5月まで先送りした。コア事業の好調とサブコア事業の不振の同居は、M&Aで広げた事業領域の内部に格差が生まれている状態を示した。買収で得た事業のうちどれが収益源として残るかを問い直す段に入り、貝沼は責任への言及と併せて事業ポートフォリオの次の整理に着手する方針を打ち出した。
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY24-2Q
- 決算説明会 FY24-3Q
会長室ICUと製造業の基本動作
2024年度に貝沼は「会長室ICU」と称する直轄組織を設置し、携帯・ゲーム向けのサブコア事業(カメラ用アクチュエータ・機構部品等)を自ら管理下に置いた。「アクチュエーターは完璧に競争に負けており、その理由が、歩留を上げる、生産性を高める、機械の停止を減らすなど、製造業の基本動作の欠如によるものだと考えています」(決算説明会 FY24-3Q)と述べた。営業・購買・製造のラインバランス問題を現場で点検する手法で、半年程度で収益改善の可否を見極める方針を示した。会長室直轄という異例の組織形態は、経営陣が現場の数字まで降りて収益改善を図る覚悟を示すとともに、M&A偏重の経営イメージを補正する意図も含んだ。
2025年3月期第4四半期には中国のデータセンター向けファンモーター需要が想定以上に回復し、ボールベアリング外販数量は計画を上回った。2026年3月期はMLS営業利益250億円ベースに対して300億円を計画し、ステッピングモーター・ファンモーター・バックライト・スマート製品で各10億円規模の増益を見込む。1Qはレアアース入手難で光デバイスが赤字となる見通しで、米国生産拠点の増強は顧客要請と価格許容度次第という保守的な対応にとどまる。2025年末に公表された中期計画の見直しと4本槍の強化方針が、今後の実績でどう検証されるかが焦点となる時期に入った。1971年以来の為替先回り型の立地戦略が、米中対立を含む新しい条件の下で同じ機動力を発揮できるかが、「相合」戦略の次の試金石となる。
- 決算説明会 FY24
- 決算説明会 FY24-2Q
- 決算説明会 FY24-3Q